大好きな名匠ユベール・スダーンさんが東響に帰ってきたコンサートを聴きに行きました。菊池洋子さんのピアノも楽しみです!

 

 

東京交響楽団名曲全集第147

(カルッツかわさき)

 

指揮:ユベール・スダーン

ピアノ:菊池洋子

 

シューマン/「マンフレッド」序曲

シューマン/ピアノ協奏曲イ短調

チャイコフスキー/マンフレッド交響曲

 

 

 

スダーンさんはいつもだと土曜日のサントリーホールの東響の定期演奏会で聴きますが、今回は1公演のみだったピエタリ・インキネン/ペッカ・クーシスト/日フィルのオール・シベリウス・プロと重なりました。日曜にも同じ公演があったので、今回はカルッツかわさきでのコンサートの方を聴きに行ったものです。つまり、この土日の東京・横浜・川崎のコンサートは凄いことになっていた、ということなんです。

 

 

まずはシューマン/マンフレッド序曲。ユベール・スダーンさんでシューマンを聴くのは、2009年のシューマン・ツィクルス以来。スダーン/東響は2007年のシューベルトの交響曲全曲を演奏したツィクルスが有名ですが、2009年のシューマンの交響曲とブラームスの協奏曲の組み合わせの4つのプログラムも素晴らしかった!マンフレッド序曲も楽しみでなりません。

 

冒頭からデモーニッシュな雰囲気。東響のキビキビとして繊細なオケの響きにゾクゾクと来ます。東響って、やっぱり上手い!追い込むシーンの迫力!昨日のインキネンさんの自然体のおおらかな指揮も良かったですが、スダーンさんの指揮はどの部分にもニュアンスが込められていて雰囲気たっぷり。見事なマンフレッドでした!

 

 

続いてシューマン/ピアノ協奏曲。大好きなピアノ協奏曲です。ピアノは菊池洋子さん。奇しくも同じ2009年に紀尾井ホールでモーツァルトのピアノ・ソナタ全曲の4つのリサイタルを聴きました。モーツァルト弾きというイメージがありますが、シューマンはどうでしょうか?

 

第1楽章。冒頭の雰囲気たっぷりのオーボエに魅了されます。菊池洋子さんのピアノはきらきら光って瑞々しい響き、モーツァルトだけでなくシューマンにもぴったりなピアノです。しかも、かなりテンポを揺らして、思い入れもたっぷり。10年前にモーツァルトを聴いた時に比べると、ぐっとスケールアップした印象です。

 

第1楽章の第2主題。ここのピアノには優しい気持ちになって本当にうっとりします。菊池洋子さんの夢見ごこちのピアノ!そしてピアノに続いて旋律を奏でるたおやかなクラリネット!至福の時!

 

チャーミングな第2楽章に続いて、ピアノが延々とアルペジオの旋律を弾いていく第3楽章は、流れるようなピアノが素晴らしい!ここも菊池洋子さんのピアノは凜としながらも、歌うところはよく歌って、聴き応え十分です。

 

シューマンのピアノ協奏曲、つくづくいい曲ですね。菊池洋子さんとスダーンさんとの息の合った演奏、エレガントでいて活き活きとした素晴らしいシューマンでした!

 

 

今年はオッフェンバック生誕200周年、スッペ生誕200周年、ベルリオーズ没後150周年などの記念年ですが、クララ・シューマンの生誕200周年でもあります。シューマン/ピアノ協奏曲はシューマンのクララへの想いの込められた曲で、初演のピアノもクララです。記念年にとても素敵な演奏を聴くことができて、大いなる喜び!

 

 

 

(写真)この曲を聴くと、昨年、シューマンの生誕地ツヴィッカウを旅したことを思い出します。シューマンの生家でピアノ協奏曲の第1楽章第2主題を少し弾けたのはいい思い出。

 

(参考)2018.1.5 ツヴィッカウ観光(ロベルト・シューマンハウス&夢見るシューマン像)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12355033774.html

 

 

 

後半はチャイコフスキー/マンフレッド交響曲。たまに都内のコンサートのプログラムに載りますが、これまでなぜか一度も聴いたことのなかった曲?1ヶ月くらい前に初めてCDを聴いたら、非常にロマンティックで聴きやすい曲!予習は一度だけに留め、ほぼまっさらで実演を楽しむことにしました。

 

その演奏ですが、これがめちゃめちゃ素晴らしい演奏!うっとりしながら「ここでこの旋律がくるのか!」とか、「ここはチャイコフスキーの◯◯に似てるね」とか聴き惚れていたら、詳しい感想はどこかへ飛んでいってしまいました(笑)。

 

なので、ざっとだけ書き残しますが、第1楽章のマンフレッドの重苦しい主題とアスタルテの優しい主題、第2楽章と第3楽章の自然の描写や牧歌的な音楽、第4楽章の邪神アリマネスの妖しい音楽など、大いに楽しめました。

 

聴きながら強く思ったのは、ユベール・スダーン/東響の隙のない充実の響きがとにかく見事!スダーンさんにしてはかなり鳴らしていたと感じました。そして東響が痺れるほど上手い!東響は昨年に聴いたエルガー/ゲロンティアスの夢の大オーケストラでも、極めて完成度の高い演奏でしたが、定評のあるモーツァルトやハイドンだけでなく、もはやほとんど無敵のように思います。

 

 

今から10月のシェーンベルク/グレの歌が楽しみでなりません!