今回も圧倒的に素晴らしかったクリスチャン・ツィメルマンさんのピアノ・リサイタル!リサイタル・ツアーの大成功をお祝いして、リサイタルの後にちょっといいワインを開けました。

 

そのワインとはシャトー・パルメ1999。ボルドーはメドック、マルゴー村のワインで、シャトー・マルゴーに次ぐ位置にあるワインです。格付けこそ3級ですが、1級のワインにも負けない銘酒。ヴィンテージによっては、あのシャトー・マルゴーよりも評価が高いことでも知られています。

 

 

 

(写真)シャトー・パルメ1999。重厚なラベルが素敵。

 

(参考)2018.6.22 シャトー・パルメ スペシャルテイスティングイベント(この時は2012年・2006年・2000年を試飲)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12385769794.html

 

 

 

色は美しいクラレット・ルージュ。20年の熟成を経て、紫はほとんど見られず、赤に茶色のニュアンスが入ります。濃さもほどよくこなれてきていて、真ん中もやや透けてきています。よく熟成しているボルドー、という雰囲気に満ち満ちています。

 

香りはエレガントで芳しい香り!完全に開いていて、強く香ってきますが、決して攻撃的ではありません。何かが突出するのではなく、丸くてバランスの良い香り。そして優しい。セパージュの似ているシャトー・ピション・ラランドよりも丸い印象。香っていて、本当に心地よさを感じました。

 

味も非常に円やかでバランスが良く美味しい!包み込んでくるような円やかさ、柔らかさです。旨味も十分に感じ、単体で飲んでも十分に美味しいですが、料理と合わせると、料理を優しく包み込むように素晴らしく合いました。どんな料理にも合いそうな包容力を感じます。

 

 

シャトー・パルメ1999、素晴らしいワインでした!あと5年待ってもいいかも知れませんが、いま十分に美味しく飲めます。パルメはこれまで10ヴィンテージ以上は飲んできて、評価の高い1983年と1989年も1本もので飲んだことがあり素晴らしかったですが、個人的に今回の1999年がベストです。

 

 

気品があって繊細、年月を経た上での味わい深さは、どこかクリスチャン・ツィメルマンさんのピアノを思わせるものがありました。ツアーの大成功をお祝いさせていただくに相応しいワインだと思いました!(勝手ながらのお祝いですが、3回聴きに行ったので、きっと許していただけるはず。逆に、「1999年のパルメを開けるなら、なぜ俺を呼ばなかった?」と怒られたりして、笑)

 

 

さて、記事のタイトルに入れましたが、実はこのシャトー・パルメ1999、ワイン漫画「神の雫」で主人公の神咲雫くんの父親の遺言である「12の使徒」のワインのうちの1本なんです!

 

漫画では父親の遺言を元に、その遺言の言葉が表わすワインを探すことで物語が展開しますが、シャトー・パルメ1999は第2の使徒。遺言は以下の通りです(一部を抜粋)。

 

 

このワインは、「モナリザ」である。

 

(フィレンツェからピサへ向かう街道で、一軒のレンガ造りの古い家にたどり着き、その家に踏み入ったところ)

 

その瞬間、私の魂は、はるかな時を遡り、美と謎にとらわれた一人の芸術家と邂逅したのである。
彼は私を自分のアトリエへと誘った。
高い窓から降り注ぐ午後の陽光は黒い布に覆われた2枚の小さな絵画を照らしていた。
芸術家は私を絵の前に立たせ、謎をかけるように布を取り払った。
2枚の絵はいずれも婉然と曖昧な微笑みを浮かべる女を描いたもので、見分けがつかないほどよく似ていた。

 

芸術家は私に尋ねた。
「お前はどちらを愛するか?」と。

 

私は尋ねた。
「このふたつの絵はいつ描かれたのか。」
芸術家は答えた。
「右の絵は夏に描いた。」
「左の絵は春だ。」

 

それを聞いてもうひとつの質問を投げかけた。
「このふたつの絵は、いったい誰を描いたものだ。」と。
芸術家は再び答えた。
「左の絵は子を宿したばかりの女だ。右の絵は…」
言いかけて芸術家はいたずら小僧のように微笑み、私に向かって言った。

「右の絵のモデルは教えられない。」
 

私は改めて2枚の絵を見比べた。
右の絵は、より力強く、まだ絵の具の乾ききっていない若々しさが溢れていた。
対する左の絵は、完成された柔らかさと慈しみが溢れ、私の心を真綿のような優しさで包み込んでくれた。
私はすべてを悟って答えた。

 

「私が愛するのは、左の絵だ。」と。

 

 

つまり、このワインはモナリザをイメージしたワインなんです!確かに円やかで包み込むような優しさに溢れ、第2の使徒に相応しいワインだと思いました!

 

神の雫の使徒のワインは、以前にヴィンテージ違いで1杯だけ、第6の使徒のワイン(何と弥勒菩薩半跏思惟像を想わせるワイン、笑)を飲んだことがありますが、ヴィンテージも含め、ドンピシャで使徒そのものを1本もので飲むのはこれが初めて。ワイン・ラヴァー、神の雫の大ファンとして、非常に感慨深い出来事となりました!

 

(参考)2017.10.28 ルチアーノ・サンドローネ(バローロ)スペシャルテイスティングイベント(神の雫/第6の使徒)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12323938011.html