先週土曜のジャン・フルネ没後10年のフランスもののコンサートが素晴らしかった大野和士/都響。今日は続けてフランスもののコンサートを聴きに行きました。

 

 

東京都交響楽団第863回定期演奏会Bser.

(サントリーホール)

 

指揮:大野和士

ヴィオラ:タベア・ツィンマーマン

ヴィオラ:アントワン・タメスティ

 

マントヴァーニ/2つのヴィオラと管弦楽のための協奏曲(2009)(日本初演)

サン=サーンス/交響曲第3番ハ短調「オルガン付」

 

 

(参考)2018.10.13 大野和士/リーズ・ドゥ・ラ・サール/都響のジャン・フルネ没後10年記念コンサート

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12411817852.html

 

 

 

前半はマントヴァーニ。2つのヴィオラによる協奏曲です。冒頭から2つのヴィオラによる緊張感に満ちた不協和音が続きます。オケが急き立てるような音を出したり、パーカッションが激しく入ったり、ホッとするところのない、緊張の連続の音楽です。

 

タベア・ツィンマーマンさん、アントワン・タメスティさんの2人のヴィオラは、急に大きな音を出したり、えぐみのある音を出したり、曲の全般に渡って大活躍。あまりの熱演に、タベタ・ツィンマーマンさんが途中で弦を切り、3分間くらい楽屋に戻り、途中からリスタートするという、珍しい光景も見られました。

 

プログラムには、以下の解説がありました。

◯前衛音楽から聴衆が離れていってしまった主たる要因は「不協和音が耳に優しくないこと」と「流れが知覚できないこと」という2点に集約される

◯2008年に作曲された本作では、(中略)セクションごとを特徴づけるフレーズが登場。より知覚しやすい音楽へと変化している

 

今回のマントヴァーニは少し予習をしましたが、少し聴いた時点で、40分かかるこの曲は、聴き込むまでには相当な時間が必要となるし、十分聴き込んでも、曲の流れや構造は結局よく分らない可能性もあるので、予習は1回で終えました。残念ながら、忙しい毎日の中、現代音楽をじっくり聴き込む時間は私にはありません。

 

なので、実際にホールで全曲を聴いても、音楽を十分理解できた、という訳ではありませんでしたが、曲の雰囲気を楽しむことは十分できました。都響の演奏は9月のルトスワフスキに続き、難しい曲を見事なまでに捌いていました。

 

 

アンコールはバルトーク/44の二重奏曲より「悲嘆」。何と音合わせの時点で、今度はアントワン・タメスティさんのヴィオラに問題が。すぐにオケの1列目の方とヴィオラを交換して、見事なアンコールを披露しました!マントヴァーニは2つのヴィオラに支障を及ぼすような、そんなにも壮絶な曲なんですね。

 

 

 

後半はサン=サーンス。第1楽章、冒頭はゆっくり慎重に、弦が刻む場面は切迫感を持って、大野さんと都響のニュアンスを込められた演奏に魅了されます。第1主題が一番盛り上がる場面の迫力、第2主題の優しい歌い方、もう惚れ惚れします。

 

第1楽章後半ゆっくりになって、オルガンが加わる瞬間!ここは本当に痺れますね。8月末にサイトウ・キネン・オーケストラで聴いたオルガン付きも見事でしたが、オルガンはホールに組み込まれているものではありませんでした。サントリーホールで聴くオルガンは、円形のホールとも相まって、幸せのオーラに包み込まれるような心地よさがありました。

 

後半の主題が戻ってくる直前、オルガンが1段ずつ降りてくる場面は真に感動的。その後、主題にヴァイオリンのピツィカートが加わった瑞々しい音楽、しっかりと底支えし、さりとて突出しないオルガン、都響の極上のサウンド。これ以上、何を望めるのでしょうか?仕事は今週もいろいろあったけど、最後は何とか片付けて、充足感や達成感の元に聴くオルガン付。涙涙の感動の演奏でした!

 

第2楽章冒頭は大野さん、かなり強いアタックで入っていました。オルガンと対照的なピアノがまたいい。後半冒頭のオルガンのジャーン!印象的な入りにただただ感動。その後の都響の見事な演奏による、めくるめく展開に、ほとんどトリップするかのよう。大野さんは最後の方で、これしかない、という絶妙なアッチェレランドをかけて、本当に唸ります。そして美しい都響のトゥッティ!最後も見事に決まりました!

 

 

何この感動的なオルガン付!!!これ以上、何を望む必要があるのでしょう!!!

 

 

いや~、都響の極上のサウンドによる素晴らしいオルガン付でした!8月末に聴いた「日本のベルリン・フィル」ことサイトウ・キネン・オーケストラのオルガン付はもちろん素晴らしかったですが、都響も一歩も譲らず、さらには常設のオケならではの余裕すら感じました。両者とも見事な演奏でした。

 

一週間の心地良い充足感と疲労感の中、金曜の夜、サントリーホールで、大野和士/都響で聴く極上の演奏!最高に幸せな時間でした!

 

 

 

(追伸)ところで、アメブロの新機能「1年前の今日あなたが書いた記事があります」、今日は以下の記事でした。読み返してみて、改めて攻めた演出の感動が甦ります。LGBTの方々への配慮を進めたいこともあり、以下にご紹介します。

 

(参考)2018.8.18 ヘンデル/アリオダンテ(ザルツブルク音楽祭)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12321118303.html