昨日27日(土)の夜にN響のホルスト/惑星を聴けたのはラッキーでしたが、当初、私が翌日の日曜の公演を考えていなかったのは、この日に大好きな森麻季さんのリサイタルがあったからでした。

 

 

森麻季 ソプラノリサイタル

(ギャラクシティ西新井文化ホール)

 

ソプラノ:森 麻季

ピアノ:山岸 茂人

 

グノー/歌劇「ファウスト」より“宝石の歌”

ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ(※)

バッハ=グノー/アヴェ・マリア

シューベルト/アヴェ・マリア

マスカーニ/アヴェ・マリア

ドナウディ:ああ愛する人の

グルック(ズガンバーティ編曲)/メロディ(※)

グノー/歌劇「ロミオとジュリエット」より“私は夢に生きたい”

 

アーン/クロリスに

アーン/至福のとき

ドビュッシュー/月の光(※)

デュパルク/旅への誘い、悲しき歌、フィディレ

シベリウス/ロマンス(※)

山田耕筰/からたちの花

プッチーニ/歌劇「ラ・ボエーム」より“私が街を歩くと”

 

(アンコール)

久石 譲/Stand Alone

プッチーニ/歌劇「ラ・ロンディネ」より“ドレッタの美しい夢”

ヘンデル/歌劇「リナルド」より“涙の流れるままに”

 

 (※)はピアノソロ

 

 

グノー/歌劇「ファウスト」より“宝石の歌”

前半は白地にほんのりピンクがかかる、素敵なドレスで登場です。相変わらず美しい!“宝石の歌”もクリスタル・ヴォイスで綺麗に歌います。宝石箱を開けたり、宝石をつけるしぐさもマルガレーテのときめきを見事に伝えます。

 

ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ

森麻季さんのリサイタルでは山岸茂人さんがピアノ伴奏を務めますが、ピアノ独奏が入ります。亡き王女のためのパヴァーヌは私もレパートリー。山岸さんは途中、やや強めの音で弾かれていました。この曲の場合、何となく極めて繊細に弾かなければいけないイメージを持っていましたが、そのうち楽譜を確認してみよう。

 

バッハ=グノー/アヴェ・マリア

シューベルト/アヴェ・マリア

マスカーニ/アヴェ・マリア

森麻季さんの透明感に溢れる声にピッタリの曲目です。バッハ=グノーのアヴェ・マリアでは歌う前に十字を切る姿が敬虔で美しい!金曜に聴いたロッシーニ/スターバト・マーテル、さらには土曜に亡くなったアラキル、ネッダ、シルヴィオ、狂乱してしまったアニタを優しく包み込むようでした。何か聖なるものがホールを満たし、全てが浄化されていくような錯覚を持ちました。マスカーニの音楽はカヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲。昨日は道化師のペアではなかったので、ここで聴けたのは嬉しかったです。

 

グノー/歌劇「ロミオとジュリエット」より“私は夢に生きたい”

このオペラは2003年の藤原歌劇団の公演のことをよく覚えています。ジュリエットを歌ったのはパスタを食べないイタリア人ことステファニア・ボンファデッリさん。庭の縁石のようなところに乗って、バランスを取りながら、可憐に無邪気に歌っていました。森麻季さん、同じグノーでも“宝石の歌”とは異なり、少女の表情に!鼻にかかるフランス語も美しい。素敵な歌でした!

 

 

 

アーン/クロリスに

アーン/至福のときに

デュパルク/旅への誘い、悲しき歌、フィディレ

後半は青緑の模様が綺麗なドレス、ほとんど水の精のようです。レイナルド・アーン(1875-1947)もアンリ・デュパルク(1848-1933)も聴くのは初めてです。温かみのある歌、期待感のある歌、悲しみの歌、いろいろな曲想の歌ですが、森麻季さんの手にかかると、いずれも透明感のある美しい歌となります。

 

ドビュッシュー/月の光

山岸さんのピアノ独奏。この曲は昨年10月にメナヘム・プレスラーさんのリサイタルのアンコールで弾かれて、もう絶品でした!山岸さんは比較的オーソドックスな演奏。曲の雰囲気がよく伝わってくる素敵な演奏でした。

 

(参考)2017.10.16 メナヘム・プレスラーさんのピアノ・リサイタル

 

シベリウス/ロマンス

シベリウスはロマンスを何曲か書いていますが、今日はop.24-9です。シベリウスのアイノへの思いが込められている曲、と言われていますが、ラブレター以外の何物でもないように思います。山岸さん、情熱的な演奏でした。

 

山田耕筰/からたちの花

森麻季さんの日本の童謡の十八番、「からたちの花」です。よくアンコールで歌われるので、過去に何度も聴いていますが、この日も素晴らしいの一言でした!声だけでなく、美しい発声、歌詞がとても聴きやすい。「◯◯◯たよ~」という歌詞が多いですが、語りかけているような、一人で噛みしめているような、どちらにも取れそうな印象的な歌。

 

プッチーニ/歌劇「ラ・ボエーム」より“私が街を歩くと”

この曲も森麻季さんの十八番。ピアノが始まると、胸を反って、両手を左腰に当てるポーズ。めちゃめちゃ決まります!前の日に砂川涼子さんのネッダもコケットで、新境地を表わしていてとても良かったですが、やはりこの分野では、森麻季さんの方が一日の長があるかも(笑)。演技もややオーバー目につけて、とても楽しいムゼッタのワルツ。森麻季さん、お願いなので、また最高のムゼッタでオペラにご出演いただけないでしょうか?

 

 

アンコール1曲目は久石 譲/Stand Alone。ご存じ、NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」のメインテーマの曲です。より一層凛とした歌。3番は転調して高くなりますが、「私は信じる~、新たな時がめぐる~」の歌詞に呼応して、信念と威厳を感じさせる声色の歌!森麻季さんと同じ日本人で良かった、心底そう思えた素晴らしい歌でした!

 

2曲目は「プッチーニを歌います。」とおっしゃったので、ラウレッタのアリアかな?と思いましたが、何と!ラ・ロンディネ(つばめ)の「ドレッタの美しい夢」!森麻季さんのマグダきた~!途中、歌い出しが超高音から入る非常に難しい歌ですが、ものの見事に完璧に歌います。この歌が聴けるとはとても貴重な機会でした。

 

鳴り止まない拍手ですが、そろそろ最後。森麻季さん、舞台左手から顔だけ覗き込んで様子を伺ったり、お茶目な一面も(笑)。そして最後の歌のアナウンス。「ヘンデルのリナルドから、涙の流れるままに、を歌います。」 究極の歌きた~!もう「ヘンデル」の「へ」で涙が出てきて、まるで百人一首のよう(笑)。昨年、森麻季さんのこの歌でヘンデルに目覚めた歌。今日もひたすら素晴らしかったです!

 

(参考)2017.9.9 森麻季さんのデビュー20周年記念コンサート

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12309305717.html

 

 

やっぱり森麻季さんのリサイタルはいいなとしみじみ思った素晴らしいリサイタルでした!この週末は、土曜は砂川涼子さんのネッダ、そして日曜は森麻季さんのリサイタルと、至福の週末でした。

 
 

 

(写真)森麻季さんのリサイタルのプログラム。シンプルですが、とにかく歌が素晴らしいので、これで十分です。

 

(追伸)西新井文化ホールはギャラクシティという複合施設の中に入っていて、入口を入ったら、クライミングの壁があって、お子さんたちが沢山来ていました。賑やかでいいですね。まるちたいけんドームではプラネタリウムもやっているようです。昨日N響でホルスト/惑星を聴いたので、久しぶりにプラネタリウムを見たくなりました。

 

(追伸)宇宙がネタが続きますが、いま月食が見れますね!