*3/14 福祉医療委員会
(私からは、「不妊治療」について取り上げ、質疑しました。

主な内容は以下のとおり。

〇日本産科婦人科学会の調査によると、2019年に国内で実施された体外受精や顕微授精などの生殖補助医療(ART)で生まれた子どもは60,598人で、過去最多であった。
厚生労働省の統計によると、19年の総出生数は865,239人であり、その7.0%、14.2人に1人が生殖補助医療(ART)で生まれた計算になる。

また、国立社会保障・人口問題研究所が5年ごとに行う「出生動向基本調査」の第15回調査(2015年)によると、不妊を心配したことがある夫婦は35.0%で、これは夫婦全体の約2.9組に1組の割合。

そして、実際に検査や治療を受けたことがある(または現在受けている)夫婦は18.2%で、これは夫婦全体の約5.5組に1組の割合。

不妊治療は、患者の年齢や疾病に応じて治療方法が異なり、不妊治療を受ける患者は、①正しい情報、②お金や時間、③仕事との両立、④体への負担、⑤メンタルの不調などの悩みを抱えている。
 
具体的には、
①どの情報を信じてよいのかわからない、必要な情報が見つからない。

②不妊治療の平均費用(治療周期あたり)は、人工授精の場合は、約3万円。
体外受精では、約50万円。金額は、治療を行うクリニックによって差があり、最大100万円かかる場合もある。

③治療と仕事の両立ができなくて退職をしたという女性は23%、4人に1人の割合。

④体外受精では採血をすることが多く、また注射が連日行われることが少なくない。
「採卵」(卵子を取り出す手術)での身体的負担が大きい。
 
⑤体外受精などの高度不妊治療を始めた女性の半数以上に、うつ症状が見られる。

これらの悩みは家族、友人など親しい人にも打ち明けづらい場合があり、加えて、妊娠・出産に効果的とする治療などの情報が氾濫していることも不妊に関する悩みを深くする要因の一つとなっている。

本県では、不妊に悩む夫婦に対し、不妊に関する医学的・専門的な相談や不妊による心の悩みなどについて、専門医師やカウンセラーなどの専門家による無料相談を、名大医学部附属病院に委託し、愛知県不妊・不育専門相談センターとして設け、実施している。

昨今の利用者を取り巻く現状に関して考えると、①基本的な情報はインターネットなどによって自ら得やすくなったことや、②治療件数の増加に伴う治療がうまくいかないケースの心のケアなどニーズの変化が挙げられる。

これについては、①生殖医療の高度化に呼応する相談は全般的に高度な専門性を求めるものが増加傾向にあり、また、②医療内容に限らない相談における特に夫婦間の性に関する相談などプライベート性が高く、相談数の割合が少なくない問題へのより良い対応が求められる。

次に、センターを取り巻く現状に関しては、①その役割が明確でなく認知度が低いことや、②対応時間が、電話ではカウンセラーによる週2回平日の昼間と月1回平日の夕方のみで、面接ではカウンセラーによる週4回平日の昼間と、医師による月1回平日の夕方のみと、利用勝手が悪いことが挙げられる。

これについては、①センターは名大病院内にあるが、相談対応は専らカウンセラーによるものであるが、様々な問題を含む困難な課題に苦悩する当事者に寄り添った適切な支援と、②柔軟な対応時間が求められる。

東京都では、妊娠支援ポータルサイト「東京都妊活課」を管理しており、妊娠・出産を希望する方とそのパートナーに向けて、妊娠・不妊・不育等に関する情報を一元化して分かりやすく発信しているが、東京都の例のように、自分の悩みに当てはまる情報に容易にアクセスできることができれば、無用な相談を省いて、悩みの解決を図ることができるはず。

※県に対して、妊娠・出産を希望する方の個別事情に合わせて、センターでの相談対応の改善を要望するとともに、その前段における妊娠・不妊・不育等に関する適切な情報提供の改善を要望しました。

〇不妊治療は検査から始まり、それぞれの原因に合わせて「タイミング法」「人工授精」「体外受精」などの治療を受けることになる。

治療内容によって健康保険が適用されるものとされないものがあり、適用されない「自由診療」は医療機関によって金額が異なってきた。

例えば、体外受精は妻の卵子と夫の精子を体外で受精させ、妻の子宮に戻して妊娠を図る技術だが、国の調査では1回あたりの費用が平均約50万円で、19年には、約600施設で過去最多の458,101件の治療が行われた。

このように、これまで自費診療中心で金額が医療機関ごとにばらばらだった体外受精などの不妊治療の一部が、4月から保険適用となる。
今後は国統一の料金が定められ、患者は治療費の3割負担で受診できるようになる。

不妊に関する治療に関しては、これまでも原因となる疾病が明確なものに対しては、その治療に関し健康保険が適用されてきた。
しかし、原因不明の不妊に対しては、保険給付はなく助成金としての対応に終わっていた。

なお、2021年1月からは「特定不妊治療(体外受精と顕微授精)費助成制度」が拡充され、法律婚だけでなく事実婚も助成の対象になり、かつてあった所得制限は撤廃されている。

「原因に対する治療」でない不妊治療の一部が保険適用となることで生じる一番大きい変化は、不妊治療に悩む人々の経済的負担が軽減されることだけでなく、「不妊治療が標準化される」ことと思われる。
公的健康保険から不妊治療に支出するということは、その治療法が有効なものだと公的に認めたことになる。

先に述べた通り、現在の不妊治療(「原因の治療」以外)は自由診療のため、適用する手法もかかる経費もばらばらで基準がなかったが、保険適用により標準化されることで、経費や期間についてある程度の見積もりが可能になる。

また、日本は妊娠のしやすさ(妊孕性)に関する知識(妊孕性知識尺度)が先進国の中で最低との調査もあるが、保険適用による標準化は、妊娠に関する知識普及や不妊治療への更なる理解を進めると期待される。

他方で、自由診療の下で患者に合わせた多様な治療や新しい技術を取り入れた治療が行われてきたのも事実である。

厚生労働省は3/4、保険対象の技術とセットにして治療費の一部に保険が適用される「先進医療」技術6項目を発表した。

なお、依然として不妊治療の一部が高額な自由診療のままとなると、患者はそれを避けて保険診療に向かうと思われ、新たな治療法の開発にはマイナスとなり得るという指摘もある。

このほか不妊治療の質や安全性をどう確保するか、全国的なアクセスをどう確保するかなどの問題が指摘されており、保険適用までに明らかにされる予定。

※県に対して、不妊治療の保険適用詳細については、保険適用開始に向けて明らかにされていくことから、厚生労働省の発表をこまめに正確に情報提供するよう要望するとともに、不妊治療については、費用の問題がクリアになったとしても、その他の精神的負担や身体的負担が問題になる場合があるため、当人の意思が尊重され、その上での助けになる取組とするよう要望しました。

さて、本日3/14をもって令和3年度の委員会審議はすべて終了しました。
所属する福祉医療委員会での審議に当たって、お世話になりました当局の皆さんに感謝いたします。

なお、今春をもって定年を迎えられる、福祉局長、感染症対策局長、感染症対策局技官、国民健康保険課長、こころの健康推進室長には、これまで本当にお疲れさまでした)

 

 

 


*3/15 政治資金収支報告書提出完了
(毎年のルーティンですが、令和3年分の政治資金収支報告書を愛知県選挙管理委員会に提出してきました。

公職の候補者(現職含む)は必ず、その政治活動に伴う費用を報告書に記載して提出する義務を負いますが、政治活動の実績がある(例:会報印刷、後援会会合・旅行など)にも関わらず、①収支報告書を提出していない、②毎年収支ともに0円として収支報告書を提出している、③政治団体の設立届すら提出していないという公職の候補者(現職含む)が依然存在する、由々しき事態が続いています。

金額の多寡に関わらず、政治資金規正法に則って適正に処理されていなければ、捜査2課による違反検挙の対象となります。(事実、国会議員など、時に逮捕・起訴され、マスコミを賑わせている。)

11/19の決算委員会において、私から政治資金にまつわる現状を質疑しており、その内容を再掲します。

〇「政治資金規正法」に関して、第1条において、議会制民主政治の下における、政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、①政治団体の届出、②政治団体に係る政治資金の収支の公開、③政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正、④その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的としている。

つまり、政治資金の収支を国民の前に”ガラス張り”の状態にし、政治資金の面を通して政治活動が国民の不断の監視と批判のもとに行われるようにすることを指す。

〇令和3年愛知県の所管する政治団体は2,109団体のうち、政治資金収支報告書の提出率は92.6%(うち、国会議員関係94.2%)であり、収支報告書が未提出の政治団体が少なからず存在する。

〇また、収入および支出の伴う活動実績がある政治団体であるにも関わらず、毎年収支ともに0円として収支報告書を提出している団体も存在する。

〇さらには、実態として組織立って政治活動をしているにも関わらず、毎年、収支報告書が公表されていない団体も存在する。(そもそもこうした団体は、政治団体の届出がなされていない。)
政治活動に伴う費用については、政治資金収支報告書に記載義務が生じるが、政治団体の設立届すら提出していない公職の候補者(現職)が依然存在する。

※公職の候補者(現職含む)はその政治活動の実績について、3/末日を期限に政治資金収支報告書に適正に記載し、提出しなければならず、有権者もその有無をしっかりと監視しなければなりません)

*3/18 ”まん延防止等重点措置”解除決定(既報)
(昨日3/17、国において、本県に対し、”まん延防止等重点措置”を予定通り3/21をもって解除することが決定され、本日3/18、愛知県新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開催し、3/22以降について、”厳重警戒”での感染防止対策を講じることとしました)

 



*3/19 おさき玉城恋の八橋 ”池鯉鮒の宿対面の段”
(この作品は、知立の山車文楽新作プロジェクトとして創作された知立と沖縄を結ぶ物語で、八橋山無量壽寺に現存する琉球楽器の”長線(ちゃんせん)”から着想を得て生まれたものです。

物語の中には、(在原寺を再興し住職となり、)無量壽寺を改築して杜若を植え庭園をしつらえた方巌売茶翁も登場し、過酷な”江戸立ち”(琉球使節)の道中に倒れた琉球国良家の跡取りである玉城楽童子と、休息のために運び込まれた無量壽寺にて楽童子を献身的に看病する町医者の娘おさきとの出会いと別れを描いています。

奇しくも先週の県議会本会議にて、私が「街道」の文化的意義を取り上げて質疑した際、念頭に思い描いた情景がこの物語にも通じており、興味深く拝見しました。

来年3月には、”琉球国使節の段”が上演されるそうであり、今から楽しみです。

関わる義太夫会、山車文楽保存会の皆さんのご努力に敬意と感謝を表します)

 

 

 

 

 



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