2019年もそろそろ終わり。現在、2017年・2018年と同様に「2019年の思い出」と題した一年のまとめ記事の原稿を書いています。その内容の1つ「東京のオーケストラの素晴らしさ」が、昨年同様に文章量が多くなったので、本編の記事に先立ち、独立してアップします。
昨年9月の東響のコンサート記事に書いて、さらに今年7月の都響のコンサート記事を書いた際にご紹介した、プログラムのコラム「海外ジャーナリストから見たアジアのオーケストラ」(モントリオール在住の音楽ジャーナリスト、ロバート・マーコウさんの記事)にも同様の趣旨のことが載っていましたが、
東京のオーケストラのコンサートの水準は近年非常に高く、東京は今や質と量の両面で捉えると、ほとんど世界で一番クラシック音楽のコンサートを楽しめる都市になったと思います。
(参考)2018.9.22 ユベール・スダーン/東響のハイドン&モーツァルト&ベートーベン
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12406961697.html
(参考)2019.7.16 小泉和裕/宮田大/都響のドヴォルザ-ク&ブラームス
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12494854300.html
その素晴らしかった数々の公演の思い出として、私がよく聴きに行ったオーケストラについて、今年書いたコンサートの記事(タイトル)をまとめて掲載しました。順位や星の数をつけるのは無粋だと思うので、オケの掲載順は聴いたコンサートの回数順、聴いた全てのコンサートを時系列で並べました。
世の中にはいろいろなコンサート記事のブログがあります。私はオーケストラを聴くスペシャリストではなく、単なるアマチュアのピアノ愛好家がコンサートを楽しみに聴きに行っているだけですが、他の人たちのブログに、これだけは負けないと自信を持っていること、誇りに思っていることが2つあります。それは、
①コンサートを思う存分に楽しんで、毎回のように感動している。
②コンサートを聴きに来ている周りのお客さんを悪く言った記事を書いたことがない。
①はとにかくその演奏の良いところやユニークさ、オリジナリティをできるだけ汲み取りたい、指揮者やオケの創意工夫やどんな表現を目指しているのかを感じ取って、とことんコンサートを楽しみたい。そういうポジティヴな心掛けで毎回コンサートに臨んでいる、ということです。
②はこれまで数多くのコンサートを体験している身として、不慣れなコンサート初心者の方々に対して寛容ということもありますが、実際、周りのお客さんの音や動きが気になることはほとんどないからです。それだけひたすら演奏、舞台から聴こえてくる音だけに集中している、ということです。
(以上の2つは、ここでは詳しく書きませんが、自分自身がピアノを毎日のように弾いている、その効果や効用がコンサートを聴く際にも大いにプラスに働いている、と確信しています。ピアノって本当に凄いと思う。)
そのように集中力を高めるだけ高めて聴いて、ポジティヴな気持ちで聴いて、おかげさまで毎回のように感動したり、涙を流したり、コンサートを楽しみ尽くしています。このため、コンサート記事もそれなりの長さになりますが、それはそれだけ「具体的に」コンサートを楽しんだ、というファクトの積み重ねに他なりません。
そのファクトの積み重ねの記事。オーケストラを聴いた回数の多い順にご案内します。
(なお、個々の記事については、以下のコンサートの記事の箱からご覧いただければ幸いです。今後、時間に余裕があれば、個々のタイトルから記事にリンクさせるかも知れません。)
https://ameblo.jp/franz2013/theme-10101206925.html
(1)NHK交響楽団(24公演)
N響は昨年に続いて、パーヴォ・ヤルヴィさんやヘルベルト・ブロムシュテットさん指揮の素晴らしいコンサートに魅了されました。トゥガン・ソヒエフさんやステファヌ・ドゥネーヴさんのフランスもの、鈴木優人さんのメンデルスゾーンも素晴らしかったです。ヴァインベルクやトゥビン、ステンハンマルなど、比較的珍しい作曲家の名作を聴けたのも嬉しかったです。
今年も仕事や他の予定とのかぶりで行けなかった3回を除いて、定期演奏会はほぼ皆勤賞(笑)。来年もBプロは定期会員、AプロとCプロもできる限り聴きに行きたいと思います!ファビオ・ルイージさんのR.シュトラウス/英雄の生涯、パーヴォさんのラフマニノフ2番、レナード・スラットキンさんのオール・コープランド・プロ、ユッカ・ペッカ・サラステさんのシベリウス、鈴木雅明さんのベートーベン/ミサ・ソレムニスなど、楽しみな公演が並びます。
N響の場合、何と言ってもこのハイクオリティの公演が、Aプロ・Cプロであれば1,600円からで楽しめるところも大いなる魅力ですね。
2019.1.11 ドゥネーヴ/カプソン/N響のルーセル&サン・サーンス&ベルリオーズ
2019.1.16 ソヒエフ/N響のフォーレ&ブリテン&R.コルサコフ
2019.1.27 ソヒエフ/メストレ/N響のグリエール&ベルリオーズ
2019.2.10 パーヴォ・ヤルヴィ/N響のハンス・ロット/交響曲第1番
2019.2.16 パーヴォ・ヤルヴィ/ガブリリュク/N響のラフマニノフ&プロコフィエフ
2019.2.20&21 パーヴォ・ヤルヴィ/N響のオール・ストラヴィンスキー・プロ
2019.4.13 フルシャ/ジャンス/N響のR.シュトラウス&ベルリオーズ&ヤナーチェク
2019.4.24 下野竜也/グルズマン/N響のショスタコーヴィチ&ヴァインベルク
2019.5.17 ネーメ・ヤルヴィ/N響のシベリウス&トゥビン&ブラームス
2019.5.22 ネーメ・ヤルヴィ/N響のフランク&サン・サーンス
2019.6.8 パーヴォ・ヤルヴィ/ゲルネ/N響のマーラー&ニールセン
2019.6.14 パーヴォ・ヤルヴィ/シャハム/N響のバッハ&ベルク&ブルックナー
2019.6.19&20 パーヴォ・ヤルヴィ/N響のメシアン/トゥランガリラ交響曲
2019.9.15 パーヴォ・ヤルヴィ/ベル/N響のオール・ポーランド・プロ
2019.9.21 パーヴォ・ヤルヴィ/フォルカシュ/N響のR.シュトラウス&マーラー
2019.9.25&26 パーヴォ・ヤルヴィ/パユ/N響のトゥール&ニールセン&シベリウス
2019.10.18 ソヒエフ/ニコラ・アンゲリッシュ/N響のロシア・プロ
2019.10.23 ソヒエフ/N響のベルリオーズ&ビゼー&ドビュッシー
2019.11.6&7 ブロムシュテット/N響のベートーベン&R.シュトラウス&ワーグナー
2019.11.16&17 ブロムシュテット/ステュルフェルト/N響のステンハンマル&ブラームス
2019.11.22 ブロムシュテット/N響のモーツァルト/リンツ&ミサ曲ハ短調
2019.11.30 鈴木優人/アルトシュテット/N響のメシアン&ブロッホ&コレッリ&メンデルスゾーン
2019.12.6 マテウス/ポリソグレブスキー/N響のメンデルスゾーン&グラズノフ&ベルリオーズ
2019.12.12 カサド/ハリトーノフ/N響のR.コフサコフ&リスト&チャイコフスキー
(2)読売日本交響楽団(12公演)
読響はシルヴァン・カンブルランさんの常任指揮者の退任3公演、新常任指揮者のセバスティアン・ヴァイグレさんのドイツ・オーストリアものの5公演、鈴木優人さんのストラヴィンスキー、ユーリ・テミルカーノフさんのショスタコーヴィチなど素晴らしかったです。
来年も定期会員で、いろいろ聴きに行く予定です。セバスティアン・ヴァイグレさんのワルキューレやハルトマン&ヒンデミット、シルヴァン・カンブルランさんのお帰りなさい公演、尾高忠明さんのウォルトン1番、フランソワ=グザヴィエ・ロトさんのマーラー7番など、非常に楽しみです!
2019.3.7 カンブルラン/ルヴィオン/読響のイベール&ドビュッシー
2019.3.14 カンブルラン/読響のシェーンベルク/グレの歌
2019.3.24 カンブルラン/読響のベルリオーズ(常任指揮者最終公演)
2019.4.4 鈴木優人/ジュニエ/読響のラモー&ショパン&ストラヴィンスキー
2019.4.17 エルツ/フラング/読響のトゥール&ストラヴィンスキー&シベリウス
2019.5.14 ヴァイグレ/読響のブルックナー9番(常任指揮者就任披露演奏会)
2019.5.19 ヴァイグレ/岡田奏/読響のロルツィング&モーツァルト&ブラームス
2019.5.24 ヴァイグレ/ユリア・ハーゲン/読響のワーグナー&シューマン&ベートーベン
2019.6.13 山田和樹/シャギムラトヴァ/読響の伊福部昭&グリエール&カリンニコフ
2019.9.10 ヴァイグレ/ゲルハルト/読響のプフィッツナー&ハンス・ロット
2019.9.20 ヴァイグレ/ブッフビンダー/読響のベートーベン&マーラー
2019.10.9 テミルカーノフ/ミグノフ/読響のショスタコーヴィチ13番「バビ・ヤール」
(3)東京都交響楽団(10公演)
都響は大野和士さんのコンサート、特に4月のシェーンベルク/グレの歌に大いなる感動を覚えました。アラン・ギルバートさんのイタリア・プロやマーラーも素晴らしかったし、小泉和裕さんのブラームスやブルックナーも聴き応え抜群でした。
来年も引き続き定期会員で聴きに行きます。大野和士さんや小泉和裕さんのベートーベンのほか、トーマス・ダウスゴーさんのニールセン4番、オズモ・ヴァンスカさんのシベリウス3番、ヤクブ・フルシャさんのドヴォルザークの4つの交響詩など、来年も楽しみな公演が並びます。何度となく書いていますが、サントリーホールで聴く都響のサウンドは極上です!
そして、コンサートではないですが、かなり楽しみにしているのが来年4月の東京バレエ団のモーリス・ベジャール振付のベートーベン「第九」のバレエ。何と、都響がバレエ公演でピットに入るんです!
都響がピットに入った時の素晴らしさ、圧倒的なクオリティの高さは過去のオペラ公演で十分実証済み。ベートーベン生誕250周年の記念公演で、よくぞ都響を引っ張ってきてくれた!と、東京バレエ団の粋な計らいに感謝感謝です。今からとても楽しみです!
2019.1.10 大野和士/コパチンスカヤ/都響のシェーンベルク&ブルックナー
2019.4.14 大野和士/都響のシェーンベルク/グレの歌(東京・春・音楽祭)
2019.7.16 小泉和裕/宮田大/都響のドヴォルザーク&ブラームス
2019.7.29 アラン・ギルバート/都響のイタリア・プロ(フェスタサマーミューザ)
2019.9.3&4 大野和士/エーベルレ/都響のベルク&ブルックナー
2019.9.8 大野和士/アチュカロ/都響のシベリウス&ラフマニノフ
2019.10.2 シュタイネッカー/モロー/都響のスッペ&オッフェンバック生誕200年記念公演
2019.10.7 ミンコフスキ/都響のシューマン&チャイコフスキー
2019.10.16 小泉和裕/都響のワーグナー&ブルックナー(70歳のバースデイ・コンサート)
2019.12.16 アラン・ギルバート/都響のマーラー/交響曲第6番「悲劇的」
(4)東京交響楽団(6公演)
今年の東響はミューザ15周年記念のシェーンベルク/グレの歌が極め付けの公演!日本のオーケストラの最高の姿がそこにあると思いました。大好きなユベール・スダーンさんの客演は嬉しかったし、モーツァルト・マチネは珠玉の喜びでした。
東響は来年も定期演奏会や名曲コンサート、モーツァルト・マチネを1回券でいろいろ聴きに行きたいと思っています。ジョナサン・ノットさんのウォルトン/ペルシャザールの饗宴、ユベール・スダーンさんのメンデルスゾーン/スコットランドなど、とても楽しみです!
2019.3.25 ウルバンスキ/エーベルレ/東響のモーツァルト&ショスタコーヴィチ
2019.4.21 秋山和慶/藤田真央/東響のメシアン&ジョリヴェ&ルシェール&イベール
2019.6.16 ユベール・スダーン/菊池洋子/東響のシューマン&チャイコフスキー
2019.8.24 沼尻竜典/森麻季/東響のモーツァルト・マチネ
2019.10.5 ジョナサン・ノット/東響のシェーンベルク/グレの歌(ミューザ15周年記念)
2019.11.24 ジョナサン・ノット/荒絵里子/東響のモーツァルト・マチネ
(4)バッハ・コレギウム・ジャパン(6公演)
今年はバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の定期会員になった年。毎回素晴らしいバッハに本当にお世話になりました!鈴木雅明さんと鈴木優人さんの偉大なツートップ。海外からも聴きに来られるお客さんがいる中、日本で身近で聴けるのは本当にありがたいことです。
来年も引き続き定期会員です。創立30周年となる来年は、極め付けのバッハ3大宗教曲(マタイ受難曲・ロ短調ミサ曲・ヨハネ受難曲)に、ベートーベン/「運命」とハ長調ミサ曲という記念碑的なラインナップ!非常に楽しみです!
2019.1.24 鈴木雅明/BCJのベートーベン9番
2019.3.3 鈴木雅明/BCJのバッハ/祈りのカンタータ
2019.6.2 鈴木優人/BCJの「マリアの賛歌」
2019.6.30 鈴木雅明/BCJの華麗なる協奏曲の夕べ(調布国際音楽祭)
2019.9.22 鈴木雅明/BCJのバッハ/結婚カンタータ&狩のカンタータ
2019.11.24 鈴木優人/BCJのバッハ/ブランデンブルク協奏曲全曲
(6)日本フィルハーモニー交響楽団(4公演)
日フィルは今年もアレクサンドル・ラザレフさんの指揮によるロシアものに大いに魅了されました!カヴァレリア・ルスティカーナも雰囲気のある指揮で大盛り上がり!(笑) また、ピエタリ・インキネンさんのシベリウス5番は大いなる感動、天才ペッカ・クーシストさんのシベリウス/ヴァイオリン協奏曲を再び聴くことができ感無量でした。
来年もラザレフさんの回を中心に聴きに行こうと思っています。ラフマニノフ/歌劇「アレコ」、ショスタコーヴィチ7番&10番と聴き逃せない公演、とても楽しみです!
2019.5.11 ラザレフ/神尾真由子/反田恭平/日フィルのチャイコフスキー
2019.5.18 ラザレフ/スドビン/日フィルのメトネル&カヴァレリア・ルスティカーナ
2019.6.15 インキネン/クーシスト/日フィルのオール・シベリウス・プロ
2019.11.1 ラザレフ/日フィルのグラズノフ&ストラヴィンスキー
(7)紀尾井ホール室内管弦楽団(3公演)
紀尾井ホール室内管弦楽団はライナー・ホーネックさんの指揮やヴァイオリンによるモーツァルトやベートーベンを楽しむことができました。また、少し小ぶりの紀尾井ホールで聴くブラームス2番は素晴らしい体験でした。
来年も引き続き魅力的なラインナップ、定期会員を継続して聴きに行きます。ハルトムート・ヘンヒェンさんのハイドン/天地創造、サッシャ・ゲッツェルさんのシューマン4番など、本当に楽しみ。そして、ライナー・ホーネックさんは何とブラームス/ヴァイオリン協奏曲の弾き振り!一体どうなるのでしょうか!?
2019.4.6 ライナー・ホーネック/紀尾井ホールco.のオール・モーツァルト・プロ
2019.9.28 ライナー・ホーネック/紀尾井ホールco.のバッハ&メンデルスゾーン&ベートーベン
2019.11.8 リチャード・エガー/佐藤俊介/紀尾井ホールco.のシューマン&ブラームス
以上、今後アップ予定の「2019年の思い出」から、「東京のオーケストラの素晴らしさ」を抜粋した先出し記事でした。繰り返しですが、来年はN響(Bプロ)、読響、都響、バッハ・コレギウム・ジャパン、紀尾井ホール室内管絃楽団は定期会員で、東響と日フィルは1回券でどんどん聴きに行こうと思います。
東京では毎日のように沢山の公演があるので、どの公演に行ったらいいか?よく分らない方、迷われる方もいらっしゃるかも知れません。私のお勧めは、一番直近である今年2019年に、自分で実際に聴いて大いに楽しんだ、上記に挙げた7つのオーケストラです。これらのオーケストラのコンサートを聴きに行けば、きっと感動したり、楽しめたり、発見があったり、行って良かったと必ず思っていただけると確信しています。
好きな作曲家や曲を聴きたい、好きな指揮者やソリストを楽しみたい、コンサートホールの雰囲気を味わいたい、終演後のホール近くの美味しいレストランやバーが楽しみ(笑)などなど、コンサートの選び方にルールはありません。敢えて秘訣を挙げるなら、とにかく「コンサートを聴きに行ったら、とことん楽しむこと!」。これに尽きると思います。
ぜひ、ご自身で実際にコンサートホールに行って、東京のオーケストラの素晴らしい演奏を、作曲家が書いた素晴らしい音楽を、大いに体感されてみてください!
みなさま、素晴らしい東京のオーケストラのコンサートを聴いて、感動したり、ほっこりしたり、笑顔になったりして、幸せな気持ちになりましょう!
(写真)今年の東京のオーケストラのコンサートで特筆すべきことは、やはり巨大なシェーンベルク/グレの歌のコンサートを、3つのオーケストラが敢行したことでしょう。(写真はグレの歌の愛聴版のジャケット)
読響(3月)、都響(4月)、東響(10月)と3回とも聴きましたが、どの公演も素晴らしかった!年に3回もグレの歌のコンサートがある都市なんて、おそらく他には地球上でどこにもないですよ。とにかく、東京を楽しみましょう!