イチロー、来年3月の日本開幕戦で復帰も 今季は出場せず球団会長付特別補佐に
http://www.sanspo.com/baseball/news/20180505/mlb18050505050010-n1.html
2018.5.5 05:05

就任会見で、質問の答えを考えるイチロー。努めて冷静に話し続けた (共同)
【シアトル(米ワシントン州)3日(日本時間4日)】
米大リーグ、マリナーズは、歴代21位の3089安打を放っているイチロー外野手(44)をメジャー出場の前提となる40人枠から外し、球団の会長付特別補佐としたと発表した。
今後もチームの練習に参加し、トレーニングも継続していくが、今季の残り試合はプレーしない。
就任会見に臨んだイチローは現在の心境を語るとともに、アスレチックスとの日本開幕戦が開催される来春の現役復帰に意欲も見せた。
記者会見に登場したイチローは大きく息をついた。
ロースター(メジャーの40人枠)から外れ、今季はもう試合に出場しない。
しかし、チームに帯同して練習は継続する。
来季の現役復帰も認められ、肩書はマリナーズの球団会長付特別補佐。
異例尽くしの立場となった心境を自らの口で語った。
「この日が来るときは僕は辞めるときだと思っていました。ただ、こういう提案がチームの方からあって、このチームがこの形を望んでいるのであれば、それが一番の彼らの助けになるということであれば、喜んで受けようという経緯です」
右脇腹を痛めて戦列を離れていたベン・ギャメル外野手(25)が4月18日(日本時間19日)に復帰すると、地元メディアは戦力外の可能性を報じ、今週末のホームでの試合が終了した時点で引退するのでは-との憶測さえ流れた。
3月7日(同8日)に古巣復帰が決定したが、すでにこの頃から今回の処遇も選択肢の一つとして話し合われていた。
ジェリー・ディポト・ゼネラルマネジャー(GM、49)は「イチローをマリナーズにどう残すかということを意識した」とマイナー降格や戦力外通告以外の道を探った。
最終的な話し合いは4月30日(同1日)。
夫人の弓子さん(52)もスタンドに駆けつけ、今季ラストゲームとなった2日(同3日)のアスレチックス戦は3打数無安打で、九回の最後の打席は空振り三振で幕を閉じた。
イチローは「これが最後ではないということをお伝えする日」と現役引退を否定し、ディポトGMも来季以降、再契約する可能性を否定しなかった。
長く実戦から離れるため、現役復帰には厳しい見方があるが、覚悟は決めている。
来年3月にマ軍は東京ドームでア軍と日本開幕戦で対戦するために来日する。
声援を送り続けてくれた日本のファンの前でプレーできる可能性は、まだ残されている。
「遠いですけど、目標を持っていられるっていうのは、大きなことです」。
そこでグラウンドに立てれば、何よりの花道となる。
この日の練習にはユニホームでグラウンドに姿を現し、試合中は投球マシンを相手に打撃練習もしていたという。
一回、先頭で打席に入ったディー・ゴードン外野手(30)は右腕を伸ばし、バットを立てた。
イチローの構え、だった。
「これまでの感謝を込めた」とゴードン。
マーリンズ時代から慕ってきた後輩は帽子にも「Thanks 51」と書き添え、敬意を表した。
日米の球界関係者だけでなく、世界中のファンがイチローの今後に注目している。
「僕は野球の研究者でいたい。自分が今、44歳で、アスリートとしてこの先、どうなっていくのかというのを見てみたい。だから、喪失感みたいなのは、実はないんですよね」
オリックスでは7年連続で首位打者。
米大リーグに挑戦した2001年から首位打者、最多安打、新人王、リーグMVP、04年にはシーズン262安打のメジャー記録を作り、日米通算4367安打と数々の金字塔を打ち立てた。
偉大な求道者が、新たな荒野に向けて歩み始めた。
マリナーズのジョン・スタントン会長
「偉大な野球選手として、これからも(球団に)いてくれることをうれしく思う。イチローはわれわれの大事な一部であり、永遠に家族でいてほしいと思っていた。彼にとっては新たな一章となるだろう」
中日・松坂
「ああいう形でサポートをお願いされるのもイチローさんの実績、功績の表れだと思う。僕はイチローさんが(来年日本で開催される)開幕戦のメンバーに名を連ねると思っている。(日本の球団とのエキシビションマッチなどで)機会があれば、僕は喜んで投げたい」
日米で対戦経験のある巨人・上原
「球団から慕われているということ。それだけの経歴、成績を残している方。うらやましいし、もう一回対戦したかった。来年以降、イチローさんも僕もどうなるか分からない。その時々で、いろいろな感情が生まれてくると思う」
ヤクルト・青木
「イチローさんが、どこまでやれるか見てみたい。プレーをしているのが、イチローさんは似合っている」
西武・松井
「びっくりした。イチローさんだからこその契約。日本でもずっと背中を見てきて米国でも背中を見てきた。(引退ではないのは)すごくいいと思う」
ソフトバンク・和田
「今季に関してはイチローさんの打席や投げる姿、守備に就く姿をもう見ることがないのかなと思うと、寂しい気持ちもある」
ドジャース・前田
「初めての対戦は特別な感情があり、思い出に残っている。来年対戦できる可能性があるかもしれないので、僕自身も頑張っていきたい」
ダイヤモンドバックス・平野
「引退したわけでないのなら球場で会うことができる。(8月のマリナーズ戦で)お会いできたらいい」
★殿堂入りに影響も
将来的に米大リーグの殿堂入りが確実視されているイチロー。
現役引退後、5年で殿堂入りの投票用紙に名前が載るため、仮にこのままメジャーでプレーしなければ2023年オフに選ばれることになり、24年7月にセレモニーが行われる。
来季、東京で行われる開幕戦に出場すれば、すべて1年遅れる。
ちなみにオープン戦と親善試合はカウントされない。
イチロー(鈴木一朗=すずき・いちろう)
1973(昭和48)年10月22日生まれ、44歳。
愛知県出身。
愛工大名電高から92年ドラフト4位でオリックス入団。
94年にプロ野球記録(当時)の210安打を放ち、同年から7年連続で首位打者に輝いた。
2000年オフにマリナーズへ移籍。
04年に262安打を放ち、米大リーグのシーズン最多安打記録を更新した。
ヤンキース、マーリンズを経て今季、マリナーズに復帰。
06、09年WBC日本代表。
1メートル80、79キロ。
右投げ左打ち。既婚。
年俸75万ドル(約8000万円)。
背番号51。