先日PC-8801MHに載っていたFDDをPC-88VA2に繋いだら2Dのディスクから起動できなかったので、原因を調査しました。

他にも3.5インチ化実験をしたときにわかったことなどもあるので、まとめておきます。

 

◇◇◇

 

PC-88各機種とそれに搭載されているドライブ対応は私が直接確認した範囲では次のようになっていました。

 

PC-8801FH:FD-55BV(本体のメイン基板リビジョンが72405002/72405004)

PC-8801FH:FD-55BR(本体のメイン基板リビジョンが72405005)

PC-8801FA:FD-55BR

PC-8801MH:FD-55GFV-70(本体のメイン基板リビジョンが72405002)

PC-8801MA2:FD-55GFR 051【2/2追記】

PC-8801MC:FD-55GFR 053

PC-88VA  :FD-55GFV-70

PC-88VA2 :FD-55GFR-351

 

不思議なのはPC-8801MHとPC-88VAのFDDの型番が同じということです。

PC-8801Mx系は全て同じ仕様のはずですし、同様にPC-88VA系も全て同じ仕様のはずです。

ですので、試してませんがMHのドライブを88VA(初代)に繋いでもおそらくVA2のときと同様に2Dのメディアは使えないでしょう。

 

そこで、オシロで直接信号を見て比べてみました。

 

○コネクタ信号アサイン

 

FDD側のコネクタの各信号はこんなふうになっていました。

少し補足すると、

NORMAL/HIGH DENSITY信号:

 平たく言えば2D/2DD<->2HDの切り替え

 便宜上"NORMAL"と書いてますが、正しくはDOUBLE DENSITYと書くべきでしょうね

 PC-88/98仕様(8インチFD由来)の2HDにはSINGLE DENSITYのセクタも混じっているからややこしい…

2D/2DD SELECT:

 NORMAL DENSITYでの2D/2DD切り替え

 要するにステップレートの変更です

 2DモードのときはFDCからきたシリンダ移動量をドライブが倍にして動作するようです。

 C-DOSII Free版で2Dと2DDのデータディスクを作って確認しました。

 

MHとVAで異なっているのはINDEX信号でした。

 

○PC-8801MHのINDEX信号

 

MHではINDEXパルスが200msごとに出ています。

 

○PC-88VA2のINDEX信号

 

VA2ではINDEXパルスが約160msごとに出ていました。

(1秒間に6回の間隔でパルスが出ているので、正確には166msです。)

 

つまり、NORMAL DENSITYモードのときPC-8801Mx系では300rpm、PC-88VA系では360rpmでメディアが回転しているということになります。

本来NORMAL DENSITYモードの回転数は300rpmなので、PC88VA系は特殊な制御をしているわけですね。

たぶんPC-98x1と同じように360rpm&転送レート300kbit/sでアクセスしているのでしょう。

 

◇◇◇

 

さて、そうなるとMHとVAでは同じFD-55GFV-70なのに回転数が違うことになります。

MHとVAそれぞれのドライブで設定が違う箇所を探してみると、S8とシルク印刷されたジャンパの設定が違っていました。

MHでは"I"側、VAでは"II"側がショートしています。

 

試しにMHに繋がっていたドライブのS8を"II"側でショートさせてINDEX信号を見てみると、間隔が約160msに変わりました。

このジャンパがNORMAL DENSITYモード時の回転数の設定で間違いないようです。

 

MA2のFD-55GFR-051とVA2のFD-55GFR-351を見比べると制御基板が異なっていました。

VA2のFD-55GFR-351はFD-55GFV-70と同じように"I","II"というシルク印刷があるので、回転数の設定ができそうです(未確認)。

しかしMA2のFD-55GFR-051にはそのようなジャンパが見当たりませんでした。

 

◇◇◇

 

次はPC-88VAのドライブを3.5インチ化、とか考えていたんですが、NORMAL DENSITYモードが360rpmになっている3.5インチドライブなんてPC-9801用の古いものしか心当たりがありません。

手持ちの3.5インチFDDでは対応していないので、PC-88VAの3.5インチ化実験はできないですね。残念。

 

◇◇◇

 

ちなみに。

 

PC-8801FHには私が直接確認した限りではメインボードに3つのリビジョン違いがあります。

上述の本体とFDDの対応に記載したのがそれです。

 

○PC-8801FHメインボード

 

72405002は裏にジャンパワイヤーが張り巡らされています。

72405004は72405002と部品配置が同じですが、裏のジャンパワイヤーがなくなっています。

配線パターンが見直されたのでしょう。

72405005は部品配置があちこち変わっています。また、IC54の下に74LS75が追加されています。いったい何が変わったんでしょうね?

 

【'21/2/20修正】

コネクタ信号アサインの一覧を更新しました。

この一覧の画像にリンクを張っているサイトを見かけたのですが、TEAC社のFDドライブは枝番が異なると挙動が全く異なることがあります。

特にPC-88用の2HD対応ドライブは特殊な制御をしている可能性が高いのですが、修正前の一覧はFD-55GFRの枝番を載せてなかったので、一覧だけを見るとすべてのFD-55GFRがこのピンアサインになっていると誤解されかねません。

そのため直接確認した枝番を一覧の中に記載したものに更新しました。

くだんのサイトは直接このサイトにリンクを張っておらず、アーカイブサイトにリンクを張っていたので、更新した一覧が反映されるのがいつになるのかはわかりませんが…。

【'21/2/20修正終わり】

 

【'23/4/23修正】

FD-55B/Gのコネクタ信号アサインの情報が手に入ったので反映しました。

【'23/4/23修正終わり】