12月16日付中日新聞(12月7日付東京新聞)から引用。


野田佳彦首相は消費税アップに向け「不退転の決意で臨む」と宣言したが、国会議員の破格の待遇は温存されたままだ。民間企業の5倍超もの給与・ボーナスに加えて、住宅や交通手段、秘書給与などお手盛りがいっぱい。「民主主義のコストとして必要」との意見もあるが、国民に痛みを強いる大増税案を議論しながら、国会議員は襟を正しているといえるだろうか。(鈴木泰彦、上田千秋)

「国会議員の歳費は『国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律』によって定められています」
参議院のホームページの「よくある質問」では、こんな説明とともに給与(歳費)とボーナス(期末手当)を合わせた議員一人当たりの年収を紹介する。昨年12月時点で、議長は約3530万円、副議長は約2580万円、議員は約2110万円。内訳は、月給129万4千円、ボーナス553万円。国税庁によると、民間企業に勤める人の昨年の平均月給は29万5000円、ボーナスは58万円で、平均年収は412万円。国会議員の厚遇はこれだけではない。
まず、同法第9条の規定による「文書通信交通滞在費」として、議員一人当たり月額100万円、年間1200万円が支給される。名目は「公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため」。領収書がいらない上に非課税扱いなのだ。

さらに会派に所属していれば、「国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律」の名目で月額65万円、年間780万円の立法事務費が上積みされる。

議員自身が受け取るだけではない。公設秘書3人分の給与も公費で賄われる。参院の場合、昨年実績で議員一人当たりの秘書給与は年間2400万円だったという。

交通費も優待ぶりは明らか。地元との往復用として、グリーン車にも乗れるJR各社の無料パス(税金から支出が年間億単位)が配布される。私鉄やJR以外のバス、モノレールなどは対象外だが、「各社の好意で無料パス(当時の議長が私鉄も無料パス支給するようにと言った為)をいただいている」参院事務局。また、地元が東京から遠い議員には航空券相当分が月に3往復分、JRパスを使わない議員には4往復分が交付される。「計算の基準は普通席」(衆院事務局)だが、文書通信交通滞在費が支給されながら、なぜ無料パスや航空券まで必要なのか。

衆院(定数480)は赤坂と、青山に仮の議員宿舎を持つ。07年に国会の徒歩圏内に衆院赤坂宿舎が新築された際には300戸、3LDKの間取りで広さ82平方メートル、家賃はわずか月9万2000円という厚遇ぶりが批判された。参院(定数242)の宿舎は麹町と清水谷にあり、1K(32平方メートル)~3DK(79平方メートル)で家賃は月2万~7万円ほど。

議員が執務や会合に使う議員会館も約1700億円かけて昨年新築され、国会開会中は宿舎から議員会館へ向かう無料のバスが衆院は朝2便、参院は朝3便運行される。

公用車は参院が97台を保有。維持費だけで一昨年は年間2000万円かかり、一部民間委託されている運転手の人件費も支出される。一方、衆院の公用車は133台。いずれも征服議長、各委員会の委員長に専用車を与え、残りは会派の人数に応じて割り当てられる。空いていれば自由に使うことが可能だ。

これらを合わせると、例えば遠隔地で1Kの議員宿舎を利用し、公設秘書を3人抱え、月に4回地元へ帰る会派所属の国会議員一人に対し、年間6000万円以上が税金から支払われる計算になる。