レトロハードをメンテ/機能拡張するにあたってPCは不可欠なわけですが、PCがあればいいというわけでもありません。

今では廃れたインターフェースが必要な場合がままあります。

具体的には

・レガシな(USB-シリアルではない)RS-232Cポート

・パラレルポート

・フロッピードライブ

などです。

 

私はいままではこれらのインターフェースを持つ古いマザーボードにWindwos10を入れて運用していたわけですが…。

ご存じの通りWindows11はこういった古いマザーボードが事実上サポート対象外となってしまいました。

現在使っているレトロハードメンテ用PCでは以下の動作要件を満たせません。

・第8世代以降のIntel Core i系CPU

・TPM 2.0

・UEFI搭載&セキュアブートモード有効

 

一応2025年10月まではWindows10もサポートされるようですが、レトロハードをメンテする際に使うツールにはWindows10では動かなかったり、小細工が必要だったりするものもあります。

 

FDDに関してはUSB接続の3モードFDDを数台確保してあるので、マザーに直接接続できるポートは必須ではありません。

 

また、一時は排除されたRS-232CやパラレルポートもIntel H470世代のマザーボードならボード上のピンヘッダを用意してくれているものがあります。

しかしIntel H470世代のマザーボードは店頭在庫が心もとなくなっているようです。

最新のIntel Z590系のマザーではRS-232Cポート用のピンヘッダは用意されているものもありますが、パラレルポート用のピンヘッダを用意しているものは皆無のようです。

 

ちょっと試してみたところ、WindowsXPはすでにオンラインアクティベーションを受け付けなくなっていましたが、Windows7はまだ受け付けていました。

 

以上、いろいろ調べ考えてみましたが、いい機会ですので今のうちにWindows11にも対応できるPC環境を構築して、Windows7を仮想マシンにインストールすることでRS-232Cやパラレルポートを有したレトロハードメンテ環境を維持できるようにすることにしました。

(唯一の心配はWindows11自体がRS-232Cやパラレルポートそのものをサポートしてくれないことなんですが、それは今考えてもしょうがありません。

ちなみにこの記事を書いた時点ですでにWindows11は手動ダウンロード可能な状態でしたが、私はメジャーバージョンが上がった直後のOSには手を出さない主義なので、試してません)


とはいえ。

いまでは普段使いしている(元々はサブ使い用だった)ノートPCを除けば、最後に組み立てたデスクトップPCはIntel Core iの第1世代です。

Intel H470系マザーがサポートしている第10世代とは9世代も隔たりがあります。

ここまで世代が違うと、パーツの流用はほとんどできず、ほぼ作り直しでした。

 

10年ぶりにPCを組み立てた私がハマったことを徒然に記録しておきます。

 

◇◇◇

 

パラレルポートのピンヘッダがあることが最優先だったので、マザーは必然的に決まりました。

GIGABYTEのH470M DS3Hです。

 

このマザーは第10世代Core i対応です。BIOSアップデートで第11世代にも対応できるようですが、現在のCPUだとi5系は最低でも6core/12threadが最低ライン。

i3でも4core/8threadが普通のようです。

 

もともと2core/4threadの第1世代Intel Core i5やモバイル向け第8世代Intel Core i3で全く不満を感じていなかった私には現在のCore i5はオーバースペックです。

今回は第10世代のCore i3を選ぶことにしました。

 

CPUの世代が違うので次に調べたのはメモリの規格。

第8世代CPU搭載ノートPCのメモリを増設したことがあったのでわかっていましたが、現在はDDR4になっていました。
なのでこれも新調。

 

で、このマザーはPCIe SSD対応のM.2コネクタを装備していたので、NVMeのSSDも新規調達。

 

いままでWindows10PCで光学ドライブを使うこともほとんどなかったので、今回は光学ドライブは非搭載に決定。必要になったら外付けのDVDマルチドライブをつなげます。

 

現在はUSB 3.0が当たり前なんですが、手持ちのケースのフロントパネルはUSB3.0に非対応。

なので、ケースも新調。

 

ゲーム用途ではないので、グラフィックカードもサウンドカードもなし。

CPU内蔵GAとマザーオンボードのHDオーディオを使います。

 

以上から、電源ユニットのみ流用することになりました。

 

(後にさんざん苦労する原因になることも知らず…)

 

◇◇◇

 

PCの組み立て自体は10年のブランクがあるとは言え慣れたもの。

鼻歌交じりで終わらせました。

 

しかし、いざWindows10のインストールしようとすると、ちっともうまくいきません。

 

・インストール中に「WHEA UNCORRECTABLE ERROR」のBSoDが発生する

・インストール中にBSoDすら表示されずに再起動する

 

という現象が発生し、なんどリトライしても全くインストールが完了しません。

 

「WHEA UNCORRECTABLE EEROR」が発生すると電源を入れなおすまでNVMe SSDがBIOSからも見えなくなるので、試しにNVMeのSSDを使うのをやめてSATA IIIのSSDを使ったら、「WHEA UNCORRECTABLE ERROR」は発生しなくなりました。

 

しかし問答無用で再起動する現象は改善されません。

これは電源ユニットの保護回路が動いていると思われます。

保護回路が動作する原因を考えてみましたが、新たに組み立てたPCは周辺機器が全く接続されておらず、CPUも10年前と比べればTDPが少なくなっています。

(TDPは放熱設計の指針であって、消費電力を示すものではないですが…)

 

これは電源の負荷が少なすぎて電源電圧が安定しなくなっているのかな、とマザーボードのマニュアルを見ると、そういった電源を安定させるためにダミー負荷を追加することができるようになっていました。

そこでさっそく有効にしてみたところ、OSのインストールは完了できました。

しかしその後、アイドル状態で放置していても、やはり再起動する現象は発生します。

 

なんでかな~、と電源ユニットを見ていたところ、一つ思い出しました。

 

今使っている電源ユニットは+5Vラインから電源を取っていたAMD Athlon対応の電源ユニットでした。

+5V/+3.3Vラインの出力電流は大きいんですが、Intel Core i系CPUが要求する+12Vの出力電流はあまり大きくありません。

(+5Vが最大30Aなのに対して、+12Vはシングルレーンの最大22Aでした)

 

試しに使った+12V系が4レーン(各レーン最大18A)の電源では起動することすらできませんでした。

+12V系の電流容量がかなりギリギリになっていたようです。

 

+12Vの出力が大きい今どきの電源ユニットを買ってきてダミー負荷もマザーのデフォルト設定に戻し、現在某FFベンチをランニング中ですが、今のところ安定しています。

やはり+12V系の出力が足りていなかったようです。

 

結局パーツ総とっかえになりました(苦笑

 

9つも世代を跨いでいたら、パーツの流用は難しいということなんでしょうかね。

 

◇◇◇

 

BSoDが発生していたNVMeのSSDも、サーマルスロットリングが効いていなかった可能性があるので、SSD用のヒートシンクを注文してあります。

届いたら、ヒートシンク追加で安定するか試してみます。

【10/10追記】

ヒートシンク追加したら安定しました。

しかもSATAIII SSDでは30分以上かかったWin10のインストールが10分足らずで終わります。

NVMe SSDの書き込み性能半端ないです。

 

◇◇◇

 

いままでどうしてもWindows10で安定動作せずWindows10に環境を移そうとしてネックになっていたのがATmel(現Microchip)製GALの論理合成を行うツール、WinCuplでした。

Windows10だとファイルを開こうとしたときあるいは開いてすぐにアプリが異常終了してしまいます。

しかしいままでに動かしてみた中には問題なく動作する環境もありました。

違いを見てみると、32bitの特定のバージョンのCOMCTL32.DLLがC:\Windows\WinSxSの下にないとダメなようです。

このバージョンのCOMCTL32.DLLは素のWindows10環境では存在していないので、追加インストールしたソフトのどれかと一緒にインストールされるようです。

 

幸い今回新調したPCでは安定して動作するようになりました。

WinCuplだけは仮想マシンに入れたWindows7で使うつもりだったのですが、その必要もなくなりました。

ただし、このPCにほかのPCからリモートデスクトップ接続するとWinCuplが異常終了するようになります。リモートデスクトップ接続を切った後もダメ。原因はわかりません。

【10/10追記終わり】

◇◇◇

 

結局パーツ総とっかえになったので、これまでWindows10で運用していたPC一式が丸ごと余剰になりました。

Pentium D世代のマザーとはいえ捨てるにはもったいないんだけど、なにか活用できることあるかな…。

 

【'22/2/21追記】

このマザーはEIDE/PATA/SATA接続のHDDの火入れ&動作確認環境として余生を送ることになりました。

【'22/2/21追記終わり】

 

【'22/1/6追記】

このPCではVirtualBoxの最新版でUSBデバイスをゲストOSにリダイレクトできません…ショボーン

VMwareではリダイレクトできるのでVirtualBox固有の現象のようです。

 

マザーボードのUSBホストコントローラはUSB3.1なんですが、VirtualBoxのUSBの設定はExtensionPackを入れても「USB3.0」表記になっています。

「USB3.1」に関する情報は一切見つかりません。

VMware Workstation 16では「USB3.1」が選べますが「USB3.0」は選択肢にありません。

 

もしかして、VirtualBoxはUSB3.1ホストコントローラに対応していないんでしょうか…?

【'22/1/6追記終わり】