154.マッサージチェアーの巻 | フランス絵巻き

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南仏コートダジュール・画家よんじょう

フランスでも、マッサージチェアーを見かけるようになった。肩こり歴の長い日本国と違って、マダマダ原始的なものが主流ですが、”椅子に着脱式”マッサージ器というのがある。一見すると軽薄なシロモノだが、スペース不要なところがグー。どんな椅子にも着脱可。通常のマッサージチェアーは、チェアーだけで部屋が占領されてしまうモンネ。
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大型スーパーでもコレを入荷していて、超破格値で販売中。客の目を引く入り口付近に、商品が積んであって、お試し用の1台も設置してある。私は遠慮なくソレに座ってマッサージしていたが、その間も、商品に関心をしめす客はとても多かった。そんな中、夫婦連れのマダムが、私がマッサージしているのを真正面から眺めていた。しばらくの間、見つめられたので、「あ、交替しましょか?気持ちイイデスヨ。値段も安いしねぇ」と、例によって販売員並みの言葉をかけたところ、その途端、マダムは「ひえっ!」と、(1歩)後ずさりした。棒立ちになったマダム曰く、「アナタのこと、プペ(=人形)だと思ってたのっっ!!ああビックリっ!!」と。マダムの目は点になっていた。要するに、私を”商品デモ用の蝋人形”と思い込んでいたらしい。
こっちこそ目が点やわ。「私、生きてますよ」と言うと、マダム続けて曰く「ほら、首がこんなふうに動く人形があるでしょう(←ご自分の首を左右にゆっくり動かしながら解説)、本気であれだと思ってたのよ。(人形が)喋ったからホントに驚いたわ!」と。マダ興奮さめやらぬ状態のマダムが可笑しくて、人形はチェアーに座ったまま爆笑していた。
これまで何度か、人違いされたことはあるが、人間以外の物に間違えられたのは、たぶん、生まれて初めてだ。
フランス絵巻き その日、着ていた服も、考えてみたら、デモ用マネキンが着てそーなブラウスだったせいかもしれん。幼稚園児が図工の工作で着せられるようなスタイル、色は薄ピンク。
マア、こんな歳になって、人形に間違っていただけるのは光栄なことかもしらんが、一口に人形といっても、いろんなんがおるからねぇぇ。
フランス絵巻き の日
以来、道を歩いている時にも、「人形に見える顔って、どんな顔やろう?」という視点で、往来の人々を観察するようになった。