(夏の旅行記の続き)前回記事の通り、日中はゴーザウ湖とドンナーコーゲル登山を存分に楽しんできましたが、バート・イシュルに戻って、夜はオペレッタを観に行きました。
演目はカール・ツェラー/小鳥売り。オーストリアのチロル地方の情緒に溢れた、楽しいオペレッタです!
Lehár Festival Bad Ischl
Carl Zeller
VOGELHÄNDLER
Musikalische Leitung: Marius Burkert
Inszenierung: Anette Leistenschneider
Choreografie: Katharina Clas
Bühne: Sabine Lindner
Kostüme: Sven Bindseil
Lichtdesign: Johann Hofbauer
Adam, der Vogelhändler: David Sitka
Christel: Jenifer Lary
Baron Weps, Wald- und Wildmeister: Gerd Vogel
Graf Stanislaus, sein Neffe: Jonathan Hartzendorf
Kurfürstin Marie: Corina Koller
Adelaide, Hofdame: Patricia Nessy
Süffle: Ivo Kovrigar
Würmchen: Tomaž Kovačič
Schneck: Johannes Hubmer
Frau Nebel: Klára Vincze
Jette: Elisabeth Zeiler
Franz Lehár-Orchester
Chor des Lehár Festival Bad Ischl
(写真)会場はクーアハウス。この華麗なファザードを見ると、また素敵なオペレッタを楽しめる!と胸がときめきます!
東京では上演のないこのオペレッタですが、そこは大のオーストリア&オペレッタ好きのフランツ。今回で何と3回目です!笑 1回目と2回目は2008年と2019年にいずれもバーデンで観ました。屈託なく楽しめる愉快なオペレッタです。
(参考)2019.8.9 カール・ツェラー/小鳥売り(バーデン市立劇場@ゾマーアレーナ)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12510505823.html
小鳥売りのあらすじをごく簡単に。小鳥売りのアダムは郵便配達の娘クリステルと恋人同士。村に大公が狩猟に来る予定がキャンセルとなり、それを利用してお金儲けを企んでいたヴェプス男爵は、スタニスラウス伯爵を偽の大公に仕立て上げます。その偽の大公にアダムの就職を依頼するため、クリステルは偽の大公とあずまやに入りますが、それを知って怒るアダム。
その後、大公の夏の宮殿にて、アダムの就職面接だったり、大公妃の女官のアデライーデの結婚騒動だったり、いろいろとドタバタの展開を見せますが、最後はアダムとクリステルが仲直りして、メデタシメデタシという物語です。
ストーリーは正直いささか弱いものの、それはさておき、各場面をとことん楽しむのが、このオペレッタを堪能する秘訣です。
前半。序曲では、冒頭すぐに出てくるクリステルがあずまやに誘われる歌の旋律が非常に印象的。クラリネットがその旋律を奏でますが、一発で涙が流れます…。オペレッタの破壊力って!
大公夫人のマリー登場の軽快な歌は何度聴いてもいいですね~。太陽の輝く夏の音楽祭にぴったりな歌です。
このオペレッタのお楽しみの一つが、マリー一行がガストホフに着いた時に、出てきた大ジョッキのビールを、女官のアデライーデがまさかの一気飲みするところ。このシーン、過去2回では巨大なビールが出てきただけで観客からドッと笑いが起こり、アデライーデが見事に飲み干すとやんやの喝采となりますが、今回はブラボーのみで拍手もありませんでした???
もしかすると、チロルの舞台から遠いウィーンやバーデンの方が、逆にお馴染みのオペレッタなのかな?と感じました。
(写真)この日の日中、ドナーコーゲル登山の後に私がほぼ一気飲みしたオーストリアのビール。なぜ一気飲みしたのか?と言うと、登山で喉が渇いていたこともありますが、実は夜にこのシーンが出てくる小鳥売りを観に行くからでした、笑。
こういう旅の流れを受けての立ち振る舞いは本当に楽しい!とことん楽しみましょう!
※それはさておき、良い子は真似をしないようにしましょう!
クリステルがあずまやに誘われるシーン。あずまやの歌は旋律も歌もホロリとさせられて本当に素敵!また、過去の公演に比べると、ガストホフの看板娘ジェッテが前面に出て、歌も歌って大活躍していました。
第1幕ラストはこのオペレッタのハイライト。アダムがバラの歌を歌って、合唱が加わって壮大なシーンとなりますが、今回も大いに盛り上がりました!
(参考)カール・ツェラー/小鳥売りより「チロルでバラを贈る時は」。美しいメロディー、合唱が加わっての盛り上がり。“Rosen”(バラ)が連呼されて、本当にロマンティックで素敵な曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=qCx3Qi1SNnk (3分)
※ハノーヴァー・プロムスの公演。NDR Klassikの公式動画より。
後半も楽しい舞台が続きます。アダム、クリステル、マリーと歌が上手くてクオリティの高い舞台。特にアダムのゆっくりムーディーな歌、マリーがブランコに乗って歌った歌がとても良かったです。
すれ違いはありましたが、最後は4組のカップルができて、めでたしめでたし。アダムとクリステル、ヴェプス男爵とアデライーデ、スタニスラウス伯爵とジェッテ(ジェッテはアダムにぞっこんだったのに、いつの間に?笑)、第1幕のガストホフの従業員の2名の4組のカップルです。あれよあれよという間にカップルが出来て、唖然とさせられました!笑
さらに、それでは!と、マリーが聖職者姿になった指揮者とカップルに!笑 指揮者はマリウス・ブルケルトさん。この方に何度楽しいオペレッタを聴かせてもらったか!というくらいお世話になっていますが、聖職者姿もいい味出していました。
ウィンナ・オペレッタは途中はいろいろありますが、最後はまとまってみんなハッピーになるのが嬉しい。どうしてこういう展開になるのか?たまにさっぱり分からない場合もありますが(笑)、細かいことは気にしない、気にしない。楽しんだもん勝ちの楽しい舞台でした!
(写真)楽しい観劇後、宿に戻っての一杯は最高!この日はドナーコーゲル登山後の一杯、オペレッタの後の一杯と、美味しいビール尽くしの一日となりました!
(追伸)夏の旅行とオペラの記事が続いたので、しばらく東京のコンサートの記事を書いていませんでしたが、先週は5日(火)・6日(水)・7日(木)とコンサートを存分に楽しんできたので、感想を簡単にご紹介します。
12月5日(火)
シルヴァン・カンブルラン/ピエール=ロラン・エマール/読響
(サントリーホール)
プログラム最後のルトスワフスキ/管弦楽のための協奏曲がメリハリが聴いて、ダイナミックで大いに盛り上がりました!この曲、もはや東京ではバルトーク/管弦楽のための協奏曲と並ぶ頻度で演奏されていて、定着しています。とってもいい曲ですからね。生誕100周年記念のリゲティ/ピアノ協奏曲はエマールさんの見事なピアノ。それはまあユニークな曲でした、笑。
6日(水)
ファビオ・ルイージ/アリス・紗良・オット/N響
(サントリーホール)
アリス・紗良・オットさんのピアノによるリスト/ピアノ協奏曲第1番がめちゃめちゃ素晴らしかった!スケール感といい、思い入れたっぷりでしっくりくる表現といい、もしかするとこれまでで最も感動的だったリストかも知れません?生誕150周年のレーガー/モーツァルトの主題による変奏曲とフーガも、ルイージさんとN響のさすがの演奏でした。
7日(木)
大野和士/ニコライ・ルガンスキー/都響
(東京文化会館大ホール)
前日に続いて記念イヤーのレーガー/ベックリンによる4つの音詩に魅了されました。この曲の1曲目「ヴァイオリンを弾く隠者」はアーノルト・ベックリンの絵画「ヴァイオリンを弾く隠者」にインスパイアされて作曲された曲ですが、2018年にベルリンの旧ナショナル・ギャラリーに行った時にこの絵を偶然見つけて、大いに感動した思い出の曲です。コンマスの矢部達哉さんの奏でる美しくも儚いソロの旋律に魅了されました。
(写真)アーノルト・ベックリン/ヴァイオリンを弾く隠者
※ベルリンの旧ナショナル・ギャラリーで購入した絵葉書より
そのほか、10月以降の東京のコンサートでは、ユベール・スダーン/東響のモーツァルト・マチネ、小泉和裕/都響のブルックナー2番、尾高忠明/N響のブラームス3番、オスモ・ヴァンスカ/都響のシベリウス5・6・7番、ゲルゲイ・マダラシュ/N響のコダーイ/ハーリ・ヤーノシュ、ユッカ・ペッカ・サラステ/N響のシベリウス1番、大友直人/都響のサン=サーンス3番など、極めて充実の演奏が続いて、大いに堪能しました!
秋の東京は海外のオーケストラの来日公演ラッシュ。私はオスロ・フィルとウィーン・フィルのみ聴きに行きましたが(夏のオーストリア・ドイツ旅行でお財布がすっからかんになった疑いが?どうしてバレたんだろう?笑)、東京のオーケストラのコンサートを聴きに行くだけでも、かなりの高揚感・満足感を得られました。指揮者・ソリスト・オケのみなさまに感謝感謝です!