(昨夏の旅行記の続き)以前からず~っと観に行きたいと思っていましたが、遂にこの日がやってまいりました!物語の舞台のザルツブルクで観るサウンド・オブ・ミュージック!ザルツブルク・マリオネット劇場による人形劇の公演です!

 

 

 

 

(写真)ザルツブルク・マリオネット劇場。常々ここでサウンド・オブ・ミュージックを観たいと思っていましたが、やっと念願が叶いました!

 

(写真)ミラベル庭園を散歩すると、旧市街側の入口の近くにこの案内があり、毎回それを見ては観に行きたいと

想いを募らせていました。遂に遂に実現します!

 

(写真)マリオネット劇場(オレンジの丸)はザルツブルク音楽祭のモーツァルト・マチネの会場のモーツァルテウム(赤の矢印)の並びにあります。モーツァルト・マチネを聴きに行く度に前を通るので、今日はどんな演目をやっているんだろう?と看板を見るのも楽しいです。

 

 

 

実はザルツブルク・マリオネット劇場自体には一度入ったことがあります。それはモーツァルト生誕250周年に湧いた2006年のザルツブルク音楽祭の公演。何と、モーツァルトのオペラ「バスティアンとバスティエンヌ」と「劇場支配人」を組み合わせて人形劇で上演してしまうという、絶妙なアイデアの公演!!!

 

 

(写真)その公演のDVD。本当に素晴らしい公演で、「ザルツブルク音楽祭って、めちゃめちゃ凄い!」と、想像の斜め上を行く企画の斬新さを強烈に体感しました。

 

 

今回はザルツブルク音楽祭の枠組みではなく、普段上演しているザルツブルク・マリオネット劇場の公演です。しかも、ず~っと観て観たかったサウンド・オブ・ミュージック!!!めちゃめちゃ楽しみです!

 

 

 

 

 

劇場に入ると、ロビーに人形や公演記録の写真がずらっと展示されていて雰囲気あります!いい感じのバーコーナーもありました。

 

私が観た2006年の「バスティアンとバスティエンヌ」の写真もありました。どうらや、バスティアンとバスティエンヌ自体はもともと劇場のレパートリーにあるようですね。モーツァルトが12歳の時に書いたチャーミングなオペラ。それをレパートリーにしているとは、さすがです!

 

 

客席に入ると縦横とも20席足らずの小ぢんまりとした空間。客席の脇の壁際に10cmくらいの厚さのクッションが置いてあって、観に来たお子さんたちが次々に取りに来るのが楽しい。5分前の案内がドレミの歌のチャイムというのがまたいい!

 

 

 

 

 

さて、サウンド・オブ・ミュージック、ということで、とにかく楽しみしかありませんが、注目は冒頭の山の上のマリアのシーン。サウンド・オブ・ミュージックの主題歌をマリアが歌い、それに合わせて、マリアがくるりんと回り踊って開放感を表わす、そのシーンが大好きなんです!

 

(ちなみに、2018年にウィーン・フォルクスオーパーで観た時には、冒頭のそのシーンを観て、感動のあまり開始3分で泣きました、笑)

 

(参考)2018.4.30 ミュージカル/サウンド・オブ・ミュージック(ウィーン・フォルクスオーパー)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12383306205.html

 

 

さあ、人形劇ではそのマリアの「くるりん」をどう表現するのかな?と注目していましたが、人形劇が始まると、あれ!?その冒頭のマリアのくるりんがありません!マリアが山の上で空中に大きくジャンプするような動きでした。おーい、くるりんがないと泣けないじゃないか~!

 

しかし、よく観ると、マリアの足もとの山も大きく上下して、まるで山がふかふかのクッションになっていて、マリアはそのクッションでバウンドして寛いでいる様子が見て取れます。

 

つまり、これはマリアが修道院を抜け出して、山の上で心の底から寛いでいる心境を、山をクッションに見立てて、マリアがクッションでバウンドして表わしているんですね!しかも、この動きは映画やミュージカルではできません。だって、山が大きく動くので、笑。

 

 

そうか!これは人形劇ならではの、人形劇だからこそできる演出なんだ!

 

 

と気付くまでに3秒。そして、その人形劇ならではの味のある演出に感動が湧き起こり、結局、涙が溢れて堪りませんでした…泣。本当に良くできている!

 

 

続いて、修道院に馴染めないマリアに対して、修道院長が相談するシーン。人形劇なので登場人物は全て人形が務めますが、修道院長だけは人間が演じます。人形よりも遥かに大きいので、修道院長の大きさと温かみを感じて、人形と人間の割り振りの妙を感じます。

 

(なお、私は2006年の冬にプラハでモーツァルト/ドン・ジョヴァンニの人形劇を観たことがありますが、その公演でも最後の石の客(騎士長)だけは人間が務めていて、巨大な存在感を表わしていて、とても良かったです。そのことを思い出しました。)

 

 

修道院長の勧めで、マリアはトラップ大佐の家に家庭教師として赴任します。7人の子供たちが登場するシーンでは、1人が階段滑りを失敗して、階段の下の柱に激突して墜落するお茶目さ!人形ならではの速い動きがユニークで、とても見応えがあります。

 

 

ドレミの歌では、後半のドミミ、ミソソのシーンで一人一人がジャンプしたり、空中遊泳をしていました。人形ならではのダイナミックな動きが歌の躍動感をよく伝えます。

 

ドレミの歌はザルツブルクの様々な場所で行進する、映画版のサウンド・オブ・ミュージックの躍動感のある映像が素晴らしいので、観る前はさすがに映画には敵わないかな?と思っていましたが工夫があっていいですね。

 

 

トラップ大佐の厳格な教育方針に反して、自由に子供たちを教育するマリアが辞めさせられそうになるシーン。この時、子供たちがサウンド・オブ・ミュージックの主題歌を重唱して、辞めないでと訴えるシーンは、フォルクスオーパーのミュージカルでも号泣しましたが、今回も大いに感動!

 

 

そして前半ラストは修道院長の「すべての山に登れ!」の歌!フォルクスオーパーの公演で超絶に感動したシーンですが、人形劇では歌が終わると晴れやかに朝日が昇って、マリアが修道服を脱ぐと、修道服が鳥のように自由に羽ばたいていく絶妙な演出でした!うわ~、素晴らしい!!!

 

 

何、この感動的な「すべての山に登れ!」

 

ザルツブルク・マリオネット劇場のサウンド・オブ・ミュージック、凄すぎる!!!

 

 

(参考)第1幕最後の修道院長の歌「すべての山に登れ」。この動画は素敵なソリストに加えて合唱が活躍するのがとてもいい!この歌、途中で「サウンド・オブ・ミュージック」の主題歌の旋律を逆転させた音型が出てくるのが好きです。

https://www.youtube.com/watch?v=HkJNaTQgjKM (3分)

※The Tabernacle Choir at Temple Squareの公式動画より

 

 

 

ここで幕間の休憩になりました。劇中は大人しく観ていたお子さんたちが、クッションを投げたりして、賑やかに遊び始めました、笑。でも、最後はクッションをちゃんと元の場所に戻して、お利口さんですね~。

 

 

 

後半はトラップ一家にナチスの影が差し込んでいきます…。トラップ大佐がエルザと結婚することを聞いた時の子供たちのがっくりする様子が大袈裟で可愛い。逆にマリアが戻ってきて、トラップ大佐がマリアと結婚することを聞いた時の子供たちの喜びよう!

 

トラップ一家はザルツブルク音楽祭に参加して、ドレミの歌などを披露します。中でもトラップ大佐自らがギターで歌うエーデルワイスが素晴らしい!途中で力を落としますが、マリアや子供たちが励まして、歌で加わるシーンがめちゃめちゃ感動的!

 

(さらに、私は午前中にきよしこの夜礼拝堂を訪問しています。きよしこの夜とエーデルワイスは、オーストリアを代表する、どちらも素朴さが魅力の歌。立て続けに楽しめて、とてもいい流れです。)

 

 

ナチスに荷担したくないトラップ大佐たちは、ザルツブルク音楽祭を利用して脱出を図り、途中、ノンベルク修道院に匿われます。追手となったロルフが恋人のリーズルを見つけるも、誰もいません、と見逃すシーンは、ロルフGJ!ですが、恋人との別れになるシーンが切ない…。

 

 

最後は「すべての山に登れ」が歌われる中、トラップ一家がみんなで山に向かって逃げていく(舞台から去っていく)シーンで終わりました!ここはトラップ一家が背景の山に向かってみんなで手を繋いだ姿が、暗転してシルエットになるミュージカルの演出の方がより感動的かな?と思いましたが、いずれにしても感動の連続の素晴らしい舞台でした!!!

 

 

 

終演後、舞台の上部から10人くらいの人形遣いのみなさんが顔を見せました。劇中は気配を感じませんが、こんなに多くの方々が人形を遣っているんだと分ると、感動がより一層高まります。

 

 

 

 

 

サウンド・オブ・ミュージック、今回は人形劇で観ましたが、改めて名作だと思いました!

 

人にはそれぞれ適性があること。今の場所が合わなくても、きっと自分の良さを出せる場所があること。芸は身を助くこと、などなど。

 

そして、何よりも、すべての山に登ること(人生においてチャレンジすること)を教えてくれます!

 

 

 

既に記事にしましたが、今回のオーストリアの旅で、私はドナーコーゲルという、やや難易度の高い岩山を登りました。一歩踏み外したら、怪我や命取りになり兼ねない、自分にとって、ちょっとしたチャレンジとなった山登りでした。

 

(参考)2023.8.18 ゴーザウ湖観光&ドナーコーゲル登山(人生で最高の山登り!)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12831072776.html

 

 

その4日前の山登りの記憶が新しい中、現地で観たサウンド・オブ・ミュージックは、極めて感動的な体験となりました!ザルツブルク・マリオネット劇場、最高!!!今度は魔笛を楽しもうかな?また観に来ます!

 

 

 

(参考)こちらは映画のサウンド・オブ・ミュージックの感動のラストシーン。ここでも「すべての山に登れ」が合唱で歌われています。私がドナーコーゲルに登った時に見た風景も、このラストシーンの山の風景と良く似ています。

https://www.youtube.com/watch?v=jvDFoF9sfQA (1分)

※Rodgers and Hammersteinの公式動画より

 

 

(写真)ドナーコーゲル登山の途中で見たオーストリアの山間部の美しい景色

 

 

 

 

 

 

 

ということで、サウンド・オブ・ミュージックの人形劇はめちゃめちゃ素晴らしかったです!!!

 

 

 

しかし、この日の観劇はこれで終わりではありません。この後すぐに、ザルツブルク音楽祭の公演を観に行きました。

 

 

今回のザルツブルク滞在、そして夏のオーストリア・ドイツ旅行のフィナーレを飾る公演。個人的に2023年のザルツブルク音楽祭の目玉だと直感で思った、最も楽しみにしていたオペラを観ました。果たしてとても感動的な公演となりました!

 

さて、この後、一体どんなオペラを観たのでしょう?次の記事で!(続く)