田口ランディさんの言葉を借りるなら、それは、そこに「ジャスト」に存在していることだった。窓の向こうに生えている木々も、部屋の中に飾られている薫り高いプルメリアの花も、トイレの横の池で泳ぐナマズも、隣で寝息を立てながら寝ている彼も。そこにいることがとっても自然で、完璧で、まるでそこにいるために、生まれてきたみたいだった。
そして、その中に含まれていたわたしも、マルだった。疑いようもない、完璧なマルだった。
形でいえば、そのマルは決して、まんまるじゃないんだ。
ぽこっとへこんだり、ごつごつ飛び出たり、かっこ悪くて、かなりぶさいく。幼いころに読んだお姫様物語のハッピーエンドとは程遠い、変形したカタチ。
でもこれが、完璧ってことなんだ。マルってことなんだ。
マルって、人によって違うんです。変形しているからこそ、あなたのマルなんです。
でも…。なんてことだろ。この時から、考えていることも、想っていることも、願っていることも、感じていることも、愛していることも、まったく変わってないわたしなのに、今日はまたマルの感覚を忘れてしまっている。たった1日たっただけなのに、もううまく言葉にできない。