【マイナカード】中国から指示か ①脱走実習生らの偽造マイナカード「工場」を摘発 ②スマホで悪用 | birdland

    中国から指示か 脱走実習生らの偽造マイナカード「工場」を摘発




    押収された偽造マイナンバー・免許など
    押収された偽造マイナンバー・免許など



     さまざまな個人情報がひもづき、新たな身分証と位置付けられているマイナンバーカードを偽造していた、アパート一室の「工場」が摘発された。働いていたのは、技能実習生として来日し、脱走した中国籍の男ら。警視庁の捜査で、この男らは昨年、大阪市で摘発された「工場」と同じ人物から指示を受けていたとみられることが判明。警視庁は偽造組織の解明を進めている。


    プリンターで「製造」

    4月24日、千葉県船橋市のアパート。偽造工場があるとの情報を基に、捜索に向かう捜査員の前に、部屋からカバンを持った男が出てきた。捜査員が声をかけ、カバンの中を確認すると、偽造された大量の在留カードが出てきた。



     警視庁は入管難民法違反容疑で住所、職業不詳の中国籍、陸成龍容疑者(41)を現行犯逮捕。捜索に入った工場にいた住所不定、無職の中国籍、彭楽楽容疑者(28)を逮捕し、5月15日にも有印公文書偽造と入管難民法違反容疑で再逮捕している。



     警視庁池袋署によると、工場はワンルームで簡易ベッドがあるだけの構造。カード偽造に使うパソコンとプリンターに加え、プラスチックカード、ICチップなどを押収した。捜査関係者は「ICチップの中身は何もない。マイナンバーカードは見た目だけは似せているが、同じようには使えないはず」と話す。


     作成済みの「製品」もあった。中には、同じ人物の顔写真が貼られた30枚以上の在留カードや、高校の卒業証明書、示談書などもあり、捜査関係者は「何のために使うのか」と首をかしげる。


    中国から指示?

    池袋署によると、両容疑者はいずれも技能実習生として来日し、実習先から失踪。彭容疑者は中国の交流サイト(SNS)「微信(ウィーチャット)」の掲示板に掲載された募集を見て偽造を始め、1日約700元(約1万5千円)の日当を受け取っていた。



     偽造カード1枚の販売価格は1万~2万円程度で、割引のあるセット販売も。1日に製造できるのは30~60枚とみられ、昨年11月ごろ~今年4月下旬までで、総額で9千万円ほどを売り上げていたとみられるという。


     また、彭容疑者はウィーチャットを通じて、中国にいるとみられる人物から指示を受けていたことも判明。警視庁が昨年、大阪市で摘発した同様の偽造工場でも、逮捕された女が同じ人物から指示を受けていた疑いがある。


     船橋工場が稼働し始めたのは、この大阪工場が摘発された後だとみられるという。部屋の名義人は彭容疑者、陸容疑者とは別の人物だといい、同署で解明を進めている。



    (梅沢直史)








    偽造マイナカードでスマホ乗っ取り被害も




     顔写真やICチップ、券面の特殊なインキなど、さまざまな偽造防止技術が施されているマイナンバーカード。実際には偽造カードで本人確認を突破され、スマートフォンを乗っ取られる被害も発生している。



    「気づいたら電話ができなくなった」


     東京都の風間穣(ゆたか)都議(51)は4月17日、自身のスマートフォンが乗っ取られた際のことをこう話す。仕事中に、電子決済アプリから身に覚えのないチャージの通知が届く。その後、パスワードをリセットしようとしたが、何度やっても手続きが完了しなかった。



     「何かやられている」。問い合わせると、名古屋市で機種変更されたことが判明。本人確認はマイナカードの目視のみだったという。すぐに携帯番号の緊急停止手続きを取ったが、わずかな間にクレジットカードなどで約10万円分が不正に使用されていた。風間さんは「目視確認を認めず、ICチップの読み取りのみにするべきではないか」と訴える。



     また、大阪府八尾市でも市議が偽造マイナカードによる本人確認でスマホを乗っ取られ、約240万円を不正に使われる被害も発生している。




     河野太郎デジタル相は5月の記者会見で、「目視でも丁寧にチェックすれば偽造は見破れる」と強調。注意事項を記した文書を事業者らに配布する方針を示した。