みなさま、お久しぶりです。お元気ですか?

 

いや~、4月に記事を書いてから、すっかりご無沙汰になってしまいました。仕事が忙しかったこともありますが、理由はブログを書く暇(いとま)を惜しんで、「あること」に熱狂しまくっていたため。その「あること」とは?今回の記事の最後の方でご紹介します。

 

 

 

さて、本題に入りますが、今年2021年は、昨年2020年のベートーベン生誕250周年のような大型の記念年こそありませんが、個人的に親しみを持っている作曲家の生誕100周年です。その作曲家とは…、

 

アストル・ピアソラ!!!

 

そう、タンゴを発展させた曲を沢山作曲し、自身も優れたバンドネオン奏者であった、アルゼンチンの作曲家アストル・ピアソラ(1921-1992)の生誕100周年なんです!

 

 

そのことを記念して、東京藝術大学がピアソラの講演とコンサートという、優良な企画を敢行したので、上野の藝大奏楽堂まで聴きに行きました。

 

 

東京藝術大学

藝大プロジェクト2021

ピアソラ100年の旅路 第1回

「ピアソラを語る、ピアソラを聴く」

(東京藝術大学奏楽堂)

 

第1部(基調講演&トークセッション)

基調講演:西村秀人(名古屋大学非常勤講師)

トークセッション:西村秀人×福中冬子×松原勝也

 

第2部(コンサート)

ル・グラン・タンゴ

タンゴの歴史

タンティ・アンニ・プリマ「むかしむかし」

ヴァオリン:松原勝也、ピアノ:山中惇史、ギター:福田進一

 

 

(写真)本企画のパンフレット

 

 

 

まず、西村秀人先生から基調講演がありました。さすがはタンゴの専門家!ピアソラについて、立て板に水でスラスラ知識が披露されて、ものの見事な素晴らしい講演でした!特にタンゴの世界においてピアソラの存在がユニークである点として、以下のことを挙げられていたのが印象的に残りました。

 

◯海外生活の多さ(ニューヨーク、パリ、ローマ)

◯自己のグループのフォーマットを変化させ続けた

◯クラシック作品の作曲にも積極的に取り組んだ

◯映画音楽への楽曲提供が多い

◯海外・他ジャンルのアーティストとの共演・コラボレーションが多い

 

 

(参考)ミュージカル「エビータ」の感想記事。パンフレットに西村先生によるピアソラ生い立ちとアルゼンチンの政治状況の詳しい解説が載っていましたが、エビータの夫のペロン大統領の時代とかなりシンクロしていました。

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12389685999.html

 

 

続いて藝大の教授2名が加わってのトークセッション。ここでは、ご自身もヴァイオリンでピアソラを演奏されてきている松原勝也先生による、

 

ピアソラの音楽は楽譜に書き切れていない音楽。楽譜の背後にあるもの、例えばダンスだったり、感情だったり、それを読み解くこと、自分の中に落とし込むことに創造性を感じる。難しいけど、とても面白い。

 

という趣旨のお話に大いに共感しました。

 

 

 

後半は、ピアソラの作品がヴァイオリンとピアノ(1曲だけヴァイオリンとギター)により演奏されます。これがタンゴのリズムがキレキレだったり、叙情的だったり、不協和音満載だったり、驚くほどに多様な音楽!しかし、多様であるものの、どれもピアソラの曲、というのは何故かよく感じられます。

 

「タンゴの歴史」のみギターの福田進一さんが加わって、ヴァイオリンとの二重奏でしたが、まあ何と粋なギター!ほとんど人間国宝の至芸を聴くような印象を持ちました。

 

 

 

そして、最後の「鮫」が終わって、盛大な拍手にアンコールが始まりましたが、これが何と、私がこの数ヶ月間、ピアノの練習で熱狂しまくっていた曲、すなわち…、

 

ピアソラ/アディオス・ノニーノ!!!

 

もう、きた~!という感じでした!この曲を生で聴くのは初めてでしたが、めちゃめちゃ感動!ピアノ版よりも激しい山中惇史さんのピアノの伴奏が見事、そして、松原勝也先生のヴァイオリンにより奏でられる旋律は、第1主題のリズムの刻み、第2主題の伸びやかなヴァイオリン、本当に素晴らしかったです!

 

 

 

ということで、フランツがここ数ヶ月ブログを書いていなかった理由は、

 

今年が生誕100周年となるピアソラ/アディオス・ノニーノの練習に熱狂していたから

 

でした。ピアノ版もアクロバティックな前奏が付いて(以下の参考動画の0:00~2:57)、極めて難しい曲ですが、せっせと練習して、かなり弾けるようになってきました。そのうち、ピアノ練習記事にできればと思っています。

 

アディオス・ノニーノは、ピアソラの最愛の父親の死に際して書かれた鎮魂の曲。ピアソラ自身、作曲した作品の中で最高の曲としていて、「それ以上の作品を書こうと何度も試みたが、書けなかった」と語っている、正に「神曲」です。

 

特に3回出てくる第2主題(以下の参考動画の1:05~1:38/3:45~5:23/6:29~7:38)は、ほとんど悶絶死しそうなくらいにノスタルジックで美しい!

 

(参考)ピアソラ/アディオス・ノニーノ(ピアノ版)

https://www.youtube.com/watch?v=pavplLzT7Mk (9分)

※Artem Amaroさんの公式動画より

 

 

 

ピアソラを絶讃練習中に聴きに行ったピアソラの講演とコンサート企画。とても楽しめました!残念ながら、まだまだコロナが終息しない状況が続いていますが…、昨年の生誕250周年のベートーベンに続き、今年は生誕100周年のピアソラの練習に邁進できればと思います。

 

(参考)2018年にピアソラの映画を見た時の感想記事。この映画の中でアディオス・ノニーノと運命的に出会いました。

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12424894050.html