「猫が行方不明」のセドリック・クラピッシュ監督の最新作、ブルゴーニュでワイン造りに奮闘する3人の兄妹の人間模様と悲喜こもごもを描いた映画、「おかえり、ブルゴーニュへ」が始まったので観に行きました。
おかえり、ブルゴーニュへ
監督:セドリック・クラピッシュ
脚本:セドリック・クラピッシュ/サンティアゴ・アミゴレーナ
製作:セドリック・クラピッシュ/ブリュノ・レヴィ
編集:アン=ソフィー・ビオン
撮影監督:アレクシ・カヴィルシーヌ
音楽:ロイク・デュリー/クリストフ・“ディスコ”・ミンク
ジャン:ピオ・マルマイ
ジュリエット:アナ・ジラルド
ジェレミー:フランソワ・シビル
マルセル:ジャン=マルク・ルーロ
アリシア:マリア・バルベルデ
(参考)映画の公式サイト
※冒頭に2分の予告編の映像が出てきます。
11月4日にドメーヌ・ルーロとドメーヌ・ド・ランブレイの試飲会に行きましたが、来日されたドメーヌ・ルーロのオーナー兼俳優、ジャン=マルク・ルーロさんの出演される映画が、まもなく日本で公開されることが紹介されました。公開が始まったので、さっそく観に行きました。
(参考)2018.11.4 ルーロ&ランブレイ(ブルゴーニュ)スペシャルテイスティングイベント
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12416806520.html
文句なしに素晴らしい映画!!!大いなる感動!!!
これは神映画ではないでしょうか!?少なくともワインが好きな方にとっては、間違いなく神映画だと思います。
ストーリーは、ブルゴーニュでワインを造る仕事をしていた父親が亡くなり、残されたジャン・ジュリエット・ジェレミーの3人の子供が相続税の問題に悩みながらも、ワイン造りに奮闘する内容です。
誰しも悩みを抱えながら生きています。人間の弱さ、脆さ、すれ違い、価値観の相違を見せつつ、それらを乗り越える兄妹・親子・家族の絆を、圧倒的に美しい春夏秋冬、四季折々のぶどう畑をバックに綴った感動の映画です。
まだ公開中なので詳しい感想は控えますが、いくつか、とてもいいなと思ったシーンを。
まずは、父親の葬儀が終わった後、子供3人で父親が造った赤ワインと、さらにおじいさんの造った赤ワインを飲むシーン。長女のジュリエットが「ロマンティック」「現実的」など、それぞれの人柄を交え、どんなワインかを言い当てるシーン。造った人の人となりがワインに宿っている。ワインを飲むことで亡くなった家族を身近に感じていた、大変感動的なシーンでした。
同じワイン好きとして、さもありなん(笑)と思ったのは収穫祭のシーン。お祝いの宴で盛り上がる中、次男のジェレミーが奥さんに呼ばれて、ワインどころではない、と急いで家に帰ろうとした時。「ペリエール95年だよ!」とワイングラスを差し出されたらピタッと足が止まり(笑)、美味しい!と味わう場面。険しい顔だったジェレミーが、ワインを飲んで、みるみるうちに満面の笑みになるのがいい!ムルソー・ペリエール1995の破壊力!(笑) 結局、ジェレミーはワインが進んでしまって朝まで帰らず、奥さんにさんざん怒られましたが(笑)。
その後、初めて収穫を仕切ったジュリエットも感極まってか、したたか飲んで酔っ払い、「’レレツ’って、なに?」(笑)などロレツが回らなくなり、3兄妹で「ロレツ、くたばれ!」と乾杯して、グラスを重ねるシーン!こういうノリはもう大好き!オペラのシーンでもお酒のシーンがいろいろ出てきますが、たまには粋にハメ外さないとですね(笑)。
また、ジュリエットがオーストラリアにいる、長男ジャンの奥さんに国際電話をかけるシーン。ジュリエットは兄のために、フランス語でなく、慣れない英語で、ジャンと難しい状態にある、会ったこともない奥さんに、ジャンの気持ちを伝えます。なかなか英語が出てこない中、必死で話すジュリエットの兄妹愛に感動!これですよ、これ!外国語はもちろんスキルがあるに超したことはないですが、結局は気持ちがあれば伝わるものだと思います。
そして、ドメーヌの醸造家役として、3兄妹に温かいアドバイスを送るマルセル役は、ジャン=マルク・ルーロさんです!先日お話しできたルーロさんが、映画の中で何ともいい味出して出演されていて、クレジットにも大きく名前が出ていて、非常に感激しました!俳優として見事に演じていただけでなく、映画をリアルなものにするために、セドリック・クラピッシュ監督にいろいろとアドバイスもされたそうです。
私はビール、ウイスキー、ブランデー、カクテル、リキュールなどなど、お酒と名の付くものは何でも好きですが(笑)、中でも特にワインが好きです。その理由の1つは、ワインにはヴィンテージがあるから。年によって日照や気温、雨、霜など気候の影響を大きく受けて、同じぶどうの木なのに出来上がりが異なります。地球レベルでのダイナミックな自然の息吹や奇跡を感じられるお酒だからです。
そしてワインの試飲会も大好きでせっせと行っていますが、理由は、実際にワインを造っている生産者の方々の話を聞くことができ、触れ合うことができるから。ワインのドメーヌやシャトーごとに、それに携わる人たちの想いや魂が宿っている。それを生産者の方から直接聞いて、理解した上でワインを飲むと、ただでさえ素晴らしく美味しい飲み物が、さらに感動的なものとなります。
決して派手な事件や出来事が出てくる訳ではありませんが、何という愛しい映画!「猫が行方不明」にも大いに魅了されましたが、セドリック・クラピッシュ監督は天才ですね!とにかく、ワインが好きな人はmust goで観に行った方がいいと思われる、真に素晴らしい映画です!私もぜひもう一度観に行こうと思っています。超お勧めです!
(写真)改めて、11月4日のドメーヌ・ルーロの試飲会で購入したオーセイ・デュレス2015(ドメーヌ・ルーロ)、ジャン=マルク・ルーロさんのサイン入り。ワイングラスの絵が可愛い(笑)。映画の収穫のシーンは2015年なので、もしかすると、このワインの畑も映っていたのかも知れません。ルーロさん、約束通り観に行きましたよ~!めっちゃ素敵でした!