パラリンピック アルペン男子回転 座位 森井大輝が5位

 

 

 

 

 

北京パラリンピックのアルペンスキー、男子回転の座って滑るクラスで、森井大輝選手が5位に入りました。

 

 

回転は通過する旗門の間隔が狭いため、素早く正確なターンが求められる種目で、選手は2回滑り、障害の程度に応じて係数をかけたタイムの合計で競いました。



今大会2つのメダルを獲得している森井選手は、1回目で7位につけ、2回目も荒れたコースに苦労しながらも粘って滑りきり、合計タイムは1分42秒55で5位に入りました。



一方、2014年のソチ大会のこの種目で金メダルを獲得している鈴木猛史選手は、1回目で4位と好位置につけ、2回目も持ち味の軽快なターンを見せていましたが、コース後半の急斜面で転倒し、途中棄権となりました。

初出場の41歳、藤原哲選手も、2回目にコースアウトして途中棄権しました。



出場した39人のうち半数以上が最後まで滑りきれない過酷なレースを制したのは、ノルウェーのイェスペル・ペデルセン選手で、今大会4つめの金メダルを獲得しました。

 

 

森井「うれしさと悔しさ入り交じった複雑な大会」

森井選手は

「厳しいレースだったけれど、今できる技術を最大限振り絞って戦うことができたので、悔いはない」

と話しました。

滑降とスーパー大回転で銅メダルを獲得した今大会については

「たくさんの人に支えてもらってスタート台に立ち、メダルをとれたことはうれしかった。それでも、なんとか金メダルという形で恩返しをしたかったので、うれしさと悔しさが入り交じった複雑な大会だった」

と振り返りました。

今後については

「まだまだ速くなれるし、戦えると思うので、一年一年チャレンジできれば」

と話していました。

 

 

鈴木猛史 2大会ぶりのメダル獲得ならず

 

ソチ大会アルペンスキーの金メダリスト、鈴木猛史選手は、2016年に結婚し「家族にメダルを持ち帰りたい」と5回目のパラリンピックに臨みましたが、13日に行われたアルペンスキー最後の種目、得意の回転は、勝負をかけた2回目の終盤で転倒し、2大会ぶりのメダル獲得はなりませんでした。

回転は、アルペンスキーの種目の中で最も旗門の数が多いうえ、旗門と旗門の間隔が短く、素早い動きと正確なターン技術が求められます。

小学2年生のときに交通事故で両足を失い、その1年後にチェアスキーと出会って競技に取り組むようになった鈴木選手は、優れたバランス感覚と素早いターンが持ち味で、回転を最も得意とし、その技術は「天才肌」と評されてきました。

2006年のトリノ大会に17歳で初出場を果たし、4年後のバンクーバー大会の大回転で銅メダルを獲得、2014年のソチ大会では得意の回転で金メダル、滑降でも銅メダルを獲得し、森井大輝選手や狩野亮選手とともに日本のチェアスキーを引っ張ってきました。

しかし、2016年に結婚して迎えた前回のピョンチャン大会では、若手選手の台頭もあって4位が最高で、3大会連続のメダルには届きませんでした。

その後、子どもも生まれて「なんとしてもメダルを持ち帰って妻と息子に見せてたい」とモチベーションを高めて北京に乗り込みましたが、ここまで出場した4種目はスーパー複合と大回転の5位が最高でした。

照準を合わせていた回転は大会最終日、最も得意とする種目で、鈴木選手は1回目、正確なターンを刻んで、障害の程度に応じた係数をかけたタイムで、トップに3秒63、メダル圏内の3位には2秒60差の4位につけました。

逆転をねらった2回目、鈴木選手は勢いよくスタートゲートを飛び出し、ストックの役割を果たすアウトリガーを体の前に出してポールをなぎ倒していく、鈴木選手ならではの滑りで攻めました。

最後の中間計測地点ではそれまでに滑った選手のトップのタイムで、2大会ぶりのメダルが視界に入ってきましたが、最後の急斜面でふんばりきれず転倒して、無念の途中棄権となり、最愛の家族にメダルを持ち帰る目標は果たせませんでした。

 

 

鈴木「応援してくれる人たちにメダルを見せたかった」

鈴木選手は、大きく息をついたあと、転倒した場面を振り返り

「先に滑った先輩からアドバイスをもらっていたが、体の動きが遅れてしまいクリアできなかった。応援してくれる人たちにメダルを見せたかった。本当に申し訳ない」

と唇をかみしめました。

そして、新型コロナの影響もあったこの4年間について振り返り「練習をあまりできなかったのが本当に痛かった。でもそれは海外の選手も同じなので、僕の努力不足だったと思う」と、最後は涙を流していました。

 

 

藤原哲「レベルを上げて次に」

藤原選手は

「ターンが少し遅れてしまった。最後の種目で滑りきれず残念だ」

と悔しそうに話しました。

初めて出場した今大会を振り返り

「ずっとこの大会を目指していた。すごく難しいコースで大変だったけれど、楽しめた。高速系の種目で最後まで滑りきることができなかったので、技術的にもレベルを上げて次に挑みたい」

と話していました。

 

 

 

 

 

 

 

パラリンピック アルペン男子回転 立位 高橋12位 小池18位

 

 

 

 

 

北京パラリンピックのアルペンスキー、男子回転の立って滑るクラスで、2大会連続出場の21歳、高橋幸平選手は、2回滑った合計タイム1分44秒81で12位でした。

 

 

回転は通過する旗門の間隔が狭いため、素早く正確なターンが求められる種目で、選手は2回滑り、障害の程度に応じて係数をかけたタイムの合計で競いました。

 


このほかの日本勢は、


▼5大会連続出場の小池岳太選手が、2回目に順位を8つ上げ、1分50秒15で18位。
▼2大会ぶり出場の東海将彦選手は、2分7秒72で25位。
▼初出場の青木大和選手は、1回目で転倒しましたが、コースに戻って最後まで滑りきり、2回の合計タイムは2分14秒79で26位でした。



金メダルはフランスのアルチュール・ボシェ選手で、今大会3種目を制しました。

 

 

高橋幸平「2回目で難しさを痛感した」

 

高橋選手は、今大会唯一の出場となった回転のレースについて

「うまくいかないときを乗り越えて、この場に立たせてもらったので、かける思いはものすごくあった。1回目でいい位置につけたと思ったが、2回目でこの狭いコースを滑りきる難しさを痛感した」

と悔しさをにじませていました。


今後に向けては

「同年代の選手が活躍していて、自分も食らいついていく気持ちになれた。いいターンもあったので、そういうところを上達させていきたい」

と話していました。

 

 

小池岳太「厳しくても挑むこと 達成できた」

 

小池選手は、自転車競技にも取り組んだこの4年間を振り返って

「現状維持ではだめだと思って挑戦したことで、自分の足りないところを学べたし、スキーの魅力にも気付いて、自分を変えることができた」

と話しました。


そのうえで

「入賞にも届かなかったことは申し訳ないが、どんなに厳しくても挑むということは達成できた。この舞台に立たせてもらって本当に感謝している」

と話していました。

 

 

東海将彦「完全燃焼できた」

東海将彦選手

「最後の最後までやれることはやって完全燃焼できた。期待していた内容とはかけ離れてしまったが、8年ぶりに大舞台に戻って来られて、最終日までけがなく滑り切れた。悔しい部分もあるが、笑顔で終わりたいと思っていた。8年間いろいろあったけれど頑張ってきてよかった」

と満足そうに話していました。

 

 

1回目転倒もコース復帰の青木大和「はいつくばってでも」

青木大和選手は1回目で転倒しながら斜面を登ってコースに戻った場面について、

「友だちや家族が応援して見てくれていたので、はいつくばってでもがむしゃらにゴールして2回目につなげたかった」

と振り返りました。


そのうえで

「楽しさはあったが、回転は自信があり、20番以上を目指していたので悔しさが残った」と話しました。


今後に向けては

「次の大会ではいい場所に立てるようにトレーニングを積んでまた戻ってこられたら」

と意気込みを新たにしていました。