前回、日フィルの第700回特別記念東京定期演奏会、アレクサンドル・ラザレフさんによるストラヴィンスキー/ペルセフォーヌの日本初演について記事にしました。この日は、いつもの似顔絵が楽しいプログラムに加えて、「日本フィルハーモニー交響楽団 第700回東京定期演奏会を迎えて」、と題したパンフレットが配られ、第1回、第100回、第200回、第300回、第400回、第500回、そして第600回~第700回の東京定期演奏会の全てのプログラムが載っていました。

 

「ああ、これ聴いたな~」「これ感動した!」など、非常に懐かしく拝見させていただいたので、ここで少し、私がこれまで日フィルを聴いてきて、特に思い出に残っているコンサートについて、まとめたいと思います。(実際はこの何倍ものコンサートを聴いています。)

 

 

1997年10月16日&17日 第494

指揮:イルジー・ビェロフラーヴェク

スメタナ/連作交響詩「我が祖国」

 

→イルジー・ビェロフラーヴェクさんの我が祖国は1994年にN響で初めて聴きましたが、1997年の日フィルの公演も2日連続で聴きました。端正ですが力強い我が祖国、と記憶しています。

 

 

1998年10月23日 第504

指揮:オッコ・カム

シベリウス/交響詩《エン・サガ(伝説)》
シベリウス/序曲《カレリア》
シベリウス/組曲《カレリア》
シベリウス/交響詩《タピオラ》
シベリウス/交響曲第7番ハ長調

 

→オッコ・カムさんのオール・シベリウス・プロ。もう垂涎ものの素敵なプログラム、ちょうど10年経ったので、同じ内容で、もう一度聴いてみたいものです。

 

 

2001年6月29日 第531

指揮:ネーメ・ヤルヴィ

シベリウス/劇音楽「クオレマ」より「悲しいワルツ」「鶴のいる風景」「カンツォネッタマ」「ロマンティックなワルツ」

シベリウス/交響曲第4番イ短調

シベリウス/交響曲第1番ホ短調

 

→こちらはネーメ・ヤルヴィさんによるオール・シベリウス・プロ。こういうプログラムには本当に唸ります。パパ・ヤルヴィによる味わいのあるシベリウス、と記憶しています。

 

  

2006年9月7日&8日 第583

指揮:イルジー・ビェロフラーヴェク

スメタナ/連作交響詩「我が祖国」

 

日フィル創立50周年のお祝いのコンサートです。再びイルジー・ビェロフラーヴェクさんの指揮で。しかし、我が祖国、昨年も5回聴きましたが、昔からよく聴きに行っていますね(笑)。

 

 

2009年1月17日 第607

指揮:アレクサンドル・ラザレフ

ヴァイオリン:漆原朝子/ヴィオラ:今井信子

プロコフィエフ/交響曲第1番ニ長調「古典」

モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲変ホ長調

プロコフィエフ/交響曲第7番嬰ハ短調「青春」

 

ラザレフさんのプロコフィエフ交響曲全曲演奏シリーズの初回です。7番のラストが終わった後、ラザレフさんが「(プロコフィエフが)書かされた!」と連呼して、しんみり終わるオリジナル版も演奏していたのが、非常に印象に残っています。

 

 

2009年6月20日 第611

指揮:アレクサンドル・ラザレフ

ヴァイオリン:ニコラ・ベネディッティ

チャイコフスキー/組曲第4番ト長調「モーツァルティアーナ」

モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調

プロコフィエフ/交響曲第2番ニ短調

 

同じくプロコフィエフのシリーズから。私はプロコフィエフの交響曲で、この2番が一番好きですが、ようやく実演を聴くことができました。「鉄と鋼でできた交響曲」。ラザレフさんの凄まじい指揮でした!

 

 

2013年3月16日 第648

指揮:ピエタリ・インキネン

シベリウス/交響曲第1番ホ短調

シベリウス/交響曲第5番変ホ長調

 

2013年4月26日 第649

指揮:ピエタリ・インキネン

シベリウス/交響曲第3番ハ長調

シベリウス/交響曲第6番ニ短調

シベリウス/交響曲第7番ハ長調

 

ピエタリ・インキネンさんによるオール・シベリウス・プロです。2番と4番も横浜定期で聴いて、全曲聴くことができました。スタイリッシュなシベリウスという印象。インキネンさんはドイツ・オーストリアものをよく振っている印象がありますが、前半にラウタヴァーラ、マデトヤ、コッコネンなど、後半にシベリウスという感じで、純粋にフィンランドや北欧の作曲家だけでプログラムで組むこと希望です。

 

 

2013年10月19日 第654

指揮:アレクサンドル・ラザレフ

フルート:真鍋恵子

チャイコフスキー/バレエ組曲「眠れる森の美女」

武満徹/ウォーター・ドリーミング

スクリャービン/交響曲第3番ハ長調「神聖なる詩」

https://ameblo.jp/franz2013/entry-11644442302.html

 

ラザレフさんのスクリャービンのシリーズから。夢想で統一されていたと思われる素敵なコンサートでした。スクリャービンはプロメテウスの回も非常に良かったです。交響曲を全曲やっていただけるといいのですが?

 

 

2014年10月25日 第665

指揮者:アレクサンドル・ラザレフ

チャイコフスキー/弦楽セレナーデ ハ長調

ショスタコーヴィチ/交響曲第4番ハ短調

https://ameblo.jp/franz2013/entry-11946909359.html

 

ラザレフさんのショスタコーヴィチのシリーズから。もうホールが壊れるのでは?と思うくらいに壮絶だった4番、掛け値なしに素晴らしかったです!ラザレフさんのショスタコーヴィチはどれもこれも本当に素晴らしい。

 

 

2017年6月16日 第691

指揮:アレクサンドル・ラザレフ

ピアノ:若林 顕

グラズノフ/バレエ音楽《お嬢様女中》

プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第1番変ニ長調

プロコフィエフ/スキタイ組曲《アラとロリー》

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12284363370.html

 

これも記憶に新しいところ。グラズノフのシリーズからの1曲、珍しいお嬢様女中も良かったですが、何しろアラとロリー。何と邪悪な音!(笑)ラストはオケの白い熱量に、観客が全員が蒸発してしまったかのよう(笑)。

 

 

2018年5月19日 第700

指揮:アレクサンドル・ラザレフ/チェロ:辻本玲

ナレーション:ドルニオク綾乃/テノール:ポール・グローヴス

合唱:晋友会合唱団/児童合唱:東京少年少女合唱隊

プロコフィエフ/交響的協奏曲ホ短調

ストラヴィンスキー/ペルセフォーヌ(日本初演)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12377460110.html

 

 

 

こうして見ると、日フィルの創立者にして、偉大なるシベリウス指揮者、渡邉暁雄さんのDNAの残るシベリウス。イルジー・ビェロフラーヴェクさんとのチェコもの。そして、近年のアレクサンドル・ラザレフさんとのロシアものをよく聴きに行っていることが分かります。こうした得意分野、オケの良さを十分体感できる曲を、これからもぜひ聴いて行ければと思っています。ラザレフさんはもちろんのこと、来年のインキネンさんとのシベリウスも楽しみにしています。

 

そして、この記事を書きながら思ったのは、せっかくロシア音楽の重鎮かつスペシャリスト、ボリショイでも活躍されたラザレフさんが定期的に来られているので、新国立劇場で、例えばR.コルサコフ(キーテジとかサトコとか)などのロシアのオペラを、ラザレフ/日フィルのコンビでやるのはどうでしょう?おそらく東京のオペラ・ファンは、そういう公演を待ち望んでいるものと思うのですが?

 

 

いずれにしても、土曜日は見事に決めた素晴らしい公演でした!日フィルの第700回の定期演奏会、本当におめでとうございます!これまで素晴らしいコンサートを聴かせていただいてきた者として、心より、ますますのご発展をお祈りしております!