経営者は新しいチャレンジをすることに注力しがちになる傾向がある。

 

初めてすることに対するワクワクドキドキは大きな活力でもある。

 

新しいことを始める時は過去の経験からの学びを最大限に活用したい。

 

過去は振り返らないを良しとする人もいるがオレは過去を振り返る時間は貴重で大切だと考える。

振り返りたくない失敗は山ほどあるよ。

ああすればこうすればよかったのにと多くの悔いが脳裏を巡る。

 

悔いることを良しとしないと考えていた頃があった。

潔くなくてカッコ悪いと思っていたんだ。

良い結果が得られるまで何回でも挑戦すれば必ず成功するはずと

 

でも今はうまくいかったことは大いに悔いていいと思っている。

苦しんで泣いて凹んでいい。

 

失敗と悔いを受け入れたその後にどうするか

積み重ねた悔いを学びと希望に変えたい。

 

ある時に事業に失敗してその上に離婚にまでなってしまい大いに苦しんでいる経営者の仲間が相談に来た。

自分が下した選択と判断の数々を悔やんでいて自暴自棄になる寸前だった。

 

話を聞いていて元気付けてあげたかったのだけどオレは離婚の経験はない。

オレの酷い失敗話では元気を与えることは出来ないと思った。

 

「オレの大好きな歴史小説の主人公が言っていた言葉を自分に言い聞かせているんだ」

 

「なんて?」

 

「選んだ道が唯一の道だと」

 

悔やむだけ悔やんだら選択した道はその道しかなかったことを自分に言い聞かせて自身を責めることはやめるべきだ。

 

「自分を責めるのはもう終わりにしよう」

 

憑き物が取れたように少し楽になったような表情の彼を見た時はホッとした。

 

もう何年も前の話なんだけど今もたまに会うとその時のことをよく覚えているようで「選んだ道が唯一の道なんだよね」と挨拶のように笑顔でオレに言ってくる。

再び経営者の道を歩んでいる彼の大きな転換点の瞬間に立ち会えたことはオレにとっても大きな経験になっている。

 

経営者はきっちりしっかりしなくてはいけないという意識が強くて自分を責める傾向にある。

悪いわけではないそれでいい。

 

でもそれだけだと自らが自分を苦しめて退路まで絶つことににもなり得る。

もっと適当で緩くていいんだ。

 

適当緩いとルーズは違う。

無責任とも違う。

 

時間を守れないなどのルーズは論外だし、会社経営はきっちりするのは当然である。

 

でも相手に対して、そして自分自身に対してはもっとゆるくていいよ。

 

すべきことをして責任を取った後には

自分をもう責めるな

そこはゆるくていい

 

それが何度失敗してもその度に立ち上がるために絶対に必要な在り方と言っていい。