(昨日夜の地震は東京もかなり揺れましたね…。東北を始め被害に遭われた方々が、早く元の生活に戻ることを心より祈っております。)
先月の新国立劇場のプッチーニ/トスカは素晴らしい公演でしたが、それを牽引したのは現在、世界最高のイタリア人テノールと評価されているフランチェスコ・メーリさん。そのメーリさんのリサイタルを聴きに行きました。
フランチェスコ・メーリ テノール・リサイタル
~ 世界を魅了するテノール ~
(東京文化会館小ホール)
テノール:フランチェスコ・メーリ
ピアノ:浅野 菜生子
ロッシーニ/「音楽の夜会」より「約束」
ドニゼッティ/ああ、思い出しておくれ、美しいイレーネ
ベッリーニ/お行き、幸せなバラよ
ルイージ・マイオ/アルケミケランジョレスカ【世界初演】
~ミケランジェロの 火、風、地、水の詩によせて~
第1曲 肉は地となり(詩篇197、215、110)
第2曲 私は水となり(詩篇231)
第3曲 どれほどの木や風が(詩篇57)
第4曲 火はすべての害となるだろう(詩篇122)
トスティ/最後の歌、理想の人、君なんかもう愛していない、魅惑、夢
マスネ/歌劇『マノン』より「目を閉じれば」(夢の歌)
ヴェルディ/歌劇『ルイザ・ミラー』より「ああ!自分の目を信じずにいられたら~穏やかな夜には」
ジョルダーノ/歌劇『フェドーラ』より「愛さずにはいられぬこの想い」
プッチーニ/歌劇『トスカ』より「星は光りぬ」
(アンコール) ※何と10曲!笑
デ・クルティス/忘れな草
トスティ/暁は光から闇をへだて
ドニゼッティ/歌劇『愛の妙薬』より「人知れぬ涙」
レオンカヴァッロ/マッティナータ (朝の歌)
トスティ/かわいい口元
レハール/喜歌劇『ほほえみの国』より「君はわが心のすべて」
カルディッロ/カタリ・カタリ(つれない心)
ディ・カプア/オー・ソレ・ミオ
プッチーニ/歌劇『トスカ』より「妙なる調和」
ヴェルディ/歌劇『椿姫』より「燃える心を」
(写真)公演のチラシより。ピアノ伴奏はコロナでダヴィデ・カヴァッリさんが来日できず、浅野菜生子さんになりました。
(参考)2021.1.23 プッチーニ/トスカ(新国立劇場)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12652746393.html
前回の記事の追伸で、「めちゃめちゃ凄かった!控え目に言って最高!アンコール何と10曲!東京文化会館小ホールの観客総立ち!未だに興奮が冷めやりません。」と書きましたが、この記事を書いている今もまだ興奮しています!このリサイタルを聴けて本当に良かった!これだからコンサート通いはやめられない!そんな最高のリサイタルでした!(以下、個々の曲の感想です。)
ロッシーニ/「音楽の夜会」より「約束」
ドニゼッティ/ああ、思い出しておくれ、美しいイレーネ
ベッリーニ/お行き、幸せなバラよ
⇒最初はロッシーニ、ドニゼッティ、ベッリーニの歌曲から入りました。どちらかと言うとテクニカルな曲、メーリさんはソット・ヴォーチェも駆使して、素敵な歌でした。
ルイージ・マイオ/アルケミケランジョレスカ【世界初演】
~ミケランジェロの 火、風、地、水の詩によせて~
⇒ルイージ・マイオはメーリさんと同じくジェノヴァ出身、音楽役者を自称する作曲家に留まらない多才なアーティストとのことです。この曲は友人でもあるメーリさんのリクエストで書かれた歌曲。イタリア語の歌曲ですが、現代の音楽で、かなりミステリアスな雰囲気。世界初演を日本で敢行していただけるのは本当にありがたいことです。
トスティ/最後の歌、理想の人、君なんかもう愛していない、魅惑、夢
⇒喉が温まってきたのか、この辺りからメーリさんの歌が全開になってきました!トスティの歌はどれも抜群!特に魅惑が素晴らしかったです。
(参考)トスティ/魅惑。愛する女性から贈られた花の不思議な魅力に陶酔する男の心境を歌う、とてもロマンティックな歌。原題は“Malìa”。
https://www.youtube.com/watch?v=pgpuIQ1ywrM (3分)
※ファン・ディエゴ・フローレスさんの公式動画より
ヴェルディ/歌劇『ルイザ・ミラー』より「ああ!自分の目を信じずにいられたら~穏やかな夜には」
⇒フランチェスコ・メーリさんと言えば、2017年にザルツブルク音楽祭で聴いたラダメス(ヴェルディ/アイーダ)が絶品でしたが、このロドルフォのアリアも素晴らしく、ヴェルディが一番合うような気がします。
太めの力強い声で迫力があり、押し出しが素晴らしい!どことなくプラシド・ドミンゴさんに似ているような気がします。(コロナでブラボー禁止ですが)歌い終わった後に、一斉にブラボーが掛かるのが聞こえたような気がしました!
(参考)2017.8.19 ヴェルディ/アイーダ(ザルツブルク音楽祭)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12323104468.html
プッチーニ/歌劇『トスカ』より「星は光りぬ」
⇒このアリアは新国立劇場の公演でも聴いて、リサイタルでも抜群の歌でしたが、特筆すべきは伴奏のピアノ!1台のピアノがオケの音楽の雰囲気をいかに出していたことか!やっぱりピアノって凄い!
トスティ/かわいい口元
⇒アンコールも抜群の歌が続きましたが、このトスティでは、何とメーリさんがピアノも弾きながら歌いました!ピアノもとても雰囲気のあるピアノで素晴らしい!
レハール/喜歌劇『ほほえみの国』より「君はわが心のすべて」
⇒まさかレハールが出てくるとは思いませんでしたが、さらに驚いたのはドイツ語でなくイタリア語!これがかなりいい感じの翻訳で、発音と音楽が実によく合います。レハールとプッチーニが交友を結んでいたことを思い出しながら聴きました。
(参考)2018.8.18 レハール/微笑みの国(バート・イシュル・レハール音楽祭)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12422243889.html
ディ・カプア/オー・ソレ・ミオ
⇒もう、きた~!という感じ(笑)。ピアノが前奏をこれ見よがしに(笑)高らかに弾くのがいい!メーリさんの情熱的な歌に、会場は最高に盛り上がり、東京文化会館小ホールの見事に満席の観客が総立ちになりました!
プッチーニ/歌劇『トスカ』より「妙なる調和」
⇒さすがにオー・ソレ・ミオで終了かと思いきや、まだアンコールは続きます、笑。オペラだと第1幕始まってすぐのアリアとなるので、後のことを考えて、となりますが、アンコールなので全開の「妙なる調和」、絶品でした!
ということで、繰り返しですが、めちゃめちゃ凄かったです!650席の東京文化会館小ホールでフランチェスコ・メーリさんを聴けることが何と贅沢なことか!シャイな日本人を総立ちにさせる圧巻の歌!
何人かの観客の方がメッセージボードを掲げていましたが、文字を逆さまに掲げていたようで、メーリさんが逆だよ~、とゼスチャーで指摘して直したり、何度も投げキッスをされたり、観客との交流もあってめっちゃ楽しい!
そして、ピアノ伴奏の浅野菜生子さんがまた素晴らしい!もともとダヴィデ・カヴァッリさんが予定されていたところ、コロナで入国できず代役でしたが、1曲1曲とても雰囲気のある伴奏。藤原歌劇団と新国立劇場でコレペティトゥールをされている方のようですが、メーリさんによく合わせて、ソロも聴かせて、抜群のピアノでした!
とにもかくにも最高のリサイタルでした!私がイタリア人テノールのリサイタルを聴きに行ったのは、2003年のジュゼッペ・サッバティーニさんのリサイタル以来18年ぶり。かなり久しぶりとなりましたが、何かの勘が働いたのか、チケットを取って聴きに行って本当に良かった!
フランチェスコ・メーリさま、コロナ禍の中、来日していただき、最高の歌を本当にありがとうございました!また聴きに行きます!