「日本にも手術可能な病院船を」国が船を活用し災害時の医療提供へ 国内唯一の診療船「済生丸」の経験をいかせ!【岡山】

 

  https://youtu.be/nIdAvhTs_TA  

 

 

 RSKイブニングニュース
 2024/06/08

 

 

特集は「病院船」です。こちらはアメリカの「病院船」なのですが、なんと船内では手術も行えるということなんです。

 

そして日本では…あさって6月1日から、「災害時等船舶活用医療提供体制推進法」という法律が施行されます。


(2024年5月30日放送)

 

 

 

 

 

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1200389

 

 

2024年6月9日(日) 20:00

 

 

 

特集は「病院船」です。アメリカの「病院船」では、なんと船内では手術も行えるといいます。日本では6月1日、「災害時等船舶活用医療提供体制推進法」という法律が施行されました。

 

「病院船」災害時の医療のあり方を変えることが期待

 

この法律は、災害時の医療のあり方を変えることが期待されています。つまりは、大規模な災害や感染症が発生した場合に海に浮かぶ船の中で「医療活動」を行えるようになるということです。

陸路が途絶された地域や離島周辺の海上で、医療を提供するのが目的ですが、実はこの「病院船」の先駆けともいえる「海をわたる病院」が瀬戸内エリアにあることをご存じでしょうか?

それが日本で唯一の診療船「済生丸」です。約半世紀前から医療施設が少ない瀬戸内海の島を巡り島の人たちの健康を支えてきました。きょう(30日)はその済生丸から、今後の災害医療のあり方について考えます。

 

 

日本で唯一の診療船「済生丸」離島の医療を支える

 

瀬戸内海に浮かぶ一隻の船…その船の中には、島で暮らす多くの高齢者の姿がありました。

 

 

(診療の様子)
「『病院行きなさいよ』とか『肺炎あるよ』っていわれたことありますか?」「ない」「前立腺がんの検査していますか?」「全部、ここで去年やった」

 

 

700を超える島が浮かぶ瀬戸内海。医療施設の少ない離島の医療を支えるのが海を渡る診療船「済生丸」です。

 

済生丸は、岡山や香川など4県の済生会の支部などが運営する国内で唯一の診療船で、ほぼ毎日瀬戸内海の60の島を巡回し診察や検診を行っています。

 

 

 

「このまま撮影しますので動かないでお願いします」


「なんの検査なんですか?」


(済生丸職員)
「病気の早期発見のための『肺がん』検診の目的で胸のレントゲンを撮影しています」

 

 

船内では、レントゲンや心電図などの精密機械を用いた健康診断のほか、血液検査も行うことができます。本土へ行かなくても、船の中で大規模病院並みの検査を受けられるのです。

 

 

取材したこの日、済生丸は倉敷市の水島港から笠岡市の北木島、白石島を巡り病気の早期発見のため島の住民の検診を行いました。島で暮らす人々は、何十年も前からこの船で診察を受けています。

 

 

(白石島の住民)
「歳?99歳。来年になったら100歳になるもう一年したら」
「Q診療船が来てくれることはどう思いますか?」「ええなぁ。うん」

 

(北木島の住民)
「(済生丸は)総合的な検診がしてもらえるので、悪かったら診察を受けないさいって連絡が来るからあてにしております」

 

 

岡山・香川には、合わせて38の有人島がありますが、その約半数の島には診療所などの医療施設がありません。

【有人島:岡山14・香川24 / 医療機関のない有人島岡山6・香川10】
(2023年岡山県・香川県離島振興計画より)

 

 

阪神淡路大震災、済生丸は海から援助物資を運んだ

1962年に運航が始まった済生丸はおよそ半世紀にわたり、医師がいない島などを巡って、のべ約62万3千人の人々に医療を提供、また災害時にも支援活動を行ってきました

 

 

(岡山済生会予防医学健診センター長医師 池田修二さん)
「阪神淡路大震災のときに陸路が寸断して、誰も行けなかったときに済生丸が海から援助物資を運んで神戸で活動した。将来そういったことを起きたときに、済生丸ができることであれば積極的に関わっていきたい」

 

 

政府が推進する「船を活用した医療提供」とは…

陸路が寸断されても活動できる「海をわたる病院」です。実はいま、国も済生丸が行った「災害援助」の役割を担う船での医療提供に乗り出しています。

 

 

(2024年2月2日、参議院本会議 岸田文雄総理)
「船舶を活用した医療提供体制の速やかな構築に向けて、まずは既存の船舶を活用した活動マニュアルの策定等を進める」

政府が推進している「船を活用した医療提供」とはどのようなものなのでしょうか。

 

 

(スタジオ)
海をわたる病院「済生丸」は、阪神淡路大震災の際に41日間、災害援助にあたりました。ただ当時、診療船である済生丸が行ったのは医療物資や看護師を被災地に送る支援などで、船内では「医療活動」は行っていませんでした。そこで国は船の中で「医療活動」を行えるようにと法律を制定し施行するというわけなんです。

「国としても阪神大震災の時の済生丸のように災害時の船の活用にも力を入れ始めたんですね」

国の構想としては、自衛隊の艦船や民間のフェリーの活用を想定。また2018年には、冒頭でもご紹介しましたが、船の中で手術を行え、1000床の入院用ベッドを備えたアメリカ海軍の病院船「マーシー」を視察しました。今後「病院船」の建造も検討されています。そういった中で起きたのが今年1月の能登半島地震です。有識者はいま改めて、「病院船」の具体的な活用策などを考える必要があると訴えています。



(日本医師会 細川秀一常任理事)
「今回の地震が病院船、災害時の船舶活用という事についてもっともっと拍車をかけることになるのではないかと感じています。」

日本医師会で救急災害医療を担当する細川秀一常任理事です。今年1月に起きた能登半島地震では、液状化や道路が波打つなどし陸路が寸断。能登半島の一部地域で集落が孤立する事態になりました。海洋国家であり地震などの災害が多い日本。細川さんは、災害発生時においての「病院船」の役割は多岐にわたると話します。

 

 

(日本医師会 細川秀一常任理事)
「お手本となるのがですね、アメリカ海軍のマーシーといったあの病院船。あれは本当に病院の機能がしっかりとしている。こういうような船舶活用があれば本当に被災地の近くまで行って、逆に宿泊手段として救護する側の人たちの宿泊所としても、利用ができるんではないかっていうことは今回大きく見直された」

 

 

政府の松村内閣府特命担当大臣は、5月24日の会見で、病院船を「東日本・西日本などどの地域に設置するかなどは今後、議論を進めていく」としています。まだまだ過渡期にある「病院船」に関する議論…長年、済生丸に携わってきた医師は、半世紀以上、瀬戸内海の島を巡ってきたノウハウなどを提供できたらと考えています。

 

 

(岡山済生会予防医学健診センター長医師 池田修二さん)
「『病院船』というのは非常に良いアイディアではあるんですけど、外洋を通っていくところには非常に役に立つかもしれませんが、この瀬戸内海の小さい島を回るのには大きな船はちょっと使いづらい面もあります。そういったところのノウハウをお伝えできれば非常にいいんではないかと思います」

 

 

1日に控えた法律の施行。いま災害時に一人でも多くの命を救う可能性のある船の導入が、瀬戸内だけでなく国全体で進んでいます。

 

政府は有識者や自治体関係者による作業部会を設け、具体的な船舶活用などの運用マニュアルを2024年度中に作成する予定です。また済生丸では、5月からX(旧ツイッター)を開設し情報発信を行っています。診療活動の様子などを公開しているということです。

@saiseimaru100