「与野党対決」演出で衆院3補選の再現狙う 東京都知事選へ勢いづく立民、共産




 立憲民主党の蓮舫参院議員(56)が27日、東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)への立候補を表明し、現職の小池百合子氏(71)と争う構図が濃厚になった。

 立民や共産党は、無所属で出馬する蓮舫氏を事実上の統一候補と位置づけ、自民、公明両党が支援する見通しの小池氏との「与野党対決」を演出する構えだ。

 派閥政治資金パーティー収入不記載事件の逆風にさらされる自民への攻勢を強め、立民が全勝した4月の衆院3補欠選挙の再現を狙う。



 立民と共産は、国政選挙での野党連携を支援してきた「市民連合」を含む枠組みの「候補者選定委員会」を設立し、小池氏の対抗馬擁立を模索してきた。 

 選定委は27日、国会内で会合を開き、蓮舫氏を支援することを確認した。会合で共産の小池晃書記局長は「最強、最良の候補者を得ることができた。『反自民』『非小池都政』。旗印は明確だ」と指摘した上で、不記載事件を念頭に「東京から裏金政治を終わらせる」と強調した。

 野党陣営が勢いづく背景には、今回の枠組みが「実績」を積み重ねていることへの自信がある。



 衆院3補選のうち東京15区補選では、共産と市民連合が立民候補の支援に回り、その当選に貢献した。しかも、都知事の小池氏が支援した無所属候補の2倍以上の票を獲得しての勝利であり、「知事選に向けた地ならしになった」(立民中堅)との見方は根強い。

 加えて、26日の静岡県知事選では、立民、国民民主両党の推薦候補が自民推薦候補らに勝利した。

 蓮舫氏が翌27日に出馬を表明した背景には、追い風に乗りたいという思惑もあったようだ。蓮舫氏は周囲に「決断するなら、きょうしかなかった」と漏らす。



 一方で懸念材料もある。これまでの知事任期中に小池氏は連合東京と良好な関係を築いている上、国民民主とも距離が近いからだ。連合と国民民主が蓮舫氏支援に回るかは見通せず、野党系が一枚岩となる環境はまだ整っていない。



(深津響)