念願叶ったマイセン観光。夜はドレスデンに移動して、今回の旅行の中でも特に楽しみにしていたコンサートを聴きに行きました。クリスティアン・ティーレマン/ドレスデン国立歌劇場合唱団/シュターツカペレ・ドレスデンによる、ドレスデン国立歌劇場合唱団の創設200周年特別コンサート、曲目はブラームス/ドイツ・レクイエムです!


 

SÄCHSISCHER STAATSOPERNCHOR DRESDEN

200 JAHRE STAATSOPERNCHOR

Semperoper

 

Drigent: Christian Thielemann

Sopran: Christiane Karg

Bariton: Christoph Pohl

 

Sächsischer Staatskapelle Dresden

Sächsischer Staatsopernchor Dresden

Einstudierung: Jörn Hinnerk Andresen

 

Johannes Brahms

Ein deutsches Requiem

 

 

 


(写真)コンサートの会場はゼンパーオーパー。美しく風格のあるオペラハウスです。

 

 

 

 

(写真)ゼンパーオーパーの周りの風景。絵になる景色の連続に、コンサート前の気分がより高揚します。3番目の写真は冬の旅行で堪能したアルテ・マイスター絵画館の至宝、ラファエロ/システィーナのマドンナ。一番下はツヴィンガー宮殿のマイセン磁器のグロッケンシュピール。マイセンのフラウエン教会のグロッケンシュピールとお揃い(笑)。

 

 

(写真)ゼンパーオーパーに聴きに行く前の儀式は、すぐそばのカフェでの腹ごなし。名物のアイアーシェッケがなかったので、黒い森とさくらんぼのトルテ。

 

 

 

実は私は最近まで、ブラームス/ドイツ・レクイエムを、CDにしろ、コンサートにしろ、聴いたことが一度もありませんでした。

 

ええ~、こんなにメジャーな曲なのに?

 

はい。今でこそ、素晴らしいバッハ・コレギウム・ジャパンのコンサートを始め、せっせとバッハを聴きに行くようになりましたが、宗教音楽全般に以前はそこまでの興味はなく、レクイエムが演奏されるコンサートの場合、積極的に聴きに行くのはデュルフレのレクイエムくらい。モーツァルトもヴェルディもフォーレもぜひに、という訳でもありません。

 

しかし、今回はドレスデン国立歌劇場合唱団の創設200周年の特別コンサート。今まで聴いてこなかった曲を聴く、絶好のチャンスです。ということで、1ヶ月前くらいに予習をしたところ…、

 

何この名曲!!!

 

もう素晴らし過ぎました!若いブラームスの出世作。冒頭の合唱だけで人々が涙を流したと伝えられる曲だけのことがあります。もっと早くから聴けば良かった…と思う反面、初めて実演を聴くのがクリスティアン・ティーレマン/ドレスデン国立歌劇場合唱団/シュターツカペレ・ドレスデンというのも何か特別なものがあると思い、楽しみに聴きに行きました。

 

 

 

普通、合唱の付くオーケストラのコンサートでは、合唱→オケの順番で入場しますが、さすがは合唱団の創設200周年の特別コンサート。オケ→合唱の順番で入りました!合唱の入場に観客から万雷の拍手。

 

 

第1曲「幸いなるかな、悲しみを抱くものは」。シュターツカペレ・ドレスデンの何という温かい弦の響き!円やかでまるで30年もののウイスキーのようです。合唱の入りは最弱音から。だんだんと上がっていく旋律に痺れます!再現部は慎重な入り。ティーレマンさんの意味深い指揮です。最後のハープにとろけました。

 

第2曲「人はみな、草のごとく」。厳粛な雰囲気の導入。盛り上がりはもの凄い迫力!ティーレマンさんの踏み込み、それに応えるオケ、いずれも本当に凄い!後半の合唱の晴れやかな旋律、めくるめく展開が素晴らしい!最後のティンパニの連打は、そこまで大きくは叩かず、しっかりと一歩一歩進んで行くようで逆に印象的。ティーレマンさんの力強い意志を感じます。

 

第3曲「主よ、知らしめたまえ」。クリストフ・ポールさんのバリトンがとても立派な歌。ヴァイオリンに続く合唱が本当に見事!後半は大フーガの展開!何と素晴らしい音楽!ティーレマンさんの高揚の持続!たたみかける合唱!バッハを超えたバッハと言いたくなる素晴らしい音楽!!!

 

(参考)ブラームス/ドイツ・レクイエムの第3曲「主よ、知らしめたまえ」

https://www.youtube.com/watch?v=5L7AVg_90GI (8分)

※指揮者Dian Tchobanovさんの公式動画より。ハンガリーのオケ。私がこの曲で最も痺れるフーガの場面は6:11からです。

 

第4曲「いかに愛すべきかな、なんじのいますところは、万軍の主よ」。瑞々しい合唱による流れるような美しい音楽。心洗われます。

 

第5曲「汝らも今は憂いあり」。ソプラノが切々と歌って、この曲やオケ、合唱に見事にマッチします。クリスティアーネ・カルクさんは今回抜擢なのでしょうか?歌い終わった後に、ホッとされた表情をしていました。

 

第6曲「われらここには、とこしえの地なくして」。「怒りの日」に相当する音楽です。バリトンの厳しい歌が続き、合唱による迫力の音楽、煽り立てるオケ、そして、長調に転換してからの延々と重なり合う感動のフーガ!それらを明快に司るティーレマンさん。またしても大いなる感動!

 

第7曲「今から後、主にあって死ぬ死に人は幸いである」。激しい第6曲を経て、ここは浄化されたような清らかな合唱が続きます。いつまでもこの音楽が続けばいい、そんな名残惜しさの中、曲が終わりました。

 

 

何この記念碑的な名演!!!

 

 

私、この曲聴くのは予習で数回、実演は初めてですが、直感で分ります。いかにこれが名演であるか。とにかく、凄いもの聴いた!大いなる感動に打ち震えた素晴らしい公演でした!

 

もちろん終演と同時に万雷の拍手。ティーレマンさんはオケの前に、まず合唱を立たせて、カーテンコール2回目以降は、合唱指揮者に立たせていました。嬉しい配慮。合唱団もみな満面の笑み。観客はスタンディング・オベーション。私ももちろん即座に立って称えました!

 

 

やはりシュターツカペレ・ドレスデンは私にとって、ウィーン・フィルとともに特別なオーケストラに思います。その音色と響き、何もかも決定的に素晴らしい。ドレスデン国立歌劇場合唱団は、これまでオペラの公演で素晴らしい合唱を聴いてきましたが、コンサートでも見事でした!創立200周年、本当におめでとうございます!

 

そして、クリスティアン・ティーレマンさんの極めて感動的な指揮!全てを確信的に振って、一点の曇りもありません。クレッシェンドの大胆な踏み込みや凄み、聴こえるか聴こえないかくらいまで鎮める弱音、スケールの大きなフォルテの持続、随所にティーレマン節を投じて、聴衆をとんでもない世界へと連れて行ってくれます。

 

 

初めてのブラームス/ドイツ・レクイエムの実演、最高の形で聴くことができました!今年は1月にもコンサートとオペラでシュターツカペレ・ドレスデンのオケの素晴らしさを堪能でき、個人的に今年はシュターツカペレ・ドレスデン・イヤーの様相。秋の来日公演のシューマン・チクルスも本当に楽しみです!

 

(参考)2018.1.7 ハーディング/ファウスト/シュターツカペレ・ドレスデンのベルク&マーラー

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12358384165.html

 

(参考)2018.1.7 コルンゴルト/死の都(ドレスデン国立歌劇場)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12358947447.html

 

 

 

 

(写真)大いなる感動と興奮の中、ドレスデン国立歌劇場合唱団の創設200周年のお祝いだ!ということで、終演後は一目散にレストランに。一皿目はビスク。ワインはザクセンのゼクト(スパークリング)。創設200周年、おめでとうございます!

 

 

(写真)メインはシュパーゲル、豚、ポテトのコンビネーション。豚は赤ワインソース。ワインはザクセンのGradburgunder。シュパーゲル、たまらない美味さ。

 

 

(写真)食後酒にザクセンのブランデーWilthener No.1 XO。味わい深い美味さ。

 

ここで、お酒を地元のザクセン3連発でオーダーしたのを粋に感じていただけたのか、ブランデーが来たタイミングで、給仕長の方から「ぜひまた来てください。」と握手を求められました。「喜んで!」と固い握手。こういうのはお客冥利に尽きます。

 

 

 

(写真)レストランを出るとカトリック旧宮廷教会の美しいライトアップ。短い滞在時間ながら、何から何まで素晴らしかった今回のドレスデン滞在。また美しいドレスデンに来よう、思いを強くしました。