派手に燃え上がっているColabo「不当」会計疑惑住民監査請求のゆくえ

仁藤夢乃氏率いるColaboに降りかかる疑惑、なぜメディアは報じない?

 

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73347

 

2022.12.31(土)山本 一郎

 

 

 

一般社団法人「Colabo」に委託事業や交付金を出していた東京都。活動計算書などの書面に疑義が生じている(写真:アフロ)

 

 

 最高に面倒くさいことになっている活動家・仁藤夢乃さん率いるColaboの一件、Colaboに対する住民監査請求が棄却・却下されずに通ってしまって、年末政治の話題に華を添えています。

 

 監査請求を出した暇空茜さんが監査結果の内容の一部をネットで公開したのを見る限り、会計に対して「不当」という強い言葉を使い、担当部局に対して是正を勧告するという、この手の問題においては割と(かなり)強い表現になっています。

 

 

 各所で話題になっていますが、公開されている記録の限りでは、2016年以降、監査請求が通ったのは、都知事だった舛添要一さんが公用車を私用に使った程度の話です。今回のように、福祉政策に関わる団体の報告や精算において、「不当」との判断が出され、2月末を期限として処理を勧告するというのはなかなか踏み込んだ話であります。

 

 年末のクソ忙しい東京都庁の職員に話を聞くと、みんな一様に驚いた様子であったようです。

 

 

 本件は当初「問題なし」で処理されかけたところ、公認会計士の資格を持つ有識者からの指摘が複数あり、差し戻しとなりました。

 

 その結果、裏付けのない支出や過大な経費計上だけでなく、「大項目間での費消経費の移動」や提出された予算計画と寸分たがわぬ経費実績を報告する、いわゆる「すり切り実績報告」も確認されているようです。一般企業では、こうした行為は普通に粉飾決算にあたります。

 

 

 一般企業では駄目なのに、公金が入っているNPOや一般社団法人でこのような会計が横行しているのだとしたら、大変な問題です。

 

 

 

  不当会計に関わっていたNPO会計のスペシャリスト

 

 今回の経費計上「不当」問題において、Colaboの貸借対照表を作成したのは公認会計士・税理士の矢崎芽生さんという方です。

 

 この方は、いわゆるNPO会計基準の会計スペシャリストでもあり、NPO法人会計基準専門委員として会計基準の策定にも関わっているとされる有識者の一人。一連の不当計上では、公認会計士協会による懲戒処分の対象となる恐れもあり、年明けにどうなるのか注目されます。

 

 言われてみれば、Colaboが義務付けられていた貸借対照表5年分の開示をしていなかった問題で、貸借対照表を作成したのが矢崎芽生さんであったにもかかわらず、この問題が露顕するや、数年にわたり運用していたTwitterアカウントを削除し、SNSからいなくなってしまったのを思い出しました。

 

 

 取材で都庁内や都議から出る内容を総合すると、このすり切り予算に加えて、公金が投入されているColaboで、仁藤夢乃さんが沖縄・辺野古基地建設反対運動に自身や被保護女性を連れて参加した件を含めれば、単に報告書に載っていた不当支出の経費項目が適正に再提出され一部の公金を返金することでは済まず、当面の間、関係者が公的事業から出禁になる恐れもある事案だと考えられます(忠実義務の違反や代表理事・業務執行理事の賠償責任)。

 

 さらに、この不当(不正)会計の問題は、厚生労働省などで実際に業務に携わる仁藤夢乃さんや困窮女性に対する支援を手がける「BONDプロジェクト」、ポルノ被害や性暴力などの相談に乗っている「NPO法人ぱっぷす」などの利益相反問題に延焼していくだろうと思います。

 

 関係団体自らが利害関係者にもかかわらず、国の政策とその予算支出に直接関与していると見られるからです。

 

 

 これらの問題を整理して文春にまとめて書いておいたところ、不当経理はないとする一部のColabo関係者の皆さんからの抗議もほんのり頂戴しておりましたが、ボク言いましたよね。

 

◎(文春オンライン)仁藤夢乃さんとColaboをめぐる騒動、「本当の問題」は何だったのか #1

(https://bunshun.jp/articles/-/59413)

 

 

 

  費目の移し替えはOK?政府参考人の問題発言

 

 東京都の監査結果を受け、厚生労働省の野村知司さん(審議官:社会、援護、地域共生・自殺対策、人道調査、福祉連携、就労支援連携担当)がNHK党・浜田聡さんの国会質問に対して政府参考人として答弁しました。

 

 この中で、「当初の事業予算の配分の枠組みについて、事業執行の途中で、まあ流用といいましょうか、移し替えといいましょうか、ああいったものへの変更、そういったことも含めて、補助金の対象経費の中で、かつ事業目的に反するものでなければ柔軟に活用いただけるものとしている」と言っています。

 

 これ、大問題なんじゃないかと思うんですよね。いくら公益目的でも費目の移し替えなんて駄目ですよ、こんなの。

 

 

第210回国会 参議院 総務委員会 第7号 令和4年12月6日

 

 

 それもこれも、「不正経理はない」とハードルを上げ、ただの名誉毀損にすぎない問題なのに7人も弁護士の皆さん並べて大々的な記者会見をしてしまったことが問題だったように思います。今回の住民監査請求の結果を受け、完全に「引っ込みがつかなくなってしまった」と言うか。

 

 あまりこういうことは書きたくないのですが、完全に問題の本質を見間違えた上での自業自得であって、おかしい経理を指摘されたら「すみません、修正します。次からは気をつけます」とやっていれば、こんな大火災にはならなかっただろうと思います。

 

 

 どれだけ重大な問題であったかは音喜多駿さんも記事を書いておられましたが、暇空茜さんが開示した文書が真正なものであるならば、恐らく次はさらなる質問主意書が国会議員によって提示され、政府見解が求められることでしょう。

 

 その上で、上記のような利益相反がColaboなど諸団体で起きないような体制の徹底や、かつて大規模な詐欺事案となったNPO「大雪りばぁねっと。」事件と同様に、これらの活動が本当に予算に見合っているのか、被害に遭っている弱者女性のためになっていたのか、といった問題が検証されるに違いありません。

 

若年被害女性等支援事業の会計に「不当」認定・是正勧告。住民監査請求の結果がどれほど異例だったのか   (https://otokitashun.com/blog/daily/31000/)

 

 

 

  被害女性用アパートの利用実態

 

 さらには、これも文春の記事に書きましたが、公益事業への費用支出においては、私たち国民の財産でもある休眠預金の流用が問題の一端を担っています。これについては、制度が検討されていた7年前に、すでに問題を指摘する記事を私も書いていました。

 

疑惑の支援スキームが輝く「休眠口座の資産をNPOへ」で駒崎弘樹さんに質問10個

(https://stoica.jp/yamamoto_blogs/560)


自民党総務会で休眠口座を活用したNPO支援らしきものが通過

(https://lineblog.me/yamamotoichiro/archives/2999744.html)

 

 

 今回の件では、経団連系の一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)を元請けに、仁藤夢乃さんの自宅近くにあるColaboの被害女性用アパートの建設に1億円を助成したパブリックリソース財団が資金分配団体としておカネを流していました。

 

 これは明らかに問題で、現地には何度か足を向けましたが、夕方以降もあんまり電気がついてないようにも見受けられました。利用実態に興味があります。

 

パブリックリソース財団を資金分配団体とする他の休眠預金活用事業の公募・採択に係る不審点

(https://note.com/red____/n/n51a13032666d)


俺たちの仁藤夢乃「Colabo」利益相反の簡単なまとめ(修正あり)

(https://note.com/kirik/n/nd9fb70b2a241)

 

 

 同じような話は他にもあり、いま業界潰しネタで問題になっているAV出演被害防止・救済法の成立に関係し、アダルトビデオの出演で被害を受けた女性とは関係のない団体が一般に向け被害を訴えている不思議な構造も明らかになっています。この人たち無関係なんじゃないの?

 

 

 一連の問題は、本来であれば厚生労働省や都道府県の福祉部局が自ら迫害を受けている女性など弱者に対して福祉を提供するのが筋であって、予算を出してNPOや社団法人に丸投げすることがよろしくなかったと言えます。

 

 

 他方で、国家公務員も東京都庁職員も人数不足で激務であって、これらのコミュニティに近しい人たちに予算を与えて活動してもらうことで、公助の仕組みの一端を担ってもらおうというのが本旨であったと思います。

 

 しかしながら、実際に起きていることは、本件のような杜撰な経費計上が横行する修羅であったとするならば、これは是正しなければなりません。その上で、ちゃんと公的部門が活動を監査する、結果に応じた評価を下す、活動に見合った予算で受託してもらうといった、民間企業への公募・入札と同じアクションが必要になるかもしれません。

 

 そのためには、ただでさえ激務すぎて人生墓場省などと揶揄される厚生労働省にもう少し予算と人員を割り当てて適切な省務が遂行できるようにして欲しいというのが本来のところです。

 

 

 

  今回の不当会計をメディアが取り上げないのはなぜ?

 

 示現舎の三品純さんが指摘されている通り、官公庁への食い込みの一端はこれらの活動家人脈に加えて、上野千鶴子さんやNPO法人抱樸の奥田知志さんといった、かなり純化した人物像が浮かび上がってきます。これ自体は適法なのですが、利益相反の構造がここにあるとするならば問題です。

 

Colaboの裏に潜む明治学院大学「国際平和研究所」人脈

(https://note.com/jigenshaspinoff/n/n3f6e1e988f20)

 

 

 さらには、一連の事件では、先の暇空茜さんからColaboへの暴言に対して名誉毀損訴訟をやるという記者会見だけは毎日新聞や朝日新聞、東京新聞などお馴染みの左派系メディアが大きく取り上げておりました。これは単純に私人間(しじんかん)の民事の問題であり、刑事告訴のようなネタでもないのになぜこんなの取り上げているんだろうというのは思いました。

 

 

 他方で、今回の暇空茜さんの住民監査請求が通ってColaboの経理が一部不当とされ、期限を切って報告書の再提出や経費の返還を勧告した件は、地方行政の中でも前述のNPO詐欺事件にも匹敵する問題とも言えます。これなんで報じないの?

 

 

 さっそくこれらの新聞社の人に聞いたところ、返ってきた答えは総じて「新聞社の記事考査のプロセス上の問題」とか「社会的に認め得る証言者が不在」などの返答でした。つまりは暇空茜さんが大勝利したにもかかわらず、社会的に不思議な人過ぎて記事として触れないぞということのようです。

 

 

 さすがに政府会議のオブザーバーに警察庁がいたり、日本財団が活動助成してることに対し「全部グルだ、ナニカだ」と騒いでいるツイートを見たら、報じるメディアから見ると、あまりまともな人ではないと判断されてもおかしくないとは思います。

 

 

 また、もともとのコンテクストとして、仁藤夢乃さんが「のりこえねっと」などで「キモいおじさん」などのコンテンツを放ち、性的問題を起こした前川喜平さんや米山隆一さんを公然と罵倒し、さらに二次元コンテンツの好きなオタクたちを公然と批判し、イラストにすぎないものを女性への性的略取と捉えるなど、先鋭的な議論を長年積み重ねてきたことへの反動もまた大きかろうと考えます。

 

 

 こういうコンテクストは、新聞社で事件を追っているような記者には読者に伝える言葉を持たないのかなとも感じるわけですよ。

 

 ただ、1月4日以降東京都が住民監査請求の結果を公表すれば東京都監査局をソースとして記事が出るであろうこと、また、なんなら暇空茜さんも社会的に認知され得る弁護士を並べて記者会見すれば産経新聞とかHANADAとかが書いてくれるんじゃないかと思いました。

 

 私も本件はお腹抱えて笑いました。まだ黒煙が上がっている、いい事件です。皆さん、良いお年をお迎えください。