打ち合せが終わると、知らない携帯番号から着信があった。
すぐに電話をかけ直してみると、懐かしい声がした。
Uさん 「あっ、須田、ご無沙汰。俺、U。」
須田 「えっ!?Uさんですか!? ご無沙汰しております。どうされましたか!?」
Uさんは、前職の会社の役員でした。
突然前職を辞めた僕は当時大変迷惑をかけ、それ以来連絡をとっていませんでした。
2年という歳月が流れていました。
一体なんの用事だろうと思いました。
僕が前職で大好きだった、常務が亡くなった という報告でした。
31歳。末期ガンで亡くなった。
常務と僕との、短い物語です。
2006年3月。21歳。
入社する会社のWEBサイトを、飽きるほど見ていました。
社員紹介に写る社員の方々がみんなかっこよく見えて、自分も早く社会人として、
かっこいい大人になりたいと思っていた。
社長をはじめ、会社を支える役員の方2人も掲載されていました。
一方はとても優しいそうなUさん。もう一方は、ものすごい怖そうな常務。(まるで将軍のようでした)
早く会ってみたいという気持ちがいっぱいでした。
2006年7月。
東京で行われた総会で、初めてお会いしました。
常務は当時27歳でした。年齢差は6歳でしたが、とてつもなく遠い存在に思えました。
放たれるオーラは、凡人を寄せ付けないものがありました。
外見はとっても怖そうですが、常務はとても優しい方でした。
そして大阪に戻り、僕は会社の期待を超えるべく更に営業に夢中になりました。
そして結果が伴ってきました。
そしてあるとき常務から電話がかかってきました。
常務 「だーすー、ごいすーらしいじゃん。今度しーすーごいすー連れてってやるよ!」
まったく意味がわからなかったのですが、常務からの電話で極度に緊張してましたし、
とにかく 「はい!」 と返事をしました。
訳すと、
「最近の須田の営業成績はすごいじゃん。今度寿司に連れていってやるよ!」
ということが、後々わかりました。
東京から1本の電話をいただくだけで、僕はとても嬉しくなり、 だーすーごいすー を言い続けてもらえるように、
全力を投じ続けました。
大阪支社の数字も、僕個人の数字もうなぎのぼりでした。
そして、常務がちょくちょく大阪に来ることになったとき、色んなところにご飯に行きました。
衝撃的だったのが、 ホルモン でした。
私は、人生で ホルモン を食べたことがありませんでした。
あんなうまいものはないということで、常務にホルモンを食べに連れて行かれました。
毎日毎日夜遅くまで仕事ばかりをして、コンビニ弁当ばかりで夜ご飯にしていた僕に、
「もっとうまいもんを食え!」 と。教えてくれました。
これは、会社にこもっていた僕に、もっと社会を知れというメッセージを僕に送ってくれたのだと思います。
それ以来、ホルモンが大好きになりました。
あるとき、常務と銭湯に行きました。
するとお腹に、大きな傷跡がありました。
どうされたのかを聞くと、生まれたときにガンだったらしく、その症例で生きながらえたのは、全国で常務ただ
ひとりだったそうです。
一度、死にかけているからこそ、常務にはこんなに溢れそうなエネルギーに満ち溢れているのかと
思いました。
この生命力なら、そりゃ生きてるわ。と。
そして時が流れ、2007年3月。
紆余曲関があり、僕は、会社を辞めることを上司に告げました。
すぐに東京から電話があり、
常務 「てめぇ、なにバカなことゆってんだよ!明日の朝から大阪に行くからな。夜、あけておけ!」
翌日、常務は本当に大阪に来てくださいました。
二人で、焼肉を食べに行きました。
常務 「だーすー、どうしちゃんたんだよ。誰に入れ知恵されたんだよ。」
僕の理不尽な言動に怒るわけでもなく、熱く語り、僕の声に耳を傾けてくれました。
ただ僕は、決めたことを曲げません。
常務が嫌いだったということではなく、自分の決めた道を進みたかったのです。
その後、夜中1時頃に、もう1人の役員が合流しました。
どうしても曲がらない僕をみて、二人は帰りました。
タクシーに乗り込んだ二人。本当に申し訳ないという気持ちで、長いお辞儀で見送りました。
ホテルへと向かうタクシーの中で、どんな会話があったのでしょうか。
「だーすーは、大丈夫。あいつはきっと残るよ。」
まっすぐな常務ならそんなことをゆっていたような気がします。
翌朝。
常務にもう一度聞かれました。
常務 「須田、本当にやめるんだな?」
須田 「はい。申し訳ないです。」
数分後、
常務 「須田、あとで社長に連絡を入れてくれ。話があるってさ。」
これが、常務と話をした最後の会話だったと思います。
あのときの常務の寂しそうな顔が、脳裏に焼きついています。
その3ヵ月後。
2007年6月。 僕は、会社を辞めました。
2007年7月。株式会社フリープラスを設立。
時は流れます。
2008年ごろ。
常務のガンが再発し、会社を辞めたことが耳に入りました。
とても心配しましたが、治りそうなものだということで安心し、2009年頃でしょうか。
治ったという話を聞き安心しました。
そして、Uさんからの電話。
「あいつ、死んだよ。お前には報告しておかないといけないと思って。」
久しぶりに聞いた声。
2年ぶりの会話。
それが、常務の死の報告だなんて。
今のフリープラスの営業手法にも、常務の遺伝子が組み込まれています。
いつでもユーモアたっぷりだった常務。
僕なんかより、何百倍も元気だった常務。
どんなときも怒らず、いつも優しかった常務。
愛に溢れていた常務。
本当にありがとうございました。
本当にありがとうございました!!!!!!!!!!!
教えていただいたホルモン、僕が後輩達に教えていきますね!!!!!!!!!!!!
大好き!!!!
お前が 「死にたい」 と言って 無駄に過ごした今日は、
昨日死んだ奴が、一生懸命生きたかった明日なんだ。
無駄に生きるな。
須田健太郎
※この日記を1人でも多くの方にご覧になっていただきたいため、日記の更新は数日間STOPさせていただきます。ご了承ください。

