刑務所の悲しい話 | 元樹 傾斜

元樹 傾斜

斜めから、言いたいこと言います。

俺が刑務所に入ったとき、同じ部屋に坊主頭で顔や頭にいくつか傷がある、一見イカツイ感じの兄ちゃんがいた。
しかし彼は少し知恵遅れのようで、「回れ右」ができない。他の人が刑務作業をしている中、後ろの方で2時間以上回れ右をさせられていた。
朝の点検のときも、布団の畳み方を覚えられないので毎日同じ部屋の俺たちも一緒に怒られる。

そもそも、重度ではないにしても一般の人と同じことができないのに怒鳴りちらしても意味がないのにね!
そんな彼に、毎日怒られるのもかわいそうなので「早く覚えてこんな所から出たいでしょ?」と訊いてみた。
すると彼は「出たくない」って言うんです。

え!?どういうこと?

誰もが1日でも早く刑務所から出たいと思っているのに彼は毎日怒られるここの方が良いって言うんです。
気になって普段はどんな生活をしていたのか詳しく訊いてみると、毎日怖い人達に万引きをさせられていて断ると殴る蹴るをされる、だから盗む、捕まる、また出されては同じことの繰り返し。

普通万引き程度では刑務所に行かないので何度も繰り返したんだろうね。

彼の頭や顔の傷はイカツイわけでもなんでもなく、健常者が知恵遅れに対して犯罪を強要されついた傷だと知り、こんなクソみたいな環境が幸せだと感じる彼の人生を想像したとき思わず涙が出てきた。

彼を更生施設に入れたってなんの意味もないことくらい刑務官はわからないのだろうか?
いくら万引きはダメだなんだといったところで、出所して同じ土地に戻ればまた彼は犯罪を強要され断れば暴行を受ける。
こんな悲しい現実はあんまりだと思い、刑務官にその話をしたら「おまえが考えることじゃない、黙って自分のことだけ考えてろ」って。

自分のことしか考えてない奴が多いから世の中こうなってんじゃねーか!バカ!

まともなフリをして弱者をいたぶる健常者、こいつらをとっ捕まえようとしない限り犯罪も悲しい彼の人生も、まったく良くならないよ!