沼尻竜典さんが新日フィルに客演するコンサートを聴きに行きました。特に大好きなサン=サーンスのオルガン付きが楽しみです!

 

 

新日本フィルハーモニー交響楽団第624回定期演奏会

(すみだトリフォニーホール)

 

指揮:沼尻 竜典

ピアノ:實川 風

オルガン:石丸 由佳

 

ストラヴィンスキー/バレエ音楽「カルタ遊び」

リスト/ピアノ協奏曲第1番変ホ長調

サン=サーンス/交響曲第3番ハ短調「オルガン付き」

 

 

 

まずはストラヴィンスキー。私の超苦手な(笑)新古典主義時代のストラヴィンスキーです。今回はバレエ音楽ということで、先日、東響で聴いたハ長の交響曲よりは楽しめましたが、全体的にはやはりよく分からず(笑)。ただ、物語性は感じ取れたので、ぜひバランシン振付のバレエで観てみたい、そうすれば、楽しめるかも?と思いました。

 

 

 

続いてリスト。これが、實川さんによる見事なリスト!この曲はただバリバリ弾いてもなかなか感動が得られない、アプローチの難しい曲だと思いますが、場面場面にぴったりの味付けやニュアンスに溢れた素晴らしいピアノでした!

 

特に第2楽章の左手のアルペジオに対して右手をかなりもったいぶって弾いて曲想を高めていたところや、終結の場面で音を5秒くらい引っ張って(思わず「あーっ!」って声出しそうになった)余韻を残したり、雰囲気満点のピアノでした。

 

 

アンコールはファリャ/火祭りの踊り。これがテンポだったり、強弱だったり、存分に揺らして自家薬籠中のピアノ!もう圧倒されました!この曲はオーケストラ版(恋は魔術師)でも何度も聴いていますが、1台のピアノで大ホールに鳴り響いてこの興奮!ピアノって、本当に凄い楽器です。

 

 

日本の若手のピアニストは、女性陣の方が活躍している印象を持っていましたが、先日聴いた阪田知樹さん、今日の實川風さん、そして藤田真央くんと楽しみな若手の男性ピアニストが出てきて(というか、もっと早く聴きに行け~!笑)、頼もしい限りです。

 

 

 

後半はお目当てのサン=サーンス。第1楽章。沼尻さんは冒頭をたっぷり入って、ややゆっくり目のテンポ。盛り上がる場面では、弦楽や金管をかなり印象的に強奏させていて、第1部の厳しい曲想をよく高めていました。

 

第2部。石丸由佳さん演奏のトリフォニーホールのオルガンは、サントリーホールに比べると素朴でくすんだ響きという印象。シューボックス型のホールや焦げ茶色の木の雰囲気と相まって、あたかもヨーロッパの教会で聴いているかのような錯覚を覚えました。

 

第2部の癒しや慰めの優しい音楽はいつ聴いても涙します。今週も忙しい毎日でしたが、頑張って働いてきて良かった!ご褒美に感じる温かい音楽に包まれて幸せな時間。最後までゆっくり慈しむように奏でられるサン=サーンス、素晴らしい第2部でした。

 

(参考)サン=サーンス/交響曲第3番ハ短調「オルガン付き」第1楽章第2部。ちょうど、すみだトリフォニーホールのオルガンによる公式動画を見つけました。悲しいことや辛いことがあったら、ぜひ聴かれてみてください。温かい音楽に心癒されます。

https://www.youtube.com/watch?v=eji2YJaiXKM (9分)

※ユーゲント・フィルハーモニカーの公式動画より

 

 

第2楽章。特に中間部を聴きながら思ったのは、リストのピアノ協奏曲とサン=サーンスのオルガン付きには意外に共通点がある、ということ。4部構成とそれぞれの曲想も似ていますし、両曲ともスケルツォにはトライアングルが入り、聴きようによっては天使/悪魔めいた和声が感じられるところも似ています。

 

今日のコンサートのプログラムを見て、「どうしてリストとサン=サーンスを並べたんだろう?」と思いましたが、実はよく考えられたプログラミングなのかも知れません。さらには実はストラヴィンスキーのカルタ遊びのジョーカーとメフィストフェレスを重ねていたりして?こういうプログラミングの妙をあれこれ想像して楽しむのも、コンサートを聴きに行く醍醐味ですね。

 

第2部。ここは冒頭の弾けるオルガンから、サン=サーンスのめくるめく音楽に圧倒されます!沼尻さんは走るところ、溜めるところ、ツボを押さえた見事な指揮。素晴らしいオルガン付きでした!

 

 

 

沼尻竜典さんと實川風さんと石丸由佳さんと新日フィルのコンサート、楽しかったです!實川さんによる見事なリスト、そしてオルガン付きも沼尻さんの指揮が冴えて、鉄板に素晴らしかったです。新日フィルのセカンド・ヴァイオリンの方がご退任の最後のコンサートとなり、観客からは大きな拍手。こういうシーンに立ち会えるのは本当にいいものですね。

 

 

 

実はサン=サーンス/交響曲第3番ハ短調「オルガン付き」をコンサートで聴くのは、この2年間で何と5回目です(笑)。 名曲は繰り返し聴いても全く飽きることなく、毎回必ず感動を得られます。指揮者やオーケストラの違い、コンサートホールのオルガンやオルガニストの違いを聴くのも楽しいものです。

 

2018.8.3 川瀬賢太郎/神奈川フィルのサン=サーンス3番

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12395442507.html

 

2018.8.31 秋山和慶/サイトウ・キネン・オーケストラのサン=サーンス3番@松本

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12401942806.html

 

2018.10.19 大野和士/都響のサン=サーンス3番

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12413168611.html

 

2019.5.22 ネーメ・ヤルヴィ/N響のサン=サーンス3番

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12463442751.html

 

 

 

 

 

(写真)そして、サン=サーンス/オルガン付きの温かい第1楽章第2部を聴いた後に楽しんだ、同じく慈愛を感じさせるボルドーの25年ものの赤ワイン。これがものの見事に当たって抜群でした!次の記事で!