旅から帰国したばかりですが、素敵なコンサートを見つけたので聴きに行きました。梶川真歩さんのフルートのリサイタル、ドビュッシーを中心とした、非常に魅力的なプログラムです!
梶川真歩 フルート・リサイタル
~ パンの笛に魅せられて ~
(Hakujy Hall)
フルート:梶川 真歩
ピアノ:工藤 セシリア
ドビュッシー/ビリティスの歌
1.夏の風の神、パンに祈るために
2.無名の墓のために
3.夜が幸いであるために
4.クロタルを持つ舞姫のために
5.エジプト女のために
6.朝の雨に感謝するために
※この曲順で正しいかちょっと自信がないです。
ムーケ/フルート・ソナタ「パンの笛」
1.パンと羊飼い達
2.パンと鳥達
3.パンとニンフ達
デュカス/牧神のはるかな嘆き
ドビュッシー/パンの笛(シリンクス)
ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
(アンコール)
ドビュッシー/月の光
梶川真歩さんはアメブロを通じて、たまたま存在を知ったフルーティスト。最近N響に正式に入団されたという実力派です。帰国後はしばらくコンサートの予定はありませんでしたが、たまたまリサイタルを見つけて、プログラムのテーマ性や統一感が抜群だったので、絶賛時差ぼけ中(笑)にも関わらず、ついつい聴きに行ったものです。ドビュッシー没後100周年を意識したのは言うまでもありません。(あと、梶川真歩さんがとても可愛らしいから、という動機はここだけの内緒で、笑)
会場はHakujyu Hall。リクライニングのシートでリラックスして聴けるホールとして有名ですが、タイミングが合わず、なかなか行くことができませんでした。初めてなので、どんな感じなのか、とても楽しみです。
梶川真歩さんと工藤セシリアさんが登場。おそらくニンフをイメージされたと思われる、白の清楚かつフワフワのドレスで、2人とも非常にお似合いです。トークも入りますが、梶川真歩さんがたびたび「セシリアちゃん」と言うのが可笑しい(笑)。梶川真歩さんのフルートの師匠は著名なフルーティストの工藤重典さんですが、セシリアさんはその娘さん。きっと、小さい頃から仲良しだったんでしょう。
1曲目はドビュッシー/ビリティスの歌。1曲目の東洋的な響き、2曲目の「牧神の午後への前奏曲」の冒頭の旋律を思わせるような漂う浮遊感、6曲目のミステリアスな響き、など、ドビュッシーの多彩な音楽を素敵なフルートとピアノで楽しめました!ただ、梶川真歩さんが冒頭のお話で「リラックスしてまどろんでください」とおっしゃっていたので、時差ぼけ&Hakujyu Hallの心地良い座席もあり、寝てはいないものの、途中の記憶が…(泣)。
2曲目は近代フランスの作曲家ジュール・ムーケ(1867-1956)の「パンの笛」。楽しい音楽の第1楽章、鳥達の鳴き声が賑やかな第2楽章、叙情的に始まり、後半は賑やかになる第3楽章、とても楽しめました!第3楽章を聴くと、ニンフ達に逃げられてしまった、というよりは、仲良くダンスを踊っているような情景すら思い浮かべます。
3曲目はデュカス/牧神のはるかな嘆き。ここはセシリアさんのピアノ独奏です。この曲、「牧神の午後への前奏曲」の旋律がジャズっぽい雰囲気で出てきて、スクリャービンの一歩手前という非常に独特な音楽。デュカスの新しい一面を見た気がします。
4曲目はドビュッシー/パンの笛(シリンクス)。ここは梶川真歩さんのフルート独奏。フルートによる不思議な雰囲気の嘆きの音楽のように聴こえました。牧神の午後への前奏曲よりも一歩先の音楽、という印象です。
最後はドビュッシー/牧神の午後への前奏曲。この曲に関しては、今年はいくつか思い出が。1月にBunkamuraのル・シネマで観たバレエ・リュスの「牧神の午後」。伝説のニジンスキーさんの振付の感動のバレエです。2月に観たハンブルク・バレエ団の「ニジンスキー」では、その牧神がニジンスキーとロモラの間を取り持つお茶目な立ち位置で出てきて萌えました(笑)。
そして、今回の旅行では、とある美術館にて、ちょうどアーノルト・ベックリン/葦の中のパン、という絵を観てきたばかりなんです。葦の中で寂しげに葦笛を吹くパンの切ない後ろ姿を描いた、ベックリンにしては素朴な絵で魅せられました。
(参考)2018.1.26 映画/バレエ・リュス(バレエ・リュス100周年記念公演)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12348223544.html
(参考)2018.2.12 ニジンスキー(ハンブルク・バレエ団/ジョン・ノイマイヤー振付)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12352910036.html
(参考)アーノルト・ベックリン/葦の中のパン
※ウィキペディアより
その牧神の午後への前奏曲。4曲目までも素晴らしかったですが、最後は本当に見事な演奏!この曲はオケで何度も聴いていますが、フルートとピアノだけで、何と色彩感に溢れる雰囲気のある音楽を紡ぐことか!いや、むしろ、フルートとピアノだけの方が曲想により合っているのかも知れません。そのくらいに思えた、めちゃめちゃ感動的な演奏でした!
アンコールは何と!ドビュッシー/月の光。ええ!?このピアノだけで完成された曲に、どうやってフルートが入るの~?と思いましたが、聴いてみると、主旋律をフルートが吹いて、とてもいい感じ。曲想はピアノだけの時とは異なり、何と言うか、かぐや姫が故郷の月を思って、感傷に浸っている、私にはそんな風に聴こえました。一点、最後、第1主題が帰ってくるところは1小節だけフルートが吹いて後はピアノだけでしたが、せっかくなので、その後もフルートがピアノに相の手を入れても(しかも即興で)いいかもと思いました。
梶川真歩さんのフルートのリサイタル、工藤セシリアさんのピアノも含め、演奏にしろ、プログラミングの妙にしろ、本当に素晴らしかったです!パンとフルートのつながり、ドビュッシーが牧神の午後への前奏曲をどうしてフルートに託したのか、非常によく実感できたリサイタルでした。正直、時差ぼけもあり、集中力はいつもの60%ぐらいでしたが(なので感想も少々怪しいところあり…)、1曲目途中で少々まどろんだ以外、じっくり聴けたのは、演奏が素晴らしかったことに他なりません。
私は自分でピアノを弾いていることもあり、楽器で興味があるのはやはりピアノ。他の楽器にそこまで強い関心はなく、室内楽のコンサートもピアノ以外はほとんど聴きに行きません。ただ、こういう知的なプログラムで素晴らしい演奏を聴くと、その楽器(今回はフルート)に関心を持つきっかけになります。梶川真歩さん、工藤セシリアさん、素敵なリサイタルを本当にありがとうございました!
(追伸)前回の記事の写真がようやくアップできました。カールス教会、凜々しすぎます。
