先週、今週と2回楽しんできたクリスティアン・ティーレマン/ウィーン・フィルの来日公演。今日は3つ目のプログラムのコンサートを聴きに行きました。
~ 日本オーストリア友好150周年記念 ~
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:クリスティアン・ティーレマン
リヒャルト・シュトラウス/交響詩『ドン・ファン』
リヒャルト・シュトラウス/『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』
ヨハン・シュトラウスⅡ世/オペレッタ『ジプシー男爵』序曲
ヨーゼフ・シュトラウス/ワルツ『神秘な魅力(ディナミーデン)』
リヒャルト・シュトラウス/オペラ『ばらの騎士』組曲
(参考)2019.11.5 クリスティアン・ティーレマン/ウィーン・フィルのばらの騎士&J.シュトラウス
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12542677853.html
(参考)2019.11.11 クリスティアン・ティーレマン/ウィーン・フィルのブルックナー/交響曲第8番
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12544479211.html
まずはR.シュトラウス/ドン・ファン。冒頭の勢いの良い音楽は、ウィーン・フィルの軽やか、あざやか、きらびやかな響きにさっそく魅了されます。その後のライナー・ホーネックさんの艶やかなヴァイオリン・ソロが素晴らしく、その前の導入の音楽もたっぷり。ティーレマンさんのツボを心得た指揮にクラクラします。
短調のフルートの刻み、懐かしいオーボエのソロも素敵。この辺りは後悔、諦念、ささやかな期待、様々な感情を思います。高らかなホルンの旋律は、この曲をウィーン・フィルで聴く幸せ、ウィンナホルンの魅了たっぷりです!ここで強調が入った弦楽も印象的でした。
その後の悪魔的な軽快な音楽にも魅せました。再び高まるホルン、そしてオケのトゥッティのハーモニーが素晴らし過ぎる!最後の追い込みとクライマックスはティーレマンさんならではの迫力!パウゼの後の、全く世界観の変わった短調にはゾクゾクしました。誠にもって見事なドン・ファン!
続いてR.シュトラウス/ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら。冒頭の雰囲気たっぷりのヴァイオリンに大いに引き込まれます。ウィンナホルンによる旋律の連呼が素敵。ウィーン・フィルのホルンの音色には、どうしてこんなに魅了されるのか?
その後は、軽やかに踊ったり、ススッと逃げたり、めくるめく音楽がニュアンス溢れる演奏により展開されて、めちゃめちゃ楽しい!この曲はもう何度となく聴いていますが、ウィーン・フィルで聴くと普段と異なる音色、途中で、ワーグナー/ジークフリート第2幕のミーメとアルベリヒの諍いの音楽や、ばらの騎士の第2幕の緊迫した場面の音楽も聴こえてきました。後半には何と、ジャズっぽい音楽まで!
各楽器の演奏も痺れるほど上手く、ニュアンスたっぷり。弱音のトランペット、木管のあざやか過ぎるリレー、ライナー・ホーネックさんの雰囲気たっぷりのヴァイオリン・ソロ。ティーレマンさんのいささか芝居がかった指揮がはまりまくり、それに見事に呼応するウィーン・フィル。もう魅了されっぱなしです。
ティルの死刑のシーンは迫力のオケ。この場面を聴くと、先月ユーリ・テミルカーノフ/読響で聴いた、ショスタコーヴィチ/交響曲第13番「バビヤール」の第2楽章「ユーモア」を連想します。最後はあざやかに逃げ切り!最高に洒脱で遊びまくったティル!
いや~、あり得ないくらいに素晴らしい、ものの見事なティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずらでした!私、この曲にそんなには思い入れがなくて、いつも聴いても、ティルだな~、楽しいな~、くらいの印象しかありませんでしたが、今日は最初から最後までウィーン・フィルのニュアンスに溢れる演奏に魅了されっぱなしでした!
これは、ウィーン・フィルが普段、ウィーン国立歌劇場のピットに入ってオペラを演奏していて、さらにワルツやオペレッタ序曲もお手のもの、ということが大きいんだと思います。プログラムのオットー・ビーバさんの解説には、R.シュトラウスはこの曲をバレエ音楽としても用いてほしいと考えていた、とありました。こういう物語性があったり、ユーモアを感じさせる音楽は、ウィーン・フィルは抜群に上手いことを改めて痛感しました。
なお、一点だけ心配事が。それは、今後、果たして他のオケの演奏を聴いて、十分に楽しむことができるのだろうか?ということ(笑)。そのくらいに圧倒的に素晴らしかったティルでした!
後半はJ.シュトラウスⅡ世/ジプシー男爵序曲から。当初の予定は、こうもり序曲で、これはこれで楽しみでしたが…、
もうね。ウィーン・フィルで、オペレッタの序曲やワルツ、ポルカが聴ければ、ハッキリ言って、何でもいいんですよ(笑)。結果、今日の後半は、全て5日にも聴いた曲になりましたが、最高のシェフたち(ティーレマンさんとウィーン・フィル)により出される、飛び切りのご馳走を存分に楽しみましょう!
そのジプシー男爵はやはりオーボエの雰囲気たっぷりのソロが素敵。そして夢のようなワルツには本当に魅了されます。ウィーン・フィルは、特にワルツの弾き始めが本当に素敵。ニュアンスたっぷりにそろりそろりと入って、まるで初々しい恋人たちが、ためらいながら手をつなぐ場面のよう。
続いてヨーゼフ・シュトラウス/ディナミーデン。この後のばらの騎士に出てくる、オックス男爵のワルツの元の旋律がでてきますが、よく聴くとフルートがいい感じで合いの手を入れます。このフルートを聴くと、R.シュトラウスはこれにインスパイアされて、ワルツの歌い出しのオックス男爵の「ラッ!ラッラッ!」の鼻歌を入れたんではないかと思ったり(笑)。
最後は、5日の演奏が超絶な名演だったR.シュトラウス/ばらの騎士組曲。この日もニュアンス満載の最高の演奏!もう涙涙の感動の演奏でした!ティーレマンさんの濃厚な味付けは5日とほぼ同じでしたが、最後の三重唱の音楽の前の大ルフトパウゼは、今日は5秒くらい、いや永遠に感じました。終わるのが本当に名残惜しいですね。ウィーンの粋を大いに感じさせます。アンコールの速達郵便で、も楽しい!
今日も圧倒的に素晴らしかったクリスティアン・ティーレマンさんとウィーン・フィルのコンサート!観客のみなさんから一斉にかかるブラボー、そして盛大な拍手。カーテンコールでは、ティーレマンさんのいわゆる一般参賀も2回と大いに盛り上がりました!
ということで、5日・11日・15日と、クリスティアン・ティーレマン/ウィーン・フィルの演奏を3日聴いて、正に夢のような10日間でした!毎年楽しみな秋のサントリーホールのウィーン・フィルハーモニー・ウィーク・イン・ジャパン。今年は通常より長い10日間でした。日本オーストリア友好150周年の特別企画。本当にありがとうございました!
さて、今週は夏の旅行記の進行のタイミングもあり、奇しくも月曜から金曜まで5回連続、ウィーン・フィルの実演を聴いた記事となりました!これ、もしかしてギネス認定?(笑)
ウィーン・フィルは私が心の底から愛している、世界で一番好きなオーケストラです。そして今年は日本・オーストリア友好150周年。こういう機会を持つことができ、大いなる喜びを感じました。
(写真)これで掲載は3回目となりますが、日本オーストリア友好150周年のロゴ。素晴らしい記念の年。おめでとうございます!
(写真)ティーレマン/ウィーン・フィルの打ち上げで、終演後は真っ直ぐオーストイア料理のお店に。キノコとポルチーニのスープ。ワインはクロスター・ノイブルク2019ホイリゲ。ホイリゲは聖マルティン祭の日(11月11日)に解禁される今年2019年のワイン。
11月11日は奇しくも、ティーレマン/ウィーン・フィルで最高のブルックナー8番を聴いた日です。そして、クロスター・ノイブルクにはブルックナーのお気に入りのオルガンがあります。これも何かの偶然でしょうか?
(写真)牛肉のグラーシュとブラウエンキッシュ。ジプシー男爵序曲が演奏されたので、メインはハンガリー由来のグラーシュにしました。
(写真)モーツァルト・トルテ。R.シュトラウスやJ.シュトラウス、ブルックナーを大いに堪能したコンサートでしたが、オープニングはモーツァルトでした。モーツァルト/フィガロの結婚に始まり、それにインスパイアされたR.シュトラウス/ばらの騎士組曲で締めくくられた3日間のプログラム。全くもってお見事でした!