先日光学マウスをPC-98x1用に改造する実験をして、改造できることを確認しました。
必要な回路をマウスの筐体内に収める基板が届いたので、今日は改造本番です。
○PC-98x1対応基板
ケーブルの接続方法にこだわらなければユニバーサル基板でも作れなくはないんですが、今回はマウスケーブルを廃棄予定のPC-98用バスマウスから流用するにあたってマウス内部基板に載っていたコネクタも流用してコネクタを横向きにはんだ付けする必要があり、ユニバーサル基板では難しいので専用基板を作りました。
なおシルク印刷を間違えてました。(後述)
○PC-98x1対応基板回路図
前回の実験の記事と同様、回路図にあるSC84510の記号はこの石を外した跡地のパターンを表しています。
マウスの筐体内に収めるには部品点数を必要最小限にする必要があるので、PC-98x1のマウスポートにつなぐオープンコレクタ(オープンドレイン)回路にはTBD62083というDMOSトランジスタアレイを使いました。
この石はゲート端子に入力抵抗およびプルダウン抵抗が内蔵されているので、ドレイン端子のプルアップ抵抗を追加するだけで済みます。
前回の実験の際に組んだ基板もほぼこの回路図のとおりになっていました。
違いはTBD62083のCOMMON端子がフロートになっていたことくらいです。
○部品実装後
部品を実装しました。
実はデザインをミスってプルアップ抵抗のランドをゲート側に作ってしまったので、パッチを当てています。
○マウス側基板の改造
SC84510の跡地に、改造基板を接続するためのソケットを実装しました。
○改造基板装着後
改造基板を載せました。
結構ギリギリですが筐体内に収めることができました。
蓋を閉じてPC-9821Xa12につなぎ、動作することを確認しています。
【'24/04/14追記】
コネクタをminiDIN9pにしたバージョンも作りました。記事はこちら。
【'24/04/14追記終わり】
◇◇◇
この改造はこちらの情報を参考にPS/2マウスにアレンジして実現しています。
改造の肝はHDNS-2000という光学センサ兼PS/2マウスコントローラの移動情報信号を乗っ取るというものです。
巷にある光学式USBマウスではどのくらいHDNS-2000が採用されているのか気になったので、手持ちの光学式USBマウスの中を見てみました。
○Justy UMN-06 SG
光学センサはHDNS-2000が使われています。
○Justy UMN-06 SGの基板裏側
USB接続用のICは基板のパターン面にありました。
表面実装タイプなので、信号を乗っ取るにはちょっと手間がかかりそうです。
このマウスはかなり古いものなので、今買える現行モデルはどうなのかな、と自宅近くのホームセンターで800円ほどで売っていたマウスを買って中を見てみました。
○ELECOM M-Y8UB
HDNS-2000ではないですね。ピン数が明らかに少ないです。
刻印はOM50Q。データシートを検索してみますが見つかりません。
基板のパターンを追ってみると、光学センサが直接USBバスに繋がっています。
この光学センサはUSBバス専用になっているようですね。
これは信号乗っ取りは難しそうです。
次に1300円くらいのマウスです。
〇オーム電機 PC-SMO2-S
またピン数が違う光学センサが載ってました。
刻印はXH38511ですが、シルク印刷によるとA2633という型番らしい。
A2633で検索したらデータシートも見つかりました。中国語だけど…。
英語ならなんとか読めるけど中国語はちんぷんかんぷんです。
が、まあ載っている図から直接PS/2ポートにつなぐ仕様でマウスの移動量を出力する機能がないことはわかりました。
PC-98x1用に改造できる光学マウスを今から入手するには当たり外れがありそうです。
【'24/03/12追記】
Bluetoothマウスを交換したので、古いほうの中身を確認しました。
〇ELECOM M-BY11BR
シルク印刷はPAW3212と読めます。
このキーワードで検索したらあっさりデータシートが見つかりました。
これによるとこの光学センサはSPI接続になっているようです。
考えてみればBluetoothマウスなんだから、デジタル信号を出力するセンサを使うのは当然ですね。
残念ですがPC-98には使えません。
デジタルデータからアナログの二相パルス信号に変換するなんてめんどくさすぎる…。
【'24/03/12追記終わり】