冬の京都~大徳寺塔頭へ | 愛すべき日々

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 冬の京を歩く

 

1月19日~20日、妻と二人で京へ出かけた。目的は、塔頭(たっちゅう)寺院をじっくり味わうこと。塔頭寺院とは、禅宗寺院において、その本山となる寺院の周りに、祖師を慕い、そのお弟子さんたちが立てた塔や庵などの小さな寺のことを呼ぶ。寺の名前も院や庵が多い。

 今回訪問したのは大徳寺。臨済宗大徳寺派総本山である。その周りには20にも及ぶ塔頭がひしめき合っている。

 まずは、大徳寺総本山。今回史上初の公開となった法堂(はっとう)。なきの龍で有名。ドーム状の天井に描かれた龍。その下あたりで手をたたくと響く音が、龍がなくように聞こえるというもの。禅寺の天井には龍が描かれていることが多いが、これは狩野探幽の雲龍図≪江戸時代≫。そのあと、これも内部初公開仏殿へ。ご本尊釈迦如来坐像を拝む。奈良の大仏坐像は有名だが、まぼろしの京都大仏(何度も天災消失)の原型となったものである。なかなか見ごたえのあるものだった。

 

 さて、塔頭寺院だ。まずは、北へ行くと大仙院。中は写真撮影不可だったが、ここで説明をしっかり聞いた。禅宗寺院のたたずまいのルールや、庭園枯山水の意味。大変興味深い話を伺えた。大仙院の方丈建築(禅宗寺院建築で、本堂、客殿、住職居室を兼ねるもの)は室町時代のもので我が国最古の方丈建築となる。本山大徳寺は、応仁の乱により焼失しているのだが、ここはそのあとの建築なので戦火を免れたのだ。

 

 次に、瑞峯院。ここは何も説明がなかったが、領主が九州備前備後の大友宗麟。キリシタン大名で有名。向かって縦に4個、横に3個の石の流れが十字架に組まれて、万民の霊を弔っている。

 

 最後は、龍源院。ここも初公開。南派の法源地本院として大徳寺の中で最も古い寺院となる。こちらは作者不詳の方丈室中襖絵{竜の図}だ。力強い竜がいまにも動き出しそうな雰囲気。多くの塔頭はその姿を公開していない。寺の門は固く閉ざされていて、なかなか一般の人には入る機会がないのが現実です。寺を維持していくのには莫大なお金が必要なのだ。しかし、公開すると、重要な文化財が荒れてしまうもしくは損失してしまう。今日の古都の現実を考えると、その未来は決して明るいものではないのだろう。

 小さな寺は文化財を檀家で守っていくのも限界だし、これからどのようにしていくのか日本国民は岐路にたたされていると感じている。

 

 翌日、伏見稲荷大社参拝。京都定番のパワースポット。外国人の数の方が日本人よりはるかに多そうだ。近年は京都に来ると必ず訪れる。なんといっても商売の神様の代表格。やっぱりお金は大事だな~ということでお決まりなのだ。

 京都まで車で1時間余り。新名神高速道路のおかげで随分近くなったものだ。2日目の雨も傘を差さなくてもよい程度だった。総じて冬とはいえ厳しい冷え込みもなく、穏やかな京都盆地だった。よいバースデイトリップとなった。