劇団四季のミュージカル/パリのアメリカ人、2回目を観に行きました。

 

 

劇団四季

パリのアメリカ人

(東急シアターオーブ)

 

作曲:ジョージ・ガーシュウィン

作詞:アイラ・ガーシュウィン

台本:クレイグ・ルーカス

演出・振付:クリストファー・ウィールドン

ミュージカルスコア・編曲&スーパーバイザー:ロブ・フィッシャー

装置・衣裳デザイン:ボブ・クローリー

照明デザイン:ナターシャ・カッツ

プロジェクション・デザイン:59プロダクションズ

音楽スーパーバイザー:トッド・エリソン

オーケストレーション:クリストファー・オースティン/ビル・エリオット

ダンス・アレンジメント:サム・デイビス

音楽監督:ブラッド・ガードナー

 

ジェリー・マリガン:松島 勇気

リズ・ダッサン:近藤 合歓

アダム・ホックバーグ:俵 和也

アンリ・ボーレル:小林 唯

マイロ・ダヴェンポート:宮田 愛

マダム・ボーレル:秋本 みな子

ムッシュー・ボーレル:味方 隆史

オルガ:大岡 紋

ミスターZ:金久 烈

 

 

 

この劇団四季のパリのアメリカ人は、1月に観に行って、大いに魅了された公演です。そして、1回目を観に行って、家に帰ってまず行ったのが、今日3月2日(土)のチケットを取ったことでした(笑)。つまり、1回目を観て、どれだけ感動したか、ということです。

 

(参考)2019.1.26 ミュージカル/パリのアメリカ人(劇団四季)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12435978088.html

 

 

そしてこのアメブロで交流のあるpmds90|80さんにお勧めしたところ、先日ご覧になっていただき、また、素晴らしい記事も書かれています。映画との比較や戦争映画を沢山ご覧になった経験からの洞察など、いつもながらのさすがのご感想です。

 

(参考)pmds90|80さんのパリのアメリカ人の記事

https://ameblo.jp/pmds90l80/entry-12442657685.html

 

 

ということで、もはや私が特に追加して書かなくてもいいかな?「2回目観た!感動した!最高!」で終わりでいいかな?とも思いましたが(笑)、実は前回の記事は始まったばかりだったので、あまり詳しく書きませんでした。前回メモしておいた点を中心に、今日観て確認した点も併せて、印象に残った場面を以下に挙げます。

 

 

◯まずは冒頭の場面。大きなナチスの旗が、戦争に勝利してフランス国旗に変わるシーンのあざやかさ!冒頭であっと言わせて、物語にググッと引き込む素晴らしいシーン!

 

◯その後の5分くらいのパントマイムを中心としたシーンがかなりいい!ジェリーがリズを見初めたシーンは、リズが貧しい人に施しを上げたところを、画家のジェリーがデッサンに描き取った場面でした。人や舞台のセットを次々に動かして、流れるような展開に魅了され、今日も早くも涙が…。

 

◯ジェリーが作曲家アダムと出逢うシーン。アダムのセリフに「ナディア・ブーランジェに習った」が出てきます。ナディア・ブーランジェ!そうです。コープランドもピアソラも習った、あのナディア・ブーランジェのことです。実はガーシュウィンはナディア・ブーランジェに師事する希望を、やんわりと断られているのです。その史実を踏まえての、遊び心のあるセリフですね。

 

◯アイガットリズムの音楽で盛り上がるシーン。楽しいシーンですが、途中、停電でストップしてしまいます。ろうそくの灯が付けられて、小さくパーカッションのみでアイガットリズムのリズムが刻まれて、みんながホッとするシーンがいい!どんなにシンプルでも、音楽のあるありがたみを実感できるシーン。

 

◯リズのバレエのオーディションのシーン。ここで使われた音楽にもうビビビッ!と来ました。なぜなら、私のガーシュウィン/ラプソディー・イン・ブルーの愛聴盤、レナード・バーンスタイン弾き振りのロサンゼルス・フィルのCDに付いている、ガーシュウィン/前奏曲第2番だからなんです。レニーの雰囲気のあるピアノに大いに魅了されてきた曲ですが、ここで再会できるとは奇遇でした。

 

(参考)ガーシュウィン/前奏曲第2番

https://www.youtube.com/watch?v=oKAvY5PheXY (4分)

※Martin Soderbergさんの公式動画より。こちらも雰囲気のあるピアノ。

 

 

◯ギャラリー・ラファイエットで働くリズのところに、ジュリーが押しかけて口説くシーン。ここはテーブルや傘を使っての、込み入ったバレエが素晴らしい!今日も大いに魅了されました。ギャラリー・ラファイエットはロマンティックな飾りでも有名です。

 

 

(写真)夜のギャラリー・ラファイエット(クリスマスのパリにて)

 

 

◯リズとアンリが手紙を書きながら、それぞれの気持ちを歌うシーン。ここでリズが歌う曲が、何と「ザ・マン・アイ・ラヴ」!この曲も昔から愛好している曲なので、ここで使われてとても感動的。リズにより飾り気なしに真摯に歌われるのがまたいい!切なさを大いに感じます。

 

(参考)ガーシュウィン/ザ・マン・アイ・ラヴ

https://www.youtube.com/watch?v=aXPe72ewgYk (3分)

※Paul Bartonさんの公式動画より。これも雰囲気ある!ガーシュウィンはたっぷりスウィングして弾きたいですね。

 

 

◯ジェリーとリズのポンデザールのシーン。アメリカ人のジェリーの「芸術に人生を捧げる」のセリフに、「フランス人だからよく分っている」と即答するリズ。さすがフランス人!(笑) 

 

◯さらに、リズに迫るジェリー「答えはイエス?」、リズ「いやよ!」、ジェリー「じゃあ、踊ろう!」。その「じゃあ」って一体何?(笑) めちゃめちゃ受けます。こういう真っ直ぐな恋って本当にいいものだ。

 

◯リッツでのジェリーとマイロのシーン。2人のやりとりの中では、セザンヌ、コクトーなど偉大な芸術家の名前を挙げての芸術論が展開され、大いに魅了されます。5人の主役の中で唯一、芸術家ではないマイロですが、単なるパトロンだけでなく、ジェリーやリズに示唆を与えて、まるで素晴らしい芸術の守り神のよう。

 

◯アンリのボーレル家のパーティに偶然アダムとジェリーが招待されての可笑しなやりとり。リズを口説こうとして、失言を連発するアダムが楽しい(笑)。

 

◯ボーレル家の小さな舞台での踊りのシーンは、舞台の配置が、先日METライブビューイングでも観た、チレア/アドリアーナ・ルクヴルールの第3幕のよう!舞台とイスの並びが全く同じでした(笑)。

 

◯そのバレエを観ていたら、「足がウズウズ」と歌って踊り出すアンリと招待客たち。イスを使って、足が勝手に動き出す踊りが楽しい。あれ!?いつの間にか、そういうのを拒んでいたボーレル夫妻も踊っている?(笑) まるで、カールマン/チャールダーシュの女王の、エドウィンの両親の伯爵夫妻ようです。

 

◯アンリとリズが婚約すると発表があり、パーティを抜けてのジェリーとリズの魂のやりとりには大いに魅了されました。「ザ・マン・アイ・ラヴ」の旋律が悲しく出てきて、涙を誘います…。

 

◯その後の、リズとアンリ、ジェリーとマイロ、アダムの5人のシーン。2つのカップルの葛藤が演じられる中、一人だけピアノに向かって作曲するアンリが印象的。リズへの想いを音楽に託しているんですね。前のシーンのように、言葉ではリズの心を動かせなくても、後に音楽でリズの心を掴むアダム。

 

◯ジャズクラブでのアンリの踊りが、いつの間にか、ラジオシティに変わるシーン!アンリの心象風景ですね。ラジオシティは円形のアーチの舞台だったり、ロケッツが出てきたり、最後ラインダンスで前に出てきたり、とてもリアル。ニューヨークで観て来たばかりなので、大いに感動しました!

 

(参考)2018.12.31 ラジオシティのクリスマス・スペクタキュラー2018

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12441169539.html

 

 

◯ジャズクラブで男3人の葛藤のシーン。アンリが、侮辱したジュリーを殴りますが、バーのマスターが「まあ、飲め」と言わんばかりに、さりげなくグラスを出す場面に萌えました(笑)。お酒を飲んで黄昏れるジェリー。一部始終を見ていたマイロのセリフも気が利いています。

 

◯リズの最後のバレエのシーンは何度でも観たくなる感動的なシーン!今日も観ながら、涙涙でした…。踊る前にマイロがリズに助言するのもいいですね。マイロ、本当にいい人です。そして、ラストは、おそらく古今東西のミュージカルの中で、永遠に語り継がれる素敵なシーン!

 

 

 

劇団四季のパリのアメリカ人、2回目も大いに感動できた素晴らしい公演でした!出演者のみなさまは、1回目に観た1月26日(土)から、主役の5人のうち、アンリの小林唯さん以外の4人が変わっていましたが、舞台の素晴らしさは全く変わらず見事でした。

 

そして、私は劇団四季や出演者のみなさまのことに詳しくないので、全く感覚的に思ったことですが、今回、リズ役の方は、バレエが主体ということもあるとは思いますが、1回目に観た石橋杏実さん、今日観た近藤合歓さんともに、劇団四季として、そこまでは有名な役者さんではない方を、敢えて配役しているように思いました。

 

パリのアメリカ人は物語自体、全く無名のリズが、バレエダンサーとしてデビューする内容です。そこに役者さんご自身のサクセスストーリーをも掛け合わせた、全くもって粋な配役だと思いました。石橋杏実さん、近藤合歓さん、ともに見事なバレエ・演技・歌・セリフで、大いに魅了されました!

 

それにしても改めて、劇団四季のレベルの高さと言ったら!ニューヨークで観るミュージカルももちろん素晴らしいですが、ニューヨークに行かなくても、極めてハイレベルなミュージカルを気軽に観ることができるのは本当にありがたいものです。

 

 

 

このパリのアメリカ人、東急シアターオーブでの公演は3月8日(金)までで、その後、横浜公演となります。大人のミュージカル、という意見もあるようですが、とにかくpmds90|80さんがおっしゃっているように、極上のエンターテインメントです!ぜひご覧になってみてください!