今回の夏の旅行は、冒頭から素晴らしいOLGA WISINGER-FLORIAN展を楽しんで、幸先の良いスタートとなりましたが、私がウィーンに着いて真っ先にレオポルト美術館に行ったのにはもう一つの目的がありました。
今年のGWの旅行の時に時間がなくて、流して観ることしかできなかったVIENNA 1900展を再度観るためです。
(参考)2019.4.27 ウィーン観光その2(VIENNA 1900展@レオポルト美術館)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12459962809.html
一度ザッとは観た企画展ですが、グスタフ・クリムトやエゴン・シーレを始め、ウィーンの名画がてんこ盛りで出てくる素晴らしい企画展。今度は時間もあったので、思う存分に楽しみました!
以下は今回改めて観て、特に惹かれた作品です。(絵葉書は今回の企画展のためには作られていなかったようなので、非常に限られます。)
(写真)Gustav Klimt/On Lake Attersee, 1900
※レオポルト美術館で購入した絵葉書より
クリムトは夏の避暑をザルツカンマーグートのアッター湖で過ごしましたが、これはアッター湖の特徴であるエメラルドブルーの湖水の色を見事に抜き出したとても象徴的な絵です。クリムトらしく装飾的な絵で、デザインにも使えそう。
◯Gustav Klimt/Schubert at the Piano, 1896
シューベルトがピアノを弾き、背後で4人の女性が歌う絵。クリムトがこんな絵を描いていたんだ!淡いピンクの雰囲気の印象的な絵でした。
(写真)Koloman Moser/Study of Clouds, 1914
コロマン・モーザーによる雲の絵の習作です。コロマン・モーザーらしい、ピンクから紫の色調が印象的。このほか、“Rainy Day (1914)”という明るい色調の山々の絵にも惹かれました。フェルナンド・ホドラーの有名な山の絵の、その光の輝きのピンク色を、より豊かに使った絵です。
◯Carl Moll/Interior with Flower Bouquet, 1904
カール・モルの室内の絵。カール・モルは風景画をよく観ますが、室内の絵はあまり見かけないので珍しい。風景画よりも筆致が大胆で、ガラスのエメラルドグリーンの色遣いが印象的な絵。
◯Anselm Feuerbach/Medea, 1873
深い悲しみに打ちひしがれているメデア。病的なまでに白い肌が印象的。背景の壺の彫像も見事です。私が何故このメデアの絵に特に興味を持ったのか?6つ後の旅行記で明らかになります。オペラが好きな方にはバレバレですね(笑)。
◯Robert Russ/Mill in South Tyrol, 1875
水車小屋と立体的な小川の見事な構図が印象的な絵
◯Arnold Schoenberg/Nocturne II, 1910
ほぼ真っ暗な中、辛うじて木と女性のシルエットが確認できる絵。シェーンベルク/浄夜の冒頭の厳しい短調の音楽に相応しいと思いました。
シェーンベルクはこの他、アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキーの肖像画の絵、「オスカー・ココシュカの思い出」というカンディンスキーのような幻想的な絵、大砲や戦闘機などの軍隊の駒がユニークなチェスの作品もありました。シェーンベルク、音楽だけでなく本当に多才です。
なお、同展には、ブルックナー/交響曲第9番第3楽章とブラームス/間奏曲op.117-2のスコアもありました。美術を中心とした企画展ですが、さすがは音楽の都ウィーンです。
◯Franz Sedlacek/Winter Landscape, 1931
現代のブリューゲルの冬の遊びの情景と言った絵
◯Franz Sedlacek/Apparition above Trees, 1928
月夜に照らされた木々の上にミイラが浮遊するとても印象的な絵
◯Franz Sedlacek/Flight into Egypt, 1927
頭に光の輪がかかるマリア様とキリストのエジプトへの逃避行の絵。背景の高い山、三日月、列をなして飛ぶ鳥、雲海がとても象徴的。
◯Franz Sedlacek/The Chemist, 1932
高い天井の部屋で、化学者が化学物質を合成している絵。化学者がユニークな相貌で面白い。
ということで、今回はフランツ・セドラチェクの4つの作品をじっくり観ることができました!ルネ・マグリットとは一味違う、とても幻想的で印象に残る絵。改めて今後マークして行こうと思いました。
VIENNA 1900展、改めて観ることができ、大いに感銘を受けました!今年は上野でクリムト展、六本木でウィーン・モダン展が開催され、東京も大変盛り上がりましたが、ウィーン当地の記念展は、大きなレオポルト美術館のフロア3階分で展開され、沢山の名画で埋め尽くされていて、やはり圧倒的に素晴らしかった!
なお、このVIENNA 1900展は、レオポルト美術館のウェブサイトで、まだ終わりの日が出ていません。いましばらくやっているようなので(おそらく年内は大丈夫そう)、ウィーンに行かれる機会のある方、中でも上野のクリムト展や六本木のウィーン・モダン展を楽しまれた方にはお勧めです。せひレオポルト美術館に立ち寄られてみてください。
(写真)地下鉄U2の駅からレオポルト美術館に行く時に通る通路。涼しげな装飾が施されていました。
(写真)レオポルト美術館を出ると、ミュージアムクォーターには紫のベッドが沢山。しかし、やはり暑さのせいか、4月に来た時に比べると、寝そべっている人は少なかったです。
(写真)ミュージアムクォーターのカフェの看板。榊原郁恵さんの歌の歌詞と同じものが!(笑)
さて、レオポルト美術館で素晴らしい企画展を2つ堪能したので、一度ホテルに帰ってたっぷり仮眠を取りました。行きのフライトでもそこそこ眠れましたが、この後は時差による眠気が一番キツい、鬼門の初日の観劇なので、しっかり準備しましょう。
果たして今晩はウィーンで何を観るのでしょう?と思わせて、実は一捻りしました(笑)。次の記事で!