竹元さんも、悠太郎を通して西門家を見てきた一人よね。
息子の心配をしていた父親…も知ってるし。
西門家のこと、実はめっちゃ好きなんでしょうね。
あのカレーにも出会ったわけやし

虎視眈々と何かを狙ってるのでしょうか…

☆☆
「ほな、行ってきます」
竹元さんに言われて…の流れもあるけど、
悠太郎さんがお父さんにできること…、
それは自分が今やってる仕事を見せること。
ふくちゃん誕生時、お父さんを迎えに行った時に言うた
もう一つのこと。
「隣で見とけ、思う!」
父が全うしなかったことを、代わりに自分がやっていくから…と、
それをそばで見てほしいっていう…
たぶんもう先は長くない父に自分の仕事を見てもらう。
「期待してるでぇ」
父は息子の手を借り、息子は父の手を取り導く。
「天井が高うて、丸ぅなってんにゃ。
そこにエスカレーターってなもんがつくらしいで」
「ええな~、おじいちゃんだけ~」
息子に特別に見せてもろた現場、
孫達に嬉しそうに話す正蔵さんです。
もう、大興奮。
「あんなもん見せてもうたら、地下鉄乗るまではもう
死んでも死に切れん気分になるぅ~。元気が出るねや~」
もっと…、もう少し長く元気でいてほしいから、
息子の嫁は体にいいスープを作る。
正蔵さんにとっては、幸せで…幸せ過ぎるほどの時間。
「よう食べとったなぁ」
「連れて行って正解でしたね」
少し親孝行ができたかな…な悠太郎さん。
翌朝。
「かあちゃん、、、おじいちゃん、まだ寝てる」
慌てて2階へ。
お静さんはちゃんと着替えて正蔵さんの枕元で座ってる。
「お父さん」
家族みんな、正蔵さんの許に。
「今日、、朝御飯、なんやったん?」
「白和えとお漬もんと、あと酒昆布のおつい(汁)です」
「せやねんて」
そう、正蔵さんに話しかけるお静さん。
昨夜寝る前に、
「今日、美味しかったな~。明日、なんやろうな~」
そう言って笑いながら床についていた。
「朝、起きたら おらへんようになってはった」
のりこちゃん、ええ祝言見せてくれて、おおきに。
かっちゃん、干し柿、おおきに。
たいちゃん、百点、おおきに。
ふく、御膳、おおきに。
悠太郎さん、どえらいもん見せてくれて、おおきに。
め以子はん、毎日毎日ご飯、ほんまに、おおきに。
みんなのおかげで、お腹いっぱいで逝きはった。
ごちそうさんやて、いきはった。
大往生や。
これ以上ない、大往生やった。
「おおきになぁ…」
最初の奥さんは火事で亡くしたけど、その後色々あったけど
後妻のお静さんと仲良う暮らせて、
息子と末娘がそばにいてくれて、嫁や孫まで一緒やった。
この上ない幸せな気持ちで、静かに旅立っていかはった。
葬儀のあと、縁側にて。
お父さんが作ってくれてた干し柿を食べながら…
「ありがとうございます。親父のこと」
「最高の送り方、してもろた気がします。」
「私やなくて…」
「最高ですよ。明日のご飯、考えながら逝ったやなんて」
「僕の時も、そうしてくださいね」
「いやですね…。私より、長生きしてくださいよ」
「自信ないですね。あなた、長生きしそうですから」
そう言いながら二人で微笑む。
同じ時間を過ごしていると、笑い方も似てくる…
そうやってこの先も過ごしていけるといいね。
そんな二人を…、家族を、
ずっと見守っててくださいね、正蔵さん。
**fran**