【転記】法学周辺の死刑存廃論議なんて児戯に等しい | 矯正知力〇.六

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メモ的ブログ

以下、mixiの猫王さんの日記より転記。

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『法学周辺の死刑存廃論議なんて児戯に等しい』


最初に一言いうと
死刑存置の論理は、最近話題のホメなんとか療法と同質だ
根拠をもたない
要は非科学だということ

法学は、社会科学の女王だと形容されたりもするが
時には、ただの言葉遊びに陥っている


◆死刑存置派は、超能力者(ホメなんとか療法の擁護者と同じ論理)

死刑制度の存置か廃止かの論争で
特に存置派は、肝心なことに触れない

そもそも!
なぜ?
死刑が必要なのか?

それを誰も語らない

死刑制度がなくてはいけない
客観的、合理的な理由を、誰も述べない

主観的、非合理的なものを
「理由」と言って語る連中はいるけど

これなんて、最近話題の「ホメなんとか療法」と同じ論理だよ

その療法が効果があること
それが必要であること

その一番の肝心かなめを説明できなくて
でも、必要だ~、効果がある~
なんて繰り返している

超能力者の屁理屈と、なんら変わらない
科学性が皆無だ


◆終身刑派は、夢見る少女(ファンタジー派)

一方で、廃止派がまともな意見を言っているかというと
死刑の代わりに終身刑を唱える一派は
存置派以上に、ファンタジーを語りだす
まるで、白馬にまたがった王子を待つ、夢見る少女のようだ

終身刑と死刑、質はどちらも同じだから!

すぐさま刑を執行して命を奪うか
長い間閉じ込めて、自然死を待つか
どちらが残酷か、苦痛か
それは人それぞれだろう
なのに死刑は残酷などと、のたまう

どちらも犯罪者を
更生不可能な特別な存在、モンスターとみなして
社会から排除していることに変わりないから!

何度も書いてきたけど
私たちと凶悪犯罪者
両者に彼我の差はない

誰だってルールを破ったり、法を犯したことがある
でも、ほとんどの人が更生してきた
そうだからこそ、日常生活を送れているわけだ

なのに、凶悪犯罪者だけは
更生しないと決め付ける
そして死刑よりも終身刑だとのたまう
全くもって、非論理的だ


◆犯罪とは何か

詳しくは、犯罪心理学入門というような本を読んでほしい

そもそも犯罪とは何か?
人が集団を作り、社会を営むようになって
それを潤滑に運営するために、ルールを定める

大雑把だが、そのルールこそ法であり
それを破ることが、犯罪となる


◆犯罪への対処の仕方

ルールを破り、社会に脅威を与える者に対して
刑法(刑事罰)でもって対処とする

しかしだ!
犯罪とは、上の項で説明したように
そもそも社会がなければ、犯罪という概念は生まれない
社会があるから、犯罪が発生するものだ

社会の中に、犯罪を生む主な要因がある
その社会的要因を改めようとしないで
「ルールを破ったから罰」というような対処療法では
社会に対する脅威は取り除けない
ことは
論理的に明らかじゃないか

誰かを罰しても、他の誰かによる、同様の犯罪は起きるのだ

刑罰だけに、社会の脅威を取り除かせようとしても
社会の安寧を図るという、目的は果たせない


◆そもそも刑法(刑事罰)そのものがいい加減

懲役刑や禁固刑ってなによ?

自由刑のひとつであって・・・
んなもん分かってるわっ!
そうじゃなくて、もっとそもそもの話だよ

一定期間、犯罪者を社会から隔離したところで
何になるんだ?

そういう疑問から
今日の、懲役、禁固という刑罰は
社会から犯罪者を隔離して自由を奪うという罰から
更生を期待する方にシフトしてきている

その期間、刑務所に入れていれば
反省するだろう、更生するだろう
そういう期待を込められている

裁判所の判事が、被告人に判決の言葉をかけるときにも
それが伺えるときがある


だーけーど!

刑務所の中では、更生に向けた取り組みは
ほとんど何にもしてないんだぜ

性犯罪に関しては
平成18年度から、ようやく更生プログラムが始まったばかりだ


人は不均等に成長するがゆえに
誰かにとっては常識であっても
他の誰かにとっては、そうじゃなかったりする

人は、学んだことしか分からない
これは科学的見解そのものだよ

脳は、経験しないと
記憶をしないし、思考もしないし、理解もしない


◆じゃ~死刑も終身刑もダメというなら、どうすんべ?

直接的な刑事罰としては、更生教育しか選択肢はない

刑務所のようなところに収容し
更生するまで、教育を施す

私はこれを、更生教育(目的)刑と名づける

これ以外に、刑法(刑罰)の範疇内における
「社会の安寧を図る」という目的に対して
合理的に応えるものはない

死刑でも終身刑でも、社会から犯罪者を排除しちゃうから
危険は取り除けるというけれど
更生の可能性がある以上
安易に人の命を奪うこと(終身刑も時間差があるだけで同じ)
合理的でないことは、言うまでもない


更生させる取り組みと同時にね
罪を犯すにいたった原因を排除しなければ
塀から出てきたら、同様の犯罪を繰り返す可能性が残るだろう
経済犯罪や、金品を奪う目的の犯罪なんかで、それは顕著だろ


なぜ社会の中で、その犯罪が生まれたのか
加害者個人が、なぜその罪を犯したのか
徹底的に原因を追求し、研究しないといけない

裁判も、今以上にそれを行う場にしていくべきだ
言葉遊び的な裁判ではなく
真実を科学的に求める場に、変えなければいけない


そして、そこで得られた答えを真摯に受け止めて
犯罪を起こさせないように、社会はその形を変えなきゃいけない

そうじゃないと、同様の犯罪は永遠に繰り返されるし
社会情勢によっては、増えたりもする


◆最後に

「科学」の述語は、根拠だよ
その主張の前提となっているモノの
根拠を問うこと、明らかにすることが
科学の方法論の、最基礎だ

なぜ死刑じゃなきゃいけないの?
なぜ終身刑じゃなきゃいけないの?
そもそも、犯罪って何?

そういう前提の中身を問わない、死刑存廃論争なんて
小学校のホームルールの罵り合いと、質的に変わりない

もちろん、法学のすべてが
前提を無視する訳じゃない
廃止派の中には、そういう人もいる
それが主流派かどうかは知らんけど

だけど、主張の前提を問うという
当たり前のことが
この論争の主題となっていない時点で
法学周辺の死刑問題の論争なんて、児戯と変わりないと思うナー

「なぜ死刑が必要なの?」という
そもそもの前提に対する問いを無視して
論争しているんだからw


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>更生しなければ閉じ込めておけばいいとかぬかすが、そいつらに使われ
>る税金が無駄すぎる。
>この国は貧乏です、無駄金は極力カット。
>そんなに死刑囚生かしておきたいならポケットマネーでやんなよ。

この理屈だと、まったく社会でつじつまが合わなくなりますね
犯罪に対する費用も、インフラのようなモノですよ

この国は貧乏だから、国保やめますか?
車が余り通らない、田舎の峠道だから、道の修繕やガードレールつけるのをやめますか?

死刑囚、戦後で200数十名です
その更正にかかる費用が、国家財政を圧迫するというのですか?
税制規模から言えば、僅かな金額です

その僅かを無駄だというのであれば
営利を生みださない国のやることすべてが無駄ということになります


その他の懲役刑の者も
実際の再犯率をみると、どんなに少なくみつもっても
半数以上は更正しております
それは、白書などの再犯に関する統計から分かります

次ぎに、犯罪に対処する社会全体が支払う費用を考えると
刑務所内だけの費用に限りません
更正教育にかかる費用が、既存の刑務所内の費用に上乗せされますが
その分は、十分に相殺されると思います

まず、更正教育を施さない場合、再犯がそれより高くなります
そこで再犯が起きた場合
被害者の経済的損失
捜査や逮捕にかかる警察コスト
また、社会全体で防犯に対するコストもあるでしょう

罪を犯した者を、更正させて
再犯を防ぎ、犯罪そのものを根本から起きづらい社会にする
その方が、逆にトータルで見れば
安くなると思います

このことは、実際にそういう社会がきて
比べてみなければ、正確なことは言えません

ただ、安易に今のほうが、更正教育目的刑よりも
コストが安いとは、言い切れません


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参照
【転記】死刑では何も解決しない