桜のような僕の恋人 宇山啓介

アメリカ人の知人が日本の小説を貸してくれました。

「キミスイと似てますよ。泣きました」というそれは宇山啓介さん作の「桜のような僕の恋人」です。

ちなみにキミスイとは住野よるさんの著書「君の膵臓を食べたい」です。

物語は東京の小田急線沿線がメイン舞台で、下北沢の美容室から始まるため、実際に住んでいた

私にとっては懐かしいかぎり。

私が大学入学のために上京した40年前の下北沢駅は、井の頭線で渋谷まで90円でした。

当時はまだ自動改札はなく、改札口に駅員さんが立ち、紙の切符を金属のアレで一人一人にパッチンパッチンしていたのでした。

小説はもちろん現代ですけどね。

話の内容はボーイミーツガールです。

カメラマン修行中の、ちょっと情けない主人公の思考と言動に、最初は面白すぎて声を立てて笑ったりもしましたが、物語が進むにつれて美容師の恋人の病状が悪化していき、何度も泣いてしまいました。

確実に泣ける恋愛小説です。

土地勘のある人ならばよりリアルな光景が浮かんでくるような文体で、そうでなくとも登場人物に勝手に俳優を当てこんで読んでしまいます。

彼女のお兄さん、居酒屋の店主は伊藤英明さんをイメージしているのですが、いかがでしょう?

Netflixで映像化もされているらしいです。

個人的な思いですが、

一度は諦めかけていた夢に向かって再び奮い立たせてくれた言葉、それをくれた人は絶対に自分の味方で、ソウルメイトで、もしかしたら自分はその人のことを好きなのかもしれなくて、そういう対象じゃなかったとしても、おそらく一生忘れないと思います。

だから私もあの人のことは一生忘れないと思います。

どこかで見ていてくれている、そう信じて、いつか褒めてくれるかもしれないと思って一生続けたら、それは小説のように、すごくロマンチックなことかもしれません。

 

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