今日9月13日はクララ・シューマン(ヴィーク)の誕生日です。クララは1819年生まれなので、今年2019年はクララの生誕200周年。今日がちょうどクララが生まれてから200年となります。

 

 

ご存じの通り、クララは天才少女としてピアノの演奏や作曲をしました。ロベルト・シューマンと結婚して、家族を作りました。シューマンの作品の普及に努め、シューマン/ピアノ協奏曲イ短調の初演では、ピアノ独奏を務めました。

 

そしてシューマンが亡くなった後、ブラームスと親密な間柄が続きました。ブラームスの出世作ドイツ・レクイエムを手放しで称賛したり、ブラームス/交響曲第1番第4楽章のホルンの旋律はブラームスがクララの誕生日に歌詞を付けて送った旋律です。音楽を通じて強く惹かれ合った2人です。

 

 

私はもともとシューマンやブラームスの交響曲やピアノ協奏曲に親しんできたので、クララにももちろん親近感を抱いていましたが、特に昨年1月にツヴィッカウ(ドイツ)のシューマンの生家を訪れた際に、クララのピアノ演奏や作曲家としての素晴らしさを改めて認識して、ますますファンになりました。

 

(参考)2018.1.5 ツヴィッカウ観光(ロベルト・シューマンハウス&夢見るシューマン像)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12355033774.html

 

 

 

さて、毎月末にピアノの練習記事を書いていますが、今年はスクリャービンの演奏会用アレグロとピアノ・ソナタ第2番第1楽章を仕上げて、当初はその流れで同じスクリャービンの練習曲op.42-4に取り組もうと思っていました。

 

ところが、6月に菊池洋子さんの素敵なシューマン/ピアノ協奏曲イ短調(ユベール・スダーン/東響)を聴いて、今年がクララの生誕200周年で9月13日に誕生日があることを改めて認識しました。

 

(参考)2019.6.16 ユベール・スダーン/菊池洋子/東響のシューマン&チャイコフスキー

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12482810900.html

 

 

そうであれば、クララを讃えるために何か出来ないか?つらつら考えていたところ、6月6日の森麻季さんのソプラノ・リサイタルで、シューマンの献呈が歌われていたことを思い出しました。シューマンがクララとの結婚を喜び、クララを称賛する歌です。

 

(参考)2019.6.6 森麻季さんのソプラノ・リサイタル(トッパンチャリティコンサート)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12477043186.html

 

 

初めはこの献呈を弾くのはどうかな?と思いました。リスト編曲のピアノ版があり、私も以前にレパートリーにしていました。難しい曲ですが、1ヶ月半あれば何とかさらえるでしょう。

 

しかし、リストの編曲は、クララがよく思っていなかった、ということを以前に聞きました。確かに後半にリスト特有の左手オクターブ連打でドラマティックに盛り上がる場面があり、これが清々しさやつましさを感じる原曲とのギャップなのかも知れません…。

 

 

ではどうしようか?といろいろ考えましたが、森麻季さんのリサイタルでは、献呈の後に、ブラームスの間奏曲op.118-2が山岸茂人さんのピアノ・ソロで弾かれていました。これを献呈の後に聴くと、ブラームスのクララへの憧れや優しい気持ちを表わした音楽としか聞こえてきません!

 

(参考)ブラームス/6つの小品 間奏曲op.118-2イ長調。三上結衣さんによるとても雰囲気のある素敵な演奏。

https://www.youtube.com/watch?v=dZHfFUSoN40 (5分)

※公益財団法人福田靖子賞基金の公式動画より。PTNA経由で見つけました。

 

 

 

これだ!クララの誕生日までにブラームスの間奏曲を弾こう!

 

 

 

ビビビッと閃いた瞬間でした!さらに、私はこれまでブラームスの曲を1曲も弾いたことがありません。ブラームスを弾くきっかけとなる、とてもいいチャンスです!

 

 

ということで、スクリャービンの練習曲はいったんお預けにして、スクリャービンのピアノ・ソナタを仕上げた後、7月下旬からは、せっせとブラームスを練習していたのでした。今回の記事で初めて出そうと思ったので、敢えてピアノ練習の記事にも載せませんでした。

 

7月下旬から9月中旬まで。8月中旬に1週間ちょい旅に出かけたので、実質1ヶ月半とかなりきつかったですが、クララの誕生日までにブラームスを仕上げました!4ページで繰り返しもある曲。ボリュームはそこまでないですが、サクサク進んだ譜読みとは裏腹に、指に覚えさせるには結構難儀しましたが、人間、追い詰められれば最後は何とかなりますね(笑)。

 

 

弾いていて特に好きな場面を以下にご紹介します。

 

 

 

(写真)ブラームス/間奏曲op.118-2イ長調の好きな場面その1(0:05~0:16

※括弧内は上で紹介した動画での演奏時間

 

まずは冒頭の場面。ここは弾いていて慈しむような、本当に優しい気持ちになります。ただ、弾いてみると、意外と左手が忙しく、オクターブを超える跳躍もあるので、十分な注意が必要です。

 

 

 

(写真)好きな場面その2(1:04~1:08

 

ここは右手→左手と刻みの音を受け継いでいくのが好き。半音主体の音楽で、ブラームスにしては幻想的でミステリアスな雰囲気の音楽となります。

 

 

 

(写真)好きな場面その3(1:27~1:31

 

短調から長調に移行する、聴いていて視界がパッと開けるようなあざやかな場面。ここの真ん中の小節の右手の(ラ)→ソ#→ラ→ファ#を1(親指)で弾くのがたまらなく好き!他の指を使った方がよりスムーズに弾けると思いますが、何か突然喜びが現れた時のとまどいのような、初めて女性と踊る時の緊張感によるたどたどしさのような、何とも言えないニュアンスを感じます。

 

 

 

(写真)好きな場面その4(1:45~1:54

 

左手のアルペジオが下がっていく場面。ここはアルペジオが下がる切れ目を左手が5→4→5で弾くので細心の注意が必要ですが、低音のピアノにより、諦念のような、達観の境地のような、何とも言えない心境になります。

 

 

 

(写真)好きな場面その5(3:46~3:57

 

ここは繰り返しの冒頭の部分、つまり「好きな場面その1」と同じです。ただし、繰り返しの中でここだけが1回目と異なり、右手が重音で転調しながら降りてきます。静かに人生を回想する老ブラームスが、この一瞬だけ思わず喜びをあらわにしたような、そんな感情のほとばしりを感じます。

 

 

 

ブラームスの間奏曲op.118-2、クララのちょうど生誕200周年となる誕生日を記念して弾くことができ、感無量でした!さらにこの記事を書いている時に知ったのですが、この曲は何とクララに献呈されていました!そのくらい始めから調べておけよ~!(笑) でも、そのことを知らなくても、耳で聴いて、楽譜を読んで、ブラームスの想いは伝わってきますね。

 

 

そして、もし今回の思い付きがなかったら、私はもしかすると一生ブラームスを弾かなかったかも知れません。ブラームスのピアノ曲の素晴らしさや気高さ、難しさを気付かせてくれたクララに大いに感謝です。

 

 

 

以前にも書きましたが、私のようにピアノを習っていなくて、個人で練習している場合、練習のモチベーションをどう高めていくかが大きな課題です。練習記事もそうですが、今回のように期限を切って目標を定めて、追い込んで練習するのはとてもいい方法ですね。とにかくピアノは練習をしないことには何も始まりません。毎日練習、練習!少しでも時間があれば練習、練習!

 

今年はこれでスクリャービンの難しい曲2曲と合わせて、3曲仕上げることができました。あと3ヶ月半あるので、もう1曲にチャレンジしたいと思います。この週末の3連休から練習を始める予定です。その辺りは9月末の練習記事にて。

 

それでは、全国のアマチュアのピアノの愛好家のみなさま、お互いに練習頑張りましょう~!