フェスタサマーミューザの公演、アラン・ギルバートさんが都響に客演して、イタリア・プロを振るコンサートを聴きに行きました。

 

 

フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2019

東京都交響楽団

(ミューザ川崎シンフォニーホール)

 

指揮:アラン・ギルバート

 

ヴォルフ/イタリア風セレナーデ ト長調(管弦楽版)

レスピーギ/リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲

レスピーギ/交響詩「ローマの噴水」

レスピーギ/交響詩「ローマの松」

 

 

 

今年のフェスタサマーミューザは曲目や他の予定を勘案して、この公演のみ参加です。私は毎日コンサートを聴きに行くことを目的としている訳ではなく、心の底から聴きたいと思った公演のみを真剣に聴きに行きます。後はピアノの練習をしたいので、このくらいがちょうどいいでしょう。

 

都響をフェスタサマーミューザ、つまりミューザ川崎シンフォニーホールで聴くのは、一昨年のヤクブ・フルシャさんとの公演に続いて2回目。ミューザで聴く都響がまたいいんです!今日も大いに期待して聴きに行きました。

 

(参考)2017.7.26 ヤクブ・フルシャ/都響のスメタナ/わが祖国

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12296168097.html

 

 

 

まずはヴォルフ。ヴィオラのソロが牽引する明るく軽やかな音楽。男性が女性にアプローチするセレナーデですが、そこへチェロが短調で入ります。まるで男性の幼馴染みが、他の女性に行くのは止めてと言ってるかのよう。後半はR.シュトラウス/ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずらを思わせる音楽。何とも不思議な雰囲気の曲でした。

 

 

続いてレスピーギ/リュートのための古風な舞曲とアリア。これは都響の弦の古風な響きに大いに魅せられました!昨年10月のジョヴァンニ・アントニーニさんが指揮した時の読響もそうでしたが、現代的なオケでありながら、その音楽に合った響きや雰囲気を的確に出せるオケは本当に見事だと思います。

 

 

 

後半はレスピーギ/ローマの噴水から。ローマ3部作で一番好きな曲です。この曲を都響の精緻な演奏で聴きたかったのが、このコンサートを聴きに来た一番大きな理由です。果たしてどうでしょうか?

 

冒頭の夜明けの噴水から都響の繊細な弦に痺れます!オーボエ、フルート、ハープの、弱音を利かせた繊細な演奏にもうっとり。途中の立ち昇っていく不思議な和声も魅力的、最後フルートの裏の弦の絶妙な弱音のニュアンスがまたいい!

 

トリトン以降は、都響のきらびやかなトゥッティに唖然!何と色彩感があって、かつ精緻な演奏なんでしょう!イタリアの朝の陽光に照らされて、弾ける(はじける)噴水の水の一滴、一滴がクリアに見えるような素晴らしさ!

 

ネプチューンのシーンはオケとオルガンが見事にブレンドされた重厚な響きがまたいい!ダーダーダッ、ダーダーダッ♪ここ、ピアノで両手オクターブで弾きたくなるくらい大好きなシーン。その後の息長く静まっていく、黄昏の雰囲気に満ちた場面も素晴らしい。期待通りの、ものの見事なローマの噴水でした!

 

 

最後はレスピーギ/ローマの松。これも言わずと知れた名曲。今年の1月にはステファヌ・ドゥネーヴさんとN響の素敵な演奏を聴きました。今日はどうでしょうか?

 

(参考)2019.1.11 ステファヌ・ドゥネーヴ/N響のレスピーギ/ローマの松

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12432333515.html

 

アラン・ギルバートさん、今度は挨拶もそこそこにすぐに始めました。きらびやかな冒頭に唖然!再びイタリアの明るい日差しと陽気な子供たち。何とキラキラして色彩感があって活き活きとした演奏!ほとんどベルリン・フィルでは?と思えるような繊細さ!

 

最後沈んで行って、カタコンベの厳粛な音楽へのスムーズな切り替えも見事でした。途中盛り上がる場面は金管を敢えて抑えめにして、低音を刻んで進むオルガンをよく響かせて(コルンゴルト/死の都の第3幕のよう)、より一層、宗教的な雰囲気。レスピーギの構築感のある音楽を見事に伝えていました(今日の演奏の1つ目のポイント)。

 

ジャニコロの松では、クラリネットのソロに繊細に寄り添う弦のニュアンスがまた素晴らしい!途中、妖しい調性の夢見ごこちの音楽になりますが、溜めや弱音をたっぷり入れて、その度に大いに魅了され心奪われます。最後の小鳥の鳴き声は、ミューザの高い天井から降ってくるように聴こえてきてとてもいい感じ。

 

そして最後はいよいよアッピア街道の松。各楽器ともほとんど存在していないかのような弱音から。あたかも亡霊のような響きに唸りました!イングリッシュ・ホルンのソロからいよいよ始まり。バンダが入って盛り上がりますが、まだペースはそこまで上げません。

 

と思っていたら、途中なのに爆発的な一発をかまして、そこからスピードアップ!あたかも古代ローマ軍が忽然とその姿を現したかのような強烈な場面!聴いたことないような箇所での爆発に度肝抜かれました!(今日の演奏のポイントの2つ目) そして、そのままアッチェレランドして盛り上がり、最後は都響ならではの迫力とバランスが同居した、美しいトゥッティで締めました!

 

 

何この聴き応え抜群で、かつ新しいローマの松!都響って改めて凄い!圧倒的なプロ集団!

 

 

いや~、めちゃめちゃ凄いローマの噴水とローマの松でした!サントリーホールで聴く都響も極上の響きですが、より残響を控えたミューザで、直接的な響きをマイルドに聴く都響も素晴らしい!

 

聴衆のみなさんも大いに盛り上がっていましたね。アラン・ギルバートさん、見事な指揮。都響は大野和士さんや小泉和裕さんとの時も抜群ですが、また一人、都響と一緒に聴くのが楽しみな指揮者、確信しました!12月の定期演奏会も大いに期待しています!