今日は私の、「フランス語革命記念日」 | 沖縄で語学と日仏バイリンガル教育と

沖縄で語学と日仏バイリンガル教育と

フランスで6年、東京で4年過ごしたのち、2020年8月に私の故郷(夫と出会った場所)沖縄に来ました。
2011年生まれの息子、2013年生まれの娘がいます。
2020年8月より、沖縄在住。
公立小+おうちフランス語で日仏バイリンガル育成中。

天気が気持ちよく晴れた日曜の今日、

私は朝から娘を連れて、近くのマルシェに

出かけていきました。




日曜の朝はだいたい決まって、息子は

パパと公園に行きます。その間私は、

娘とゆっくりマルシェで買い物をします。




青く広がる空を気持ちよく見上げながら、

まだ人通りの少ない通りを鼻歌交じりに

歩いていました。




すると、通りの100メートルくらい先に、

白い杖を持ったマダムがいるのを見つけました。




白い杖で、歩道と車道の境目を、軽くたたくように

確認している様子です。




そうしながら同じような場所を行ったりきたり

しているので、目が不自由な方なのだと思いました。





大丈夫かな…。



道に迷っているのかな…。





気になりつつも、私の心は葛藤していました。




実は、だいぶ前にも一度、同じマダムだと

思しき方を見かけたことがあります。




しかし、情けないことに、

その時の私は、

白い杖を持って立ち止まっているマダムの横を、

無言で、通り過ぎました




ひどい罪悪感にかられながら…。

今、ここに書いていても、とても恥ずかしいです。




困っているみたい…。




何か必要なら、手伝ってあげたい…。




そう思ったのに、私は、何も言えませんでした。




その理由を一言で表すなら、




へたなフランス語で人に話しかけるのは、

恥ずかしい。



なんとも情けない、独りよがりな私。




目の前の人の力になりたい気持ちよりも、

自分が恥をかきたくないというところに、

焦点が定まっていたのです。





今朝も一瞬、迷いました。



いつか見かけた、あのマダムだ…。



声を掛けてあげようか…。



でも、なんて言えばいいの?




迷っている間にも、角から曲がってきた時、

遠くに見えたマダムは、だんだん近づいてきます。




どうするの?また、素通りするの?




私の心は、葛藤していました。




いよいよマダムの横に差し掛かった時、

私は、

自分の中の恐れをギュッと押し殺し、

声を掛けました。




「マダム、大丈夫ですか?」




するとマダムはとても綺麗な笑顔を浮かべ、



「ありがとうございます。でも、大丈夫です。

私は耳がよく聞こえますから。


音で、遠くの車の音でも、判断できるんです。


トラックが来る音が聞こえたので、通り過ぎるのを

待っているんです。」



とこたえました。




「そうだったんですね。分かりました。

では、よい一日を!」



と安心して去ろうとすると、




「この辺に住む方ですか?

とてもチャーミングなアクセントを持っていますね。」




と言ってくださいました。



思わず笑みがこぼれました。




Vous avez un très joli accent! :)



今朝マダムがくれたこの言葉、私は、

一生忘れないでしょう。




ヘタなフランス語を不安に思いながら、

勇気を振り絞って声を掛けた私に、

この言葉は、どんなに優しく温かく、

心の奥深くまで、響いたことでしょう。




言葉の流暢さを気にするよりも、

もっと、大切なことがある。




「アクセント」はコンプレックスではなく、

魅力である。




マダムの言葉から、

きわめてシンプルな、でもすごく重要な、

これからもフランス語と格闘し続ける私にとって、

一生傍らに置きたい、

キラキラ光る、大きな気づきを得ました。




そんな今日は、

私のフランス語における、

「革命記念日」となりました。




少しずつ、本当に少しずつですが、

今までの自分が出来なかったことに

挑戦し、そこから新しい世界を知ることが

できること。




そこに、素直な喜びを感じます。





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