教科書検定で「未了」の中学歴史2点 漏えい確認されず合格

 

 

 

 

文部科学省は、中学校の教科書検定で事前に情報が漏れていたとして、歴史の教科書2点を合否を決定しない「未了」としていましたが、教科書会社による漏えいは確認されなかったとして、2点を合格としました。

3月、結果が公表された教科書検定では、101点が合格し、1点が不合格となったほか、「令和書籍」が申請した中学の歴史の教科書2点が合否が決定しない「未了」となりました。

文部科学省によりますと、「未了」の2点は合否の公表前に外部から具体的な記述の内容を含む通報があったということで、検定に関する情報が事前に漏れて手続きに不正常な状態が生じているとして、合否の決定が見送られる異例の事態となっていました。

その後、文部科学省が検定手続きを精査した結果、教科書会社側の不適切な情報管理などによって漏えいした事実は確認されず、審議への重大な影響もなかったとして、19日、2点の合格を発表しました。

「令和書籍」は作家の竹田恒泰氏が代表をつとめていて、2018年度の検定から中学の歴史の教科書を申請し、これまでに3回不合格となっていましたが、今回初めて合格となりました。

 

 

 

 

 

令和書籍の歴史教科書が合格 過去4回不合格、社長は竹田恒泰氏

 

https://mainichi.jp/articles/20240419/k00/00m/040/385000c

 

 

2024/4/19 20:55

 

 

 

 文部科学省は19日、2025年度から中学生が使う教科書の検定で「未了」となっていた社会の歴史の2点について、合格にしたと発表した。過去4回にわたり不合格とされた「令和書籍」の教科書で、日本を「現存する世界最古の国家」とした記述など100カ所以上を修正して検定を通過した。

 同社は多くの欠陥を指摘されたこれまでの申請図書を「文部科学省検定不合格教科書」と銘打ちネットなどで販売してきた。保守色の強い中学の歴史教科書は、「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーが執筆した自由社版や、育鵬社版などがあるが、文科省によると、24年度の需要に対するシェアは両社合わせて約1%にとどまる。

 

 

 

 「令和書籍」の社長は作家の竹田恒泰氏。21年度検定版として販売した「不合格教科書」の前書きによると、17年に教科書執筆に乗り出した。「(日本の子供が)日本の建国の経緯を知らない」「中学の歴史教科書は、きわめて反日色の強い不適切なものが長年使われてきた」ことなどから、竹田氏が主筆となり「国史教科書」を執筆することにしたとしている。

 だが、18年度を皮切りに4回の教科書検定で不合格になり、20年度は600カ所以上の欠陥を指摘された。21年度版は、中国の呼称を「支那」、新型コロナウイルスを「武漢肺炎」と表記したことにも指摘が入ったという。

 

 

 

 人類の誕生や旧石器時代の説明で始まる歴史教科書が多い中、令和書籍版の冒頭は、神々が日本列島を造ったとする「古事記」の日本神話を紹介。教育基本法が掲げる「個人の価値の尊重」を「ただの権利の享受ではなく、より正しい形で理解できるように」として戦前の「教育勅語」を取り上げたコラムを載せ、従軍慰安婦問題に関する韓国の対応を「蒸し返し」と表現した記述もあった。

 今回の検定では、国家や王朝の成立に関し「(国連加盟国中)現存する世界最古の国家は、我が国なのです」とした部分が「生徒にとって理解し難い」との指摘を受け「皇室は現存する『世界最古の王家』とも言われます」などに改められた。「後白河天皇の院政」を「後白河上皇の院政」に、「健保元年」を「建保元年」と修正した箇所もあった。

 

 

 竹田氏は19日夜、自身のX(ツイッター)アカウントで「令和書籍の中学歴史教科書が、文科省教科書検定で合格となりました。6年がかりで合格に至りました。長年応援してくださった方々に御礼申し上げます。今後は採択に向けて活動していきます」と投稿した。

 文科省によると、検定結果公表直前に「教科書の申請内容が外部に流出している」という趣旨の通報が外部から寄せられたため、検定結果の公表を保留。その後、同社の情報管理が適切だったか精査し、検定規則への違反はなかったと結論付けた。【李英浩、西本紗保美】