さて、本日二つ目です。

 

最近FS5500の電源を入れると、電源断→入を短時間に繰り返すという現象が起きるようになっていました。

 

電源スイッチにハンダクラックでも入ったかな~、と電源ユニットを分解してみますが、電源スイッチはAC100Vの入力から空中配線されていてハンダクラックの形跡もありません。

しかし、電源ユニットから出ている配線は妙に色数が多くなっています。

 

赤は+5V、黄色は+12V、青は-12V、黒はGNDとして、他にも灰色と茶色があります。

むぅ~?

それぞれの電圧を測ってみると、スイッチを入れている状態でも赤、黄、青、黒、灰色はほぼ0Vです。

しかし、茶色には0.6Vの電圧が出ていました。

メカニカルスイッチでAC100V側のON/OFFをしていたので単純な一次側ON/OFFタイプの電源と思っていたのですが、どうやらソフトスイッチも持っている可能性があります。

 

茶色の配線を追いかけていくと、たどり着いたのがROMカートリッジスロットについていたマイクロスイッチでした。

 

○ROMカートリッジスロットのマイクロスイッチ

 

左がフロントパネルのカートリッジスロット周辺部、右が筐体から外したマイクロスイッチの基板です。

導通状態を計ってみると、どちらも導通状態で数十Ωを示していました。

0.6Vの信号を扱うのにこの抵抗値は導通状態とはいえません。

 

パターンを追ってみるとどうもこのスイッチは、カートリッジが挿されていないときにはGNDに繋がり、カートリッジが挿されたときにはオープンになるようです。

それならばと本体を分解してメイン基板の裏側を見てみると、茶色のケーブルが繋がっているランドには「SW」というシルク印刷がありました。

素直に解釈すれば「SW」は「SWitch(スイッチ)」です。

これは明らかに電源のソフトスイッチですね。

 

そんなわけで、茶色のコードが繋がっているランドを常にGNDに落とすように配線したところ、安定して電源が入るようになりました。

 

そういえばはにはに氏のブログでもYAMAHA製のMSXでROMカートリッジスロットにこういうマイクロスイッチが付けられていて、トラブルの元になっていると書かれていました。【12/5修正 SANYO製ではなくYAMAHA製でした)

元々は回路保護のためだったんでしょうけど、メカニカルスイッチなんて劣化して当然なんだし、劣化して接触が悪くなると導通が安定しないし、それで電源のON/OFFが短時間に繰り返されるとむしろ回路には想定外の負荷がかかるわけで。

こんなのがつけられていても百害あって一利もありません。

なんでこんな回路つけたんでしょうねぇ…。

 

◇◇◇

 

さておき、前回の記事でFS5500のメモリ増設に触れました。

注文していた基板が届きましたので、早速試してみました。

 

○FS5500メモリ増設基板

 

これがFS5500のメモリを増設する基板です。

MSXで一般的なキーボード一体型タイプと違い、FS5500はキーボード分離型のデスクトップタイプです。

そのためか、元々ホビーユースではなくビジネスユースを想定していたのか、本体はPC-8801やX1を髣髴とさせる割と大きな筐体になっていて、拡張ボードを3枚まで装着できます。

 

拡張ボードもそれなりに大きなサイズになっていましたので、それを生かしてデザインしてみました。(それでも余ったので、ユニバーサル基板のような穴を開けてみたり)

 

前回の記事でメモリ増設したFS-A1ではシステムLSIに使われているMSX-SYSTEM II(S1985)にメモリマッパレジスタが用意されていましたが、FS5500ではシステムLSIにMSX-SYSTEM I(S3527)が使われています。

S3527にはメモリマッパレジスタは実装されていませんので、FS-A1のように簡単にはメモリ増設ができません。

 

幸い前述のとおりFS5500には拡張ボードを載せるスペースがありましたので、FS-A1よりも大きな基板面積を使うことができました。

ですので、メモリマッパレジスタも一緒に実装するようにしてあります。

 

FS-A1でメモリ基板製作の実績ができたとはいえ、MSXのメモリマッパシステムを作るのは初めてですので、まずは最小限の部品で組み上げました。メモリは1MB(64セグメント)になっています。

 

○FS5500メモリ増設基板(最低限の部品実装)

 

本体に挿して電源を入れたところです。赤く光っているのは電源ランプです。

MSXのロゴが表示され、無事MSX-DOSが起動しました。まずは一安心です。

自作のプログラムでメモリチェックしてみると。

 

○FS5500メモリ増設(仮実装)

 

無事64セグメントを認識して、メモリチェックも通過しました。

 

ここまで進めたところで14:00近くになってしまっていました。昼食もまだだったので、休憩がてら食材の買出しに行き、遅い昼食を摂りました。

 

◇◇◇

 

一休みして集中力も回復したところで、作業再開です。

 

○FS5500メモリ増設基板最終版組み上げ

 

残りの部品(下記)も全部実装しました。

・メモリ3MB分追加

・メモリ、ロジックICのパスコン追加

・電源安定用ケミコン追加

・ついでに電源供給確認用の赤色LED削除

 

○FS5500メモリ増設基板最終版装着

 

本体に装着したところです。

 

○最終メモリチェック

 

4MB(256セグメント)全て、メモリチェックも通過しました。完成です。


自作プログラムの表示にもあるとおり、拡張ボードにはスロット#01~#03が割り当てられています。

元々載っていた64KBのメモリはそのまま残っていますが、最も若いスロットにあるメモリがプライマリスロットに割り当てられるので、今回のメモリボードを載せている限りプライマリスロットに使われることはありません。

 

これでウチにあるMSXは全てメインメモリがマッパシステム対応になりました。チョキ爆  笑

使い道ないけどタラー

 

◇◇◇

 

そういえば、どこかで「メモリを増設しているとアレスタ2が動かない」という記述を見かけたことがあります。

早速試してみましたが、ちゃんと起動しました。

 

ですが、FS-A1WSXに16MBメモリカートリッジを挿してアレスタ2を起動すると暴走しました。

 

メモリ構成としては同じような環境になっているはずなのに何で動作が違うんでしょうね?

・増設メモリに割り当てられたスロットが#0-Xか#1-Xか

・標準搭載メモリがマッパーシステムに対応しているかどうか

くらいしか違いはないはずなんですが…。

 

以下備忘録

基板設計データはFS5500メモリ増設.LZH