日中にレハールヴィラを堪能して迎えた今夜の演目は、レハール/微笑みの国です!

 

 

LEHAR FESTIVAL BAD ISCHL

FRANZ LEHAR

DAS LAND DES LAECHELNS

 

Musikalische Leitung: Daniela Musca

Regie: Wolfgang Dosch

Ausstattung: Toto

Lichtgestaltung: Sabine Wiesenbauer

Choreografie & Regieassistanz: Evamaria Mayer

Choreinstudierung: Gerald Krammer

Inspizienz: Susanne Marik

Korrepetition: Stefan Brinhuber

 

Lisa, Tochter des Grafen Ferdinand Lichtenfels: Alexandra Reinprecht

Prinz Sou-Chong: Thomas Blondelle

Mi, dessen Schwester: Verena Barth-Jurca

Graf Gustav von Pottenstein (Gustl): Peter Kratochvil

k.u.k. General: Nikola Basta

Obereunuch: Seungmo Jeong

Lore: Loes Cools

Fini: Stehanier Fritz

Kuli: Luka Jutersek

Diner und Chinesische Wache: Dmitry Tsepilov

 

Franz Lehár-Orchester

Chor des Lehár Festivals Bad Ischl

 

 

 

(写真)パート・イシュルの劇場のある公園のレハール像。周りのガラスケースは鳥の落とし物対策でしょうか?(笑)ウィーンの市立公園のブルックナー像にも欲しいかも?

 

 

(写真)バート・イシュルの劇場。もう何度お世話になったことか。小ぶりですが、珠玉の劇場です。

 

 

レハール/微笑みの国!もう大好きなオペレッタです!4月のクラウス・フローリアン・フォークトさんのリサイタルでも歌われたアリア「君はわが心のすべて」が一番有名ですが、冒頭のリーザの歌やグスタフとミーのコミカルな掛け合いなど、聴きどころ満載の素晴らしいオペレッタです。実演を観るのは2008年のウィーン・フォルクスオーパーの公演以来。非常に楽しみです。

 

(参考)2018.4.11 クラウス・フロリアン・フォークトさんのテノール・リサイタルその2

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12367693734.html

 

 

第1幕。右に天使、左に仏像らしきものが置かれています。序曲にバレエが付きました!リーザの踊り手が子馬で夢を表わし、仏像の踊り手はスーを表します。2人の切ない心を見事に伝えるバレエ。リーザの父親は花嫁衣装を授け、スーの父親は別れをもたらします。最後は子供のリーザが馬で進むシーン。素晴らしい序曲でのバレエシーンでした!

 

本編はチェロ主体のワルツから。このリズム感がたまらん!舞台はウィーンのリヒテンフェルス伯爵邸のサロン。伯爵令嬢リーザの冒頭の歌は3段階に進化する優れもの。Alexandra Reinprechtさんのリーザが素晴らしい!合唱との掛け合いも聴き応えがあり。

 

リーザとグスタフの2重唱、Peter Kratochvilさんのグスタフはめっちゃいい人、笑顔から人柄が滲み出ています。リーザを思う幼友達の役を好演していました。Thomas Blondelleさん扮する中国の外交官スー王子の歌は熱唱。内に秘めた情熱というよりは抑揚タップリのスーでした。ハープも利いています。

 

リーザとスーの楽しいお茶の歌、スーはたっぷり旋律を伸ばして喜びを表し、その後のソロも聴かせます。スーが首相に任命されたことを伝令が伝え、不協和音も伴った不気味な音楽が、最後晴れて長調になる感動!スーとリーザが愛を告白し、リーザはスーの妻として中国へ。素晴らしい第1幕!

 

 

 

第2幕。舞台を中国は北京に移して、冒頭の土俗的でダイナミックな音楽。よく聴くと旋律自体はコダーイ/ハーリ・ヤーノシュの第2曲「ウィーンの時計」に似ているような気もします。傘を被った男女が沢山出てきますが、これはベトナムでは?(笑)

 

また女性陣はチャイナドレス姿ですが、オーストリアの女性陣なのでどこか似合わない。東洋人が見ると、いろいろ突っ込みどころ満載の舞台ですが(笑)、いいじゃないですか。ピタピタに中国ではないですが、逆にそれを楽しみましょう!

 

Verana Barth-Jurcaさんのミー(スーの妹・リーザにテニスを習った)が乗馬服のようなテニスルックで登場。いかにもテニスを習いたて、と言った感じの素振りが可愛い(笑)。大好きなミーの中国4千年の歌。コミカルな振り付け、最後は踊りも見せてめっちゃいい!

 

 

スーとリーザの場面。リーザは舞台右脇の子馬の人形を撫でて、自由への憧れを示します。その後の2重唱!10年ぶりに観る微笑みの国、この素晴らしい2重唱があることを忘れていました。

 

(参考)レハール/微笑みの国より、スーとリーザの2重唱「誰が愛を吹き込んだのか」

https://www.youtube.com/watch?v=ur7nonZsIkE (6分)

※テノールのAntonio Pérez-Iranzoさんの公式動画より。雰囲気のある素晴らしい2重唱!1:20くらいからが2重唱です。またピアノの伴奏もいい!

 

フランツ得意の、出てくるのを失念していた歌を聴いて、逆にめっちゃ感動するパターンきた~!(笑)

 

いやもうこれね。過去に聴き込んだ作品は、久しぶりに聴くからと言って、聴き返しなんかしない方が、却って感動できることを改めて思い知りました。素晴らしい2重唱!会場も大いに湧いていました!

 

 

グスタフが武官として中国に赴任してきました。ミーと出逢ってすぐにいい感じに。2重唱はゆっくりのテンポで歌っていました。それにしてもミーの手のポーズが中国でなく、インドかインドネシアな件(笑)。

 

掟から2人側室を持たなければいけないことがリーザに知られてしまい、愛情と掟の間で苦悩するスー。ここでこのオペレッタで一番有名な歌「君はわが心のすべて」。Thomas Blondelleさんの情熱の歌!4月にクラウス・フローリアン・フォークトさんで聴いた時も素晴らしかったですが、今日は流れの中なので、より感動的です。

 

結局スーは掟に従って形だけ2人の女性を側室に。多くいる女性たちの中からランダムに2人が選ばれて、一方的に側室にされる非人道性。そして国に帰ることを決意したリーザの魂の歌!悲しみの述懐の後、スーがリーザを捕らえて第2幕を終えました。

 

 

 

引き続き、第3幕。リーザの悲しみの歌に続いて、リーザを心配するグスタフとミーの2重唱。グスタフは途中に星空を思わせるような素敵な旋律を歌います。この2人は本当にいい味出していました。

 

その後のミーの悲しい独白の歌が切ない…。オケが「誰が愛を吹き込んだのか」の旋律を運命的に奏でた後、スーはいよいよ決心して、グスタフにリーザを連れてオーストリアに帰るよう言い渡します。

 

この時のミーの悲しい表情!そして去っていくグスタフがミーを見つめながら結婚式のレースを置いていき、ミーが泣き崩れる瞬間!もう涙が溢れて堪りません…。最後、スーがミーを抱き抱えながら、ただ笑うだけの歌を歌って静かに終わりました。

 

 

 

いや~、昨日のパウル・アブラハム/ハワイの花に続いてめっちゃ感動的な公演!特に主役の4人が本当に素晴らしい!熱唱に継ぐ熱唱でドラマティックにスーを聴かせたThomas Blondelleさん、凛としたリーザが頼もしかったAlexandra Reinprechtさん、人の良さを存分に見せたグスタフのPeter Kratochvilさん、コミカルな演技で踊りも魅せ最後泣かせたミーのVerena Barth-Jurcaさん。役者が揃ってずっと魅了されっぱなしでした!

 

それにしてもレハールの音楽が何と素晴らしいことか。微笑みの国の場合、東洋の雰囲気の音楽、中国の伝統を表す厳しい音楽など、斬新な音作りに苦心したことが偲ばれますが、トロ甘の旋律やワルツはさすがの一言です。

 

 

レハールヴィラを訪問した後にレハールのオペレッタを観ることができ、また一つ大切な思い出ができました。バート・イシュル最高!

 

 

(写真)終演後に立ち寄ったレハールヴィラ。ライトアップされていて、夜もとても綺麗でした。