PC-88VA2のメンテもいったん終わったので(ちょっとモヤモヤしてるけど…)、元々予定していた作業を行います。

先日入手したX68kXVI HDの電源のリペアです。

註:電源ユニットの一次側にはACプラグを抜いたあとも100Vを超える直流電圧がかかっています。ここに触って感電すると危険ですので、自分の行動に自分で責任を取れない人は安易に真似をしないでください。直流で感電すると、誇張なしで肌に穴が開きますよ(経験者は語る)

元々電源投入不可でオクに出品されていたものですが、X68kの電源不良といえばもちろん原因はアレです。
修理に必要な部品の一覧もいろんな方がインタネット上に公開されているので、既に揃えてあります。

○X68kXVI HDの電源ユニット
X68kXVI HDの電源ユニット

X68kXVIの電源ユニットは装置正面に向かって左側のタワーにあります。
早速取り外して中を開けてみると…

○X68kの電源内部
X68kXVIの電源内部

なにか垂れてます。基板上でこの辺りにある部品を見てみると、

○コンデンサの液漏れ
四級塩コンデンサの液漏れ

派手に吹いてます。これはいや~な予感が(苦笑

○X68kXVIの電源基板
X68kXVIの電源基板

案の定基板の裏にまで流れてます。

○X68kXVIの電源ユニットケース
X68kXVIの電源ケース

こんなところにも…。(二つ前の写真のコンデンサの上にあるケース部分の裏側です)
いや~、派手にお漏らししてます。

○お漏らししたコンデンサ
お漏らしコンデンサ1

お漏らししたコンデンサには「Long Life」の文字が…。
実際長寿命品として発売されたものでしたが、そのコンデンサがX68kシリーズの装置個体としての寿命を縮める要因になったとは皮肉な話です。(X68kシリーズの製品としての寿命はまた別の話ですが)

○お漏らししたコンデンサの底部
お漏らしコンデンサ2

お漏らししたコンデンサの底の部分です。封止ゴムが盛り上がっているのがわかります。電解液で封止ゴムもコンデンサの側面もべとべとでした。

○底面基板にも…
底面基板にも

別の作業 で外した底面基板にも電解液が流れ込んでました。電源ケーブルを伝って下まで落ちたんですね。

○基板の洗浄
X68k電源基板の洗浄

電解コンデンサやトランスなど洗浄できない部品を全て取り払って、基板洗浄を行いました。有償で修理対応されている方々のお仕事にはとても及びませんが、結構綺麗になったと思います。

さて、X68kの電源が壊れるのは液漏れそのものが直接の原因ではありません。
漏れた電解液が導電性を持つために回路が変なところでショートして設計どおりに動作できなくなり、一部の部品に過電流が流れるのが原因です。

○焼けた基板
焼けた電源基板

基板をよく見るとこの辺りが焼けています。
これはまだかなりましなほうで、ひどいものになると広い範囲に亘って基板が炭化している場合もあるそうです。
この焼け方をみるに、垂れてきた電解液によって、ツェナーダイオードの両端とR33/R34、トランジスタのベース/コレクタが短絡状態になったと思われます。これらの部品はその下にある電力トランジスタと繋がっていますが、この電力トランジスタは悲惨な最期を遂げていました。

○電力トランジスタ
X68kXVI電源ユニットの電力トランジスタ

破裂してます。爆死です。
ご冥福をお祈りいたします…。

さて、基板の洗浄も済んだので、コンデンサ全部と基板が焼けた辺りの部品を新品に交換して、一度外した部品も元通りにします。ヒューズも飛んでいたので新しいものに交換しました。

○電源基板修理後
X68k電源基板修理後

X68kの電源ユニットもスイッチング電源ですので、電源のON/OFFは電気回路で行います。ATX電源などでは電源単体で主電源を入れても二次側はOFFのままなのですが、X68kの場合は電源ユニット単体で主電源を入れると二次側もONになるようになっています。
電源ユニット単体でテストしやすいようにする工夫なんでしょうね。ありがたいことです。
いつぞやのCs2のとき には電源を入れられず、ぶっつけ本番のテストでヒヤヒヤしましたから…。

さて、各端子の電圧を測ってみると、電圧が安定していません…(^^;
これは他にも交換しないといけない部品があるかな?

まあ、ダメ元で本体につないでみると…。

○X68kXVI HD電源修理後
X68kXVI HD電源修理後

あら、無事立ち上がりました。部屋の奥のモニタにSX-Windowが立ち上がってます。
元々X68kには対応していないモニタなので表示がずれてますが(苦笑
前のオーナはHDDの中身を消してなかったようです。ま、電源死んでたんだから仕方ないですが…。

X68kの奥にはさっきまでリペアしていたPC-88VA2がいます。テスト用のモニタは1台しかないので、使い回しているんですね。自宅近くのリサイクルショップで1000円くらいで買ってきた24kHz対応のLCDモニタです。

ちょっと気持ち悪いけど、一応動いているのでとりあえず電源修理は完了とします。最後に、

○バックアップ電池のCR2032化
X68kXVIのバックアップ電池CR2032化

この子のバックアップ電池は完全に空になっていたので、交換するついでにCR2032化&ホルダ化しました。これで底面基板までばらさなくても電池交換できます。
主電源を入れっぱなしにしておけばバックアップ電池は使わないみたいなので、CR2032の容量でも充分でしょう。

このあとSRAMの初期化&BOOT MENUのインストール、SWITCH.xで初期設定をしておしまいです。

ふぃ~。今日はいっぱいお仕事しました。疲れた~。

【5/27追記】
念のためもう一度電圧チェックをしてみましたが、どの電圧もちゃんと安定してました。
最初のアレはなんだったんだろう…?
部品を交換したら一度は負荷をかけないと安定しない、とか?(^^;;;
【5/27追記終わり】

【6/10追記】
ちなみにこの子、2MBの純正増設メモリボードが載ってました。
当時の実売価格は憶えてませんが、定価で5万円以上していたものです。ちょっと得した気分です。
XVI HDに純正メモリ搭載なんて、前のオーナーさんはお金持ちだったんですねぇ。
こうなると、このメモリボードに載せる小亀メモリも欲しくなるけど、入手は難しいだろうなぁ…。
最初に起動したときSX-Windowがメモリ不足のメッセージを出してましたが、バックアップバッテリがなくなってメモリスイッチが初期値の2MBになっていたからだったんですね、納得。
【6/10追記終わり】

【10/3追記】
その後また起動しなくなったので二度目の修理をしました。記事はこちら
【10/3追記終わり】