旧札使えなくなる『ウソ』に注意…20年ぶりに“新紙幣”発行 券売機の出費に肩を落とすラーメン店店主も

石川テレビ








20年ぶりに新しい紙幣が発行されました。しかし新しい紙幣への対応には、課題もあるようです。



リポート:
「きょうからはじまった新しい紙幣の発行。こちらがその新しい1万円札なのですが、見てください。数字が以前よりも大きくなりました。そして肖像も3角度によって見え方が違うんです。きょうから少しずつ皆さんの手もとにこの新しいお札が出回ります」


日本銀行(にっぽんぎんこう)金沢支店には、いつもより1時間早い午前8時から北陸3県の金融機関の担当者が訪れ、新紙幣を受け取っていました。日銀金沢支店によりますときょう1日で北陸3県の金融機関に対し542億円分の新紙幣を発行するということです。


新紙幣は1万円札が実業家の渋沢栄一(しぶさわえいいち)、5000円札が教育家の津田梅子(つだうめこ)、1000円札が細菌学者の北里柴三郎(きたさとしばさぶろう)。新しいデザインとなるのは、2004年以来20年ぶりです。



しかし、金沢市内のこちらのラーメン店では…。


向山侑希アナウンサー:
「きょうから新紙幣が発行されたのですがこちらの券売機は?」


藤井博文山勝角ふじ店主:
「まだ対応できていません」


5月下旬に新札に対応した券売機を注文しましたが、部品が手に入らないという理由で、きょうには間に合いませんでした。



向山アナ:
「新しい券売機を買うのにいくら?」


藤井店主:
「10万円弱。負担にはなるけど仕方がない、諦めている」


券売機は来月には届く見込みで、それまでは、スタッフが新札を旧札に交換し対応することにしているそうです。




 なお新紙幣が発行されても旧紙幣が使えないわけではありません


 警察は従来の紙幣は使えなくなると嘘をつき、新しい紙幣と交換するという名目で現金をだまし取る詐欺事件が発生する可能性があるとして、注意を呼びかけています。








新紙幣発行は〝旧札〟に注意 詐欺や「預金封鎖」の陰謀論も、20年前には偽造事件




 渋沢栄一の肖像を使った一万円札などの新紙幣が3日に発行されたが、今後、旧札から切り替わっていくタイミングを狙った犯罪には注意が必要だ。

 前回、新紙幣が発行された数カ月後には大規模な偽札事件が発生。

 動画共有サイトでは、新紙幣発行は「政府が預金封鎖に踏み切るため」などとする陰謀論が多くの人に視聴されている。

 「旧札が使えなくなる」詐欺ではすでに被害も出ており、日銀・財務省や警察、地方自治体などが注意喚起している。


  ~~ 中略 ~~


 「資産を守れ」と危機感煽る 

 この偽札事件と同じ年に登場した動画共有サイトのユーチューブ。

 新紙幣発行と「預金封鎖」を結び付け、警戒感を煽るような動画が投稿されている。 

 「まもなく来る? 預金封鎖」
 「隠された政府の陰謀」
 「資産を守るためにやっておくべきこと」…。


 預金封鎖とは、銀行預金などの金融資産の引き出しを封鎖することで、ハイパーインフレ(激しい物価上昇)を抑えるために日本でも昭和21年に行われた。

 この時、新紙幣発行のタイミングで実施されたのは事実。ただ、現在の物価上昇はハイパーインフレといえるような水準ではなく、利上げなど物価上昇を抑える金融政策の余地もある。預金封鎖という過激な非常手段に踏み切ることは考えられない。



 動画共有アプリの「TikTok」でも、同じような内容の投稿がある。再生回数を増やそうとしているとみられるが、資金移動を促すことで、投資を勧誘するような投稿も混じっている可能性がある。

 旧札が使えなくなるという偽情報については、すでにこれを利用した詐欺事件が発生。東京都内では80代と90代の計4人が約1500万円をだまし取られた。 


  迷惑情報フィルタサービスを提供するトビラシステムズ(名古屋市)は、新札発行に伴って予想される詐欺の手口を紹介。

 ①「従来の紙幣は使えなくなるので回収する」と言い、現金をだまし取る
 ②「古い紙幣を振り込めば、新しい紙幣に交換する」と言い、指定の銀行口座に振り込ませる
 ③「ATMで紙幣を使えるか調査を行っているので、協力してほしい」と言い、現金をだまし取るーを挙げている。


 日銀は3日、X(旧ツイッター)で改めて「『従来のお札が使えなくなるといった誤った情報や詐欺行為などにご注意ください」と呼びかけた。