(写真)この日、最も感動的な出逢いとなった絵、Arnold Böcklin/Der Einsiedler(アーノルト・ベックリン/ヴァイオリンを弾く隠者)
※ウィキペディアより
この日はハンブルグから列車で2時間のベルリンに移動しました。まず行ったのが、
(写真)アレキサンダー・プラッツの世界時計。右の高い塔が電波塔(大きくて、とてもカメラに入りきらない)。ベルリンは11時、TOKYOは時差8時間で19時です。雨が降り、みな世界時計の下で雨宿りしていて、とてもいいシーン。
アレキサンダー・プラッツです。2014年にバイロイト音楽祭でジークフリートを観ましたが、その第2幕の舞台がアレキサンダー・プラッツだったので、現場を確認したかったためです。
(参考)2014.8.13 ワーグナー/ジークフリート(バイロイト音楽祭)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-11917136967.html
世界時計や電波塔など、舞台にちなんだ風景が見られて感慨深かったです。おそらくここはできた当時は最先端の広場だったので、象徴的に選ばれたのでは?と思いました。
ただ、今回行ってみて分かったのは、アレキサンダー・プラッツは東ベルリン側だということ!つまり、バイロイト音楽祭のジークフリート第3幕は東西ベルリンの発展度合いの違いで見せていた(もう1つの東ベルリン側は原始的な舞台)と勝手に思っていたのですが、アクキサンダー・プラッツが西ベルリンでなく東ベルリンだとそのストーリーが成り立たなくなります。
同じ共産主義・社会主義の中での精神的な世界と物質的な世界の対比だったのかも知れません?あるいは、舞台の看板はExsanderplatzだったので、西側の線を捨てなくてもいいのかも知れません?いずれにしても、改めてあの舞台の意味を考えてみようと思いました。
この他、今日はマリエン教会、赤の市庁舎、ベルリン大聖堂など、ベルリンの壁のあったブランデンブルク門より東の、東ベルリン側を巡りました。
(写真)マリエン教会。福沢諭吉の舞姫の出逢いの舞台です。
(写真)赤の市庁舎。以前のベルリン市庁舎です。中はレトロなステンドグラスが印象的。
(写真)ベルリン大聖堂。とにかく立派。
そして、今日の観光のメインとして、旧ナショナルギャラリーに行きました。5つの博物館が集まる世界遺産の「博物館の島」の1つの美術館。ここはロマン主義、表現主義、象徴主義などドイツ絵画の作品を多く展示していて、目玉はアーノルト・ベックリンの「死の島」です。
(写真)旧ナショナルギャラリーのエントランス
(写真)Caspar David Friedrich/Der Watzmann
※購入した絵葉書より
まずはハンブルクの市立美術館で魅了されたカスパー・ダーヴィット・フリードリヒの絵。単なる山の風景画のようにも見えますが、実物を観ると、雄大でロマンティシズムを感じさせる実に素晴らしい絵です。
(写真)Caspar David Friedrich/Eichbaum im Schnee
冬に雪が積もる木の絵ですが、この絵の木から伝わってくる生命力やエネルギーは、一体どういうことなんでしょうか?カスパー・ダーヴィット・フリードリヒの絵は一枚一枚、こんな感じでオーラがもう半端ないです。
(写真)Claude Monet/St. Germain l’Auxerrois in Paris
これはさすがはモネ!という素晴らしい色彩や輪郭の絵です。そもそもモネは建物や植物、風景の絵が多く、人々が沢山出てくる絵はそこまでは観ないような気もします。
(写真)Gustave Courbet/Der Felsen von Etretat
クールベは以前にパリでかなりいろいろなジャンルの絵を集めた企画展を観たことがあり、単なる風景画の画家ではないことを知っています。この絵も実物を観ると、ただならぬ象徴的な印象を持つ不思議な風景画です。
(写真)Arnold Böcklin/Die Toteninsel(Dritte Version, 1883)
そして、この美術館に来た大きな目的のアーノルト・ベックリン/死の島です。死の島は全部で5作品あり、この絵は第3形態です。岩肌の柔らかい色、草やコケが繊細、幽玄な糸杉が印象的。暗と明の雲、波がなくも波打っているような海、島の景色の海への映り具合も絶妙。小舟に棺桶、祈る白い衣裳の女性。非常に神秘的な絵で魅了されまくりました!もう20分くらいずっと観ていました。
(写真)Arnold Böcklin/Selbstbildnis mit Fiedelndem Tod
もう1枚、ベックリンから自画像。自画像なのに、ヴァイオリンを弾く死神と一緒の自画像!いかにもベックリンらしい象徴的な絵ですね。死神のささやきを聞くかのように、ベックリンが耳を寄せているように見えます。ベックリンはこれにより、独特の世界観の絵のインスピレーションを得ていたのでしょうか?
この他、絵葉書はありませんでしたが、以下の絵がとても印象に残りました。カスパー・ダーヴィット・フリードリヒとアーノルト・ベックリンが多いのは完全に私の好みです。
◯Caspar David Friedrich/Cabin covered in Snow
◯Caspar David Friedrich/Abbey among Oak Trees
◯Caspar David Friedrich/Moonrise over the Sea
◯Caspar David Friedrich/Deep in the Forest by Moonright
◯Arnold Böcklin/Weeping at the Cross
◯Arnold Böcklin/Honeymoon
◯Arnold Böcklin/Sirens
◯Arnold Böcklin/Ruggiero and Angelica
◯Giovanni Segantini/Returning Home
◯Georg Kolbe/The Golden Isle
◯Edouard Manet/In the Conservatory
◯Franz von Lenbach/Temple of Vesta in Rome
◯Franz von Lenbach/Richard Wagner
◯Josef Danhanser/Liszt at the Piano
◯Friedrich Wilhelm Herbig/The Artist’s Family
◯Lovis Corinth/The Blinded Samson
◯Curt Hermann/Belvedere Palace near Weimar
目的のベックリン/死の島も観れて、カスパー・ダーヴィット・フリードリヒの素晴らしい絵にもまた逢えて、大いに満足して、最後の展示の部屋に入りました。そしたら、冒頭の絵を見つけて、「ああっ!これがここにあるんだ!」と突然の出逢いに大いなる感動を覚えました!冒頭の絵、ピンと来られる方はいらっしゃいますか?
実は、この絵は、昨年11月にユベール・スダーン/東響で聴いた、レーガー/ベックリンによる4つの音詩の第1曲「ヴァイオリンを弾く隠者」の元になった絵なんです!レーガーがこの絵の印象を音楽にしたのものが第1曲です。昨年11月のコンサートの前にネットで絵を観ながら、曲の予習をしたのですが、まさかここで出逢えるとは!
隠者が背中をかがめながら、キリスト、十字架の前で真摯にヴァイオリンを弾いています。複数の天使がそれを見守っていますが、上の天使は笑みを浮かべて隠者を祝福しているかのよう。右で覗いている天使はつま先立ちで必死に覗いていて、まるで隠者からヴァイオリンを通じて教えを得ているかのようです。昨年11月に聴いた時の、ソ~ド~ラ~、レ~シ~ソ~、ド~ラファ~レ~シド~♪の旋律があざやかに浮かび、大いなる感動を覚えました。
(参考)2017.11.14 ユベール・スダーン/東響のレーガー/ベックリンによる4つの音詩
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12328444221.html
(参考)レーガー/ベックリンによる4つの音詩から第1曲「ヴァイオリンを弾く隠者」
https://www.youtube.com/watch?v=8nb9kO5cDXU (7分)
※オーケストラの動画で正規のものがなかったので、オルガン&ヴィオラのものをご紹介します。サンクト・ペテルブルクのオルガニストMikhail Mishchenkoさんの公式動画より。この曲の場合、もちろんオケの方がいいと思いますが、このオルガン&ヴィオラ編曲もとても雰囲気が出ています。ぜひ、冒頭のArnold Böcklin/Der Einsiedlerの絵をご覧になりながら聴かれてみてください。
次に、あまり時間がありませんでしたが、博物館の島でもう1つ、ボーデ博物館に行きました。こちらはどちらかと言うと、彫刻を中心に扱っている博物館ですが絵もあります。
(写真)ボーデ博物館
ここで気になったのは、ベルギーのゲントの聖バーフ大聖堂の秘宝、「神秘の子羊」を描いた「ゲント祭壇画」の模写の立派な絵でした。模写ではありますが、以前よりいつか観てみたいと思っていた絵に突然遭遇してめっちゃ感動的でした!前回の記事のパーヴォさんとN響のフォーレ/レクイエムのアニュス・デイでも、ベルリンで観たこの絵のことを思い浮かべながら聴きました。またラヴェンナの古いモザイク画の展示もあり、以前にラヴェンナで数々の素晴らしいモザイク画を観たことを思い出しました。
さて、以上でこの日のベルリン観光の記事は終わりです。え!?まだあれが出てきてない?ですか?おっと!長い記事でついつい忘れるところでした。ごめんなさい…。
ということで…、お待たせしました!(笑)
ベルリンと言えば…、やっぱりカリーヴルストですよね!今回はベルリンに着いてすぐの朝、観光が終わってからの午後、夜の観劇の後にと、計3回食べました(笑)。事前に美味しそうなお店の下調べもしましたが、かなり時間がタイトだったので、結果的に駅で2回食べざるを得なかったのですが、それなりに楽しめました。ただ、結論としては、駅の中のカリーヴルストよりも、駅の外でお店を選んで食べる方がいいかも知れません。
(写真)朝にアレキサンダー・プラッツ駅で食べたカリーヴルスト。ちょっと作り置き感がありますね…。でも味はそこそこいけます。
(写真)午後にベルリン中央駅で食べたカリーヴルスト。同じ駅カリーヴルストでも、新鮮な感じです。セットを頼みましたがコーラを飲んだのは10年ぶりくらいかも?コーラとカリーヴルスト、かなり美味しかったです。
(写真)夜の観劇が終わってから、ベルリン・ツォー駅近く(駅中ではない)で食べたカリーヴルスト。これが一番美味しかったです!マヨネーズも必須です。
ところで、この人は今日はどうしてベルリンに来たのでしょうか?それはこの日の夜にベルリンのオペラハウスでオペラを観ることが目的でした。日本ではこの作曲家のオペラはほとんど上演されたことがなく(少なくとも私がオペラを観てきた、ここ20年くらいは上演がないはず。もちろん新国立劇場では1回もありません。)、とある大きな理由から、これからも上演にかかる機会はほとんどないと思われます。
ただし、クラシックが好きな方なら、この作曲家の名前は必ず耳にされたことはあるはず。果たしてその作曲家は誰でしょうか?この次の記事で!