(冬の旅行記の続き) 旅行5日目。最高気温5℃、最低気温0℃。2019年の最後の日。つまり、日本オーストリア友好150周年の最終日です。どこかオーストリアを象徴するところに行きたいなと思い、久しぶりにシェーンブルン宮殿に行くことにしました。

 

シェーンブルン宮殿は地下鉄U4のシェーンブルン駅から行くのが一般的ですが、私は1つ先のヒーツィング駅を選択。その訳は…、

 

 

 

 

 

(写真)オットー・ワーグナー・ホーフパビリオン・ヒーツィング

 

 

 

(写真)地下鉄U4とはこんな位置関係です。

 

 

ヒーツィング駅のすぐそばに、かつてオーストリア皇帝一家専用の駅だった、オットー・ワーグナー作の駅舎があるからです!オットー・ワーグナー没後100周年の2018年に記念の展覧会を観て、その時に併せて瀟洒なカールスプラッツ駅舎も観たので、このヒーツィングの駅舎も観たかったのです。

 

(参考)2018.5.5 ウィーン観光その6(オットー・ワーグナー没後100周年記念展)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12390151402.html

 

 

本当に素敵な意匠、ため息ものの壮麗さですが、何より緑を基調として、地下鉄U4ライン全体で統一が取れているのがとてもいいですね。そこに加わる金色が本当に美しい!この駅舎で皇帝フランツ・ヨーゼフⅠ世が列車に乗り降りしたかと思うと胸熱です!(なお、ここに来るには道路を渡る必要がありますが、車が飛ばしているので要注意です。)

 

 

 

 

 

(写真)シェーンブルン宮殿。とにかく壮麗、そして大きい!

 

 

そしていよいよシェーンブルン宮殿にやってまいりました!ガイドツアーもあるようですが、今回は音声ガイドを頼りに観て周ります。オーディオガイドのスタートの音楽が、J.シュトラウスⅡ世のワルツ/ウィーン気質なのがいい!観るもの観るものが興味深く、通常1時間くらいのところ、2時間かけて周りました(笑)。特に印象に残ったのは以下の通りです。

 

※私はコンサートホールや美術館は当然として、教会や観光名所でも室内では写真を撮らないマイルールなので、写真はありません。

 

 

 

◯フランツ・ヨーゼフⅠ世は朝4時!に起きて、冷水で洗顔、朝の祈祷をして、朝の5時から仕事机に座ったそうです。部屋には豪華な装飾は好まず、家族の写真を飾りました。

 

◯ダイニングルーム:当時の規定で食卓が再現されていました。公式なディナーはフランス料理ですが、皇帝はプライベートではヴィーナーシュニッツェル、グラーシュ、ターフェルシュピッツ、カイザーシュマーレンなど、ウィーン料理を好んだそうです。

 

◯鏡の間:家族的な小規模なパーティや室内楽のコンサートに使われる部屋です。1762年に6歳のモーツァルトが演奏して、マリア・テレジアの膝に上がってキスをしたのはこの部屋です。

 

◯胡桃の間:ここでは皇帝フランツ・ヨーゼフⅠ世に対して、受賞の感謝、嘆願、新たな役職の挨拶などが行われたそうです。批評家のハンスリックに悪く言わないようにしてほしい、とブルックナーが嘆願したのもここなのかも?

 

◯謁見の間:皇帝フランツ・ヨーゼフⅠ世への謁見は週に2回行われたそうです。待合室にポケットのない大きなビリヤード台がありました。大学時代に、学業はさておき、ビリヤードばかりしていた思い出がよぎります(笑)。

 

◯大ギャラリー、宮殿の大広間:舞踏会、レセプション、公式なディナーに使われる部屋で、長さ40メートル、幅10メートルと非常に大きな部屋。ロココ時代の総合芸術で、天井にはフランツ・シュテファンとマリア・テレジアの統治を表しているフレスコ画がありました。1961年にケネディ大統領とフルシチョフ書記長の歴史的な会談が行われたのもこの部屋です。

 

◯豪奢の間:豪華なベッドが置いてありますが、マリア・テレジアの婚礼に際して製作されたものだそうです。赤の布に金糸と銀糸で装飾された素晴らしいベッド。見事だけど、寝るにも緊張して一睡もできなさそう(笑)。

 

◯フランツ・ヨーゼフⅠ世は生涯狩りを好み、子供の頃に早くもシェーンブルン庭園で鳩やスズメを狩りしたそうです!夏の別荘のあるバート・イシュルではどっさり鹿をハンティングした片鱗が伺えます。

 

 

 

実際のメモは上記の3倍くらいありますが(笑)、このくらいで。とにかくフランツ・ヨーゼフⅠ世やマリア・テレジアなどのハプスブルク家の壮大な歴史を大いに体感できましたが、日本オーストリア友好150周年の最終日に観に行くことができ、とても感慨深いものがありました。庭園とともに、ここ単体で世界遺産となっている素晴らしい宮殿です。

 

 

 

(写真)ヴィクトール・シュタウファー/オーストリア=ハンガリー二重帝国フランツ・ヨーゼフ1世の肖像

※ハプスブルク展で購入した絵葉書より

 

 

 

有名な庭園や温室、馬車博物館、グロリエッテなどは以前に来た時にゆっくり観たので、今日は宮殿だけを観て終了。しかし、シェーンブルン宮殿を出ると、クリスマスマーケットが展開されていました!

 

 

 

 

 

(写真)シェーンブルン宮殿のニューイヤーマーケット。クリスマスマーケットですが、12月27日からは正式には名前がニューイヤーマーケットとなります。

 

 

かなり沢山のお店がありましたが、さすがシェーンブルン宮殿の前のクリスマスマーケットということで、整然としている印象です。

 

 

(写真)さっそくお約束のグリューワインを!(笑)

 

クリスマスマーケットはグリューワインを飲んで温まりながら、ブラブラしていろいろなお店を見て楽しむのがいいでしょう。ただし、お酒が入ってウロウロしていると、グリューワインを売っているお店は一つではないので、最後にコップを返す(デポジット)お店が分からなくなってしまうので、そこはご注意を!(笑)

 

 

 

 

 

 

(写真)カフェ・ラントマンの出店もありました。おしゃれな商品のウィンドウも。各国語による新年の挨拶では、日本語もありました。こういうのは本当に嬉しい!

 

 

 

クリスマスマーケットを楽しんだ後は、せっかくシェーンブルンまで来たので、近くのターフェルシュピッツの美味しいお店にランチを食べに行きました。ここのお店は過去に何度か食べに来ていますが、本当に久しぶりです。

 

 

 

(写真)まずはスープをいただきます。お供はオーストリアのセクト(スパークリングワイン)

 

 

(写真)そしてターフェルシュピッツ。懐かしい味。付け合わせのポテトとホウレンソウが美味しいんです!

 

 

実はターフェルシュピッツは個人的にそんなには美味しい料理とは思いません。フランツ・ヨーゼフⅠ世が好んだ料理として有名ですが、皇帝はゲストを招いてのリッチな会食を重ねる必要があるので、普段の日はサッパリした料理が食べたかったため、この料理を好んだと言われています。煮込み料理で、旨味の源である肉汁が流れ出すため、サッパリした食感になります。ソースを付けて味を整えますが、むしろ、付け合わせのポテトとホウレンソウの方が美味しいと思ってしまうくらい。

 

しかし、そこはシェーンブルン宮殿を見た後のこと。早朝からオーストリアの国民のために仕事をして、節制に努めていたフランツ・ヨーゼフⅠ世が、食事にも気をつけた結果、好んだ料理がウィーンの名物料理になっていることに、改めて感動を覚えながら食べました。

 

 

 

 

(写真)Kirche ”Maria Geburt”。地下鉄駅への帰り道に発見した教会。壮麗な祭壇、シェーンブルン宮殿の大ギャラリーを思わせるような白地に、カラフルなフレスコ画。とても見事な教会でした。旅先でふらっとこういう素敵な教会に出逢えるのは楽しいですね。