9/14~19まで、中野ザ・ポケットで行われた舞台、「アヒルと鴨のコインロッカー」を観てきました。
DVDにはならないみたいなので、感想という名の覚え書きを…。
原作は伊坂幸太郎さんの小説で、私は小説を読んでから観劇しました。
結末を知らずに観劇した方が良いかとも思ったんだけど、続きが気になってしまって読了。
結局それが良かったのか分からないけど、結末を知っていても、ほさかさんの脚本と演出には、なるほどと唸らされたし、キャストさんの熱いお芝居にすごく惹き込まれました。
毎回涙を拭いながら席を立ち、切ないような…それでいて暖かいような気持ちになって劇場を後にしました。
久しぶりに、とても良いお芝居を見せて頂いた気がします。
では、細かい事を書くと本当にキリが無いので、ジェームスに関して覚えている所だけ(笑)。
場面は暗転から始まり、最初にボブ・ディランの「風に吹かれて」を歌う歌声が聴こえて来る。
初めて聴いた歌声だったのに、誰かはすぐに分かりました♪
すごく聴きたかったジェームスの歌声
今まで、「聴きたい」って言っても歌ってくれなかったし(笑)
嬉しくて…とても良い声で、聞き惚れました。
最初のこのシーン、既に私にとってはすごい衝撃でした。。
ライトが当たって、中央に車を運転している河崎(ジェームス)と、助手席に椎名(多田さん)。
ジェームスは免許持ってないし車は運転しないので、その仕草はレアだぞ!とちょっと嬉しくなったり…w
二日前に知り合った河崎と椎名の二人。
河崎が知り合いの外国人の為に広辞苑をプレゼントしたいと言い、その上、本屋を襲って広辞苑を奪うので椎名に手伝って欲しいと言いだす。
流れと言うか、勢いで連れ出されてしまった椎名は、何度も止めようと河崎を諭す。
助手席に隠していたモデルガンを取りだして、なんでこんなものまで用意してるの?って言う椎名に河崎が、
「手持無沙汰かなーと思って、いや、手持ちぶたさん?豚さんって事はないよなー」
豚さんてw
おい、可愛いやないかww
ジェームスの河崎は、小説読んで想像していたイメージ以上にフレンドリーで、掴みどころ無いけど優しさや頼もしさが感じられるオトコマエでした。
あと、何より、ダスティピンクのTシャツがとても似合ってて、カッコ良くて可愛かった
多田さん演じる椎名は、もっと普通の、どちらかと言うと周りに流されやすくて、どこにでもいる凡庸な青年のイメージだったけど、多田さんの喋りが滑らかでテンポ良くて、その上独り言という名の状況説明がコミカルで、間の取り方が上手ですごく面白かった!
イメージって人それぞれだなって思うけど、ほさかさんの手にかかると、こんなに面白く分かりやすくなるですね…。
当たり前なんだけど演出家ってすごいなぁーって思いました。
変わって二日前、椎名が河崎と出逢った場面へ。
河崎の部屋に誘われる椎名。
河崎が壁際にあるCDを取ろうと、椎名越しに手を伸ばすと、ちょっと壁ドンのようにな姿勢になり、椎名が迫られてると勘違いして「僕、そういうんじゃないんで!」って慌てる。
椎名が椅子に座ってる所に覆いかぶさられて、河崎が椅子の後ろのラジカセを取ろうとしたら、押し倒されたと勘違いして「痛くしないで」って言う。
この、ちょいBL的要素出すのは何なんですかねww
でも、残念ながらこの二人では萌えないんだな…。←
強盗なんて止めようと何度も諭す椎名。
そんな椎名に、裏口を見張っててもらうだけだから大したことじゃないという河崎。
椎名「店員が裏口から逃げた方が盗み放題じゃないか!」
河崎「ダメだ、逃がしたくない。裏口から悲劇は起きるんだ…」
河崎の一瞬の切なげな表情で、この物語の結末を知ってる人は、その悲劇の意味を思い出すはず…。
表情で語るってこういう事なんだねと思った瞬間でした。
最近、こういうふとした瞬間に、ジェームスのお芝居の深さを感じる時があります。
本屋で参考書を探していた椎名が、もしかしたら同じものを持っているかもと思い、
隣室の河崎に連絡し、本のタイトルを読み上げてもらう所。
電話越しに河崎が言うには、読みあげようにも、棚に本が一冊も無いと言う。
河崎「無いぞ」
椎名「そんな訳ない!ちゃんと棚に置いていたんだから無くなる訳が・・・・・無い!!カギは!?かかってたよね!どういう事!?」
河崎「もしかして!これは…」
椎名「もしかして??」
河崎「魔法?」
椎名「そんな地味な魔法があるかー!!あ!もしかしてこれは!」
河崎「これは?」
椎名「昨日の本屋が仕返しに盗んで行ったんだよ!!」
河崎「あるかもな!」
椎名「ある訳ないだろー!!」
河崎「自分で言ったんじゃないか」
そんな会話をテンポ良く繰り広げる二人が可愛くて面白かったですw
他のシーンでも思ったけど、どっちかというと、河崎がボケで椎名がツッコミかな。
その後、ジェームスが河崎ではなく、ブータン人のドルジだという事が判明するんだけど、2年前のドルジに一瞬で変わる所がとても自然で、全く違和感が無かったのが凄かった。
「俺の名前はキンレィ・ドルジ。ブータンから来たんだ」
そう言って椎名に笑いかける顔は、河崎の時とは違って、人懐っこい、とても可愛らしい満面の笑顔。
後にドルジの恋人である琴美が、「ドルジは笑顔が一番似合ってるよ」と言ってたけど、私もその笑顔がとても好きでした。
以前ジェームスが「笑顔は苦手」って言ってたんだけど、話してる時の笑顔は本当に屈託が無くて可愛くて、見てるとこっちまですごく楽しくなってた。。。
ドルジの笑顔は、そんなジェームスと一緒で周りの人を明るく、楽しい気持ちにさせてくれるような笑顔でした。
その後、本物の河崎(細貝圭ちゃん)が現れて、ドルジが「カワサキサン!」とカタコトの日本語で駆け寄っていく、その姿がまた可愛くて♡
河崎とドルジの仲の良さは、見てて本当に微笑ましかったです。
ドルジが河崎を慕っている姿はまるで子犬のようで、日本語を教えてやるって言う時に、圭ちゃんより少しだけ背が低いジェームスの肩に手を置いて、覗きこむように話す仕草が、ホント萌えっとした
←
カタコトの日本語で喋るのとか難しそうなのに、2年前の、まだ日本語が不自由なドルジの芝居も本当に凄くて…。
恋人の琴美がペット殺しの犯人グループに襲われそうになった時、必死で助けようとする所や、その後、逆に犯人達を心配するドルジの熱演は、時々ジェームスである事を忘れてしまうような感覚に陥りました。
これが芝居に惹き込まれるって事か…と、ジェームスでそれを見られるのか!!と思ったら何だか嬉しくて、感動とか感謝とか言葉で言い表せないものが溢れて来ました。
今回のジェームスの役は、河崎を演じるドルジ、琴美に対しての二年前のドルジ、河崎に対する過去と現在のドルジというとても複雑なお芝居を要求される役だったと思います。
感情もそれぞれ違うし、キャラも違う。
私だったら絶対頭混乱すると思う。
なのに、ジェームスのお芝居はそういう複雑さを感じさせなくて、何て言うか心にすとんと入って来るんですよね。
ジェームスの性格なのかな?
自然体で、素直に役にぶつかっていく感じというか。
彼の舞台を生で見たのは去年の「鳥取イヴ・サンローラン」が初めてだったけど、回を追うごとに引き出しが増えて、どんどん表現力が上がってるし。
今回のドルジは、表情や動きで感情がストレートに伝わって来て、とても心を揺さぶられるお芝居でした…。
ジェームスのドルジすごく好きです。
小説で読んだ時よりももっと好きなキャラになりました。
ストーリーに戻って、
動物園デート中の琴美とドルジの所に河崎が現れて、三人で話すシーン。
「レッサーパンダとてもかわいいです」とカタコトで言うドルジ。
お前が一番かわいいわーー!!!って何度も思った事はさておきw
河崎が連れていた彼女が、ドルジの事を田舎くさいと侮辱した時、河崎はその彼女をビンタして追い払うんだけど、女より友情(いや、愛情かな?←)を取る河崎は本当に良い男だし、そりゃドルジも懐くよなーって思いました。
とりあえずこれがアニメ化でもされたら美味しいかもと思った事は心にしまっておこうw
最初は椎名と河崎の小気味いい会話とか、椎名の独り言で笑えるところが一杯あったんだけど、やっぱりラストに向けて真実に近づいて行くにつれて、悲しい真実が明らかになって行って…。
琴美がペット殺しのグループの車を止めようとして跳ねられてしまうんですが。
ドルジがその状況を語る姿が…、涙を流しながらも伝えようとするその表情が…、悲痛で胸が絞めつけられました。
何度見てもこのシーンは涙腺崩壊でした。
そして、琴美が跳ねられた瞬間から走馬灯のようにドルジの未来を見るシーン。
椎名とドルジが駅のコインロッカーに神様を閉じ込めに行く所で、流暢な日本語で会話するドルジを見て、「完璧な日本語だ」って嬉しそうに言うのが印象的で…。
そして、最初に出逢った時のように、子犬を助けに車道に飛び出すドルジ…。
今時犬を助けに飛び出す人なんて居ないと呆れながらも、その姿が誇らしいと言う琴美。
「その姿が誇らしくて…、やっぱりドルジは最高!!」
そう言う琴美にすごく共感しながら、私も何だか誇らしい気持ちで舞台中央のドルジに魅入ってました。
この舞台で、最期まで生きた優しくてかっこいいドルジも、こんなに素敵なお芝居を見せてくれたジェームスも、本当に最高だなって思いながら。。。
ドルジの謎が解けて、ペットショップ店の麗子さんに自首しなさいって言われる所で、
「もし生まれ変わったら、2人に会えると思う?」
って聞かれて、ドルジが
「俺は悪いことをしたから、神様が怒ってなかなか会わせてくれないかも」
って言うんですが、
冗談を言うつもりなのに泣いてて…、笑いながら泣いてる表情がホント切なくて…。
ジェームスの涙にはどんだけ貰い無きしたか分かりませんが、これだけ役にのめり込んでると自然に涙出てきちゃうんでしょうね。。
そう言う所もホントに凄いなって思いました。
そして、2年前に琴美をペット殺しのグループから助けた時は、相手に怪我させたかも…と相手の事まで心配していたドルジ。
琴美が、(ペットを嬲り殺しにするような)悪いやつらは、鳥葬にして鳥に食べさせちゃえばいいって言ってたのを、そんなのは鳥葬じゃなくてただの拷問だよと否定していたドルジ。
そんな優しい彼が、琴美を失ってから、その犯人を傷めつけて殺してやろうとまで思ってしまう…。
その心の変わりようがとても悲しくて切なかったです。
でも、麗子さんと話してるドルジを見ると、本質は何も変わってなくて、ただ何か色んな事を覚悟していたのかなって、そう思うと余計に悲しくて、思い出すだけで涙が出そうになります。。
最後に子犬を助けた後のドルジが、琴美と河崎に再会するんですが、
「ところでドルジ、本当に生まれ変わるんだろうな?」
って二人から問われるシーンがあって、ドルジが、
「うん、たぶん、絶対!」
って答えるんだけど、その表情がまた…満面の笑みなのに涙が溢れてて…。
何と言うか、悲しいんだけど、悲しいだけとも違って暖かい気持ちと切なさとが同時に心の中に溢れるラストでした。。。
本当に素敵な作品に出会えました。
ジェームスが出ていなければきっとこの原作を読むことも、舞台を見る事も無かったと思いますが、今ではとても好きな小説になりました。
なんだか、人生が少し豊かになったような気持ちです。
これからも、ジェームスがこんな素敵な作品に携わってくれれば良いなと思います。
私は過去に中途半端に芝居を止めて劇団を飛び出してしまった経験があって、何年も舞台というものから離れていた時期があったんですが、ここに来て改めて芝居って良いなと思ってます。
そう思わせてくれたのはジェームスのお陰なのかもです。
さて、こんなまとまりのない意味不明な感想にお付き合い下さった方、奇特すぎますね!←おいw
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!!

DVDにはならないみたいなので、感想という名の覚え書きを…。
原作は伊坂幸太郎さんの小説で、私は小説を読んでから観劇しました。
結末を知らずに観劇した方が良いかとも思ったんだけど、続きが気になってしまって読了。
結局それが良かったのか分からないけど、結末を知っていても、ほさかさんの脚本と演出には、なるほどと唸らされたし、キャストさんの熱いお芝居にすごく惹き込まれました。
毎回涙を拭いながら席を立ち、切ないような…それでいて暖かいような気持ちになって劇場を後にしました。
久しぶりに、とても良いお芝居を見せて頂いた気がします。
では、細かい事を書くと本当にキリが無いので、ジェームスに関して覚えている所だけ(笑)。
場面は暗転から始まり、最初にボブ・ディランの「風に吹かれて」を歌う歌声が聴こえて来る。
初めて聴いた歌声だったのに、誰かはすぐに分かりました♪
すごく聴きたかったジェームスの歌声
今まで、「聴きたい」って言っても歌ってくれなかったし(笑)
嬉しくて…とても良い声で、聞き惚れました。
最初のこのシーン、既に私にとってはすごい衝撃でした。。
ライトが当たって、中央に車を運転している河崎(ジェームス)と、助手席に椎名(多田さん)。
ジェームスは免許持ってないし車は運転しないので、その仕草はレアだぞ!とちょっと嬉しくなったり…w
二日前に知り合った河崎と椎名の二人。
河崎が知り合いの外国人の為に広辞苑をプレゼントしたいと言い、その上、本屋を襲って広辞苑を奪うので椎名に手伝って欲しいと言いだす。
流れと言うか、勢いで連れ出されてしまった椎名は、何度も止めようと河崎を諭す。
助手席に隠していたモデルガンを取りだして、なんでこんなものまで用意してるの?って言う椎名に河崎が、
「手持無沙汰かなーと思って、いや、手持ちぶたさん?豚さんって事はないよなー」
豚さんてw
おい、可愛いやないかww
ジェームスの河崎は、小説読んで想像していたイメージ以上にフレンドリーで、掴みどころ無いけど優しさや頼もしさが感じられるオトコマエでした。
あと、何より、ダスティピンクのTシャツがとても似合ってて、カッコ良くて可愛かった
多田さん演じる椎名は、もっと普通の、どちらかと言うと周りに流されやすくて、どこにでもいる凡庸な青年のイメージだったけど、多田さんの喋りが滑らかでテンポ良くて、その上独り言という名の状況説明がコミカルで、間の取り方が上手ですごく面白かった!
イメージって人それぞれだなって思うけど、ほさかさんの手にかかると、こんなに面白く分かりやすくなるですね…。
当たり前なんだけど演出家ってすごいなぁーって思いました。
変わって二日前、椎名が河崎と出逢った場面へ。
河崎の部屋に誘われる椎名。
河崎が壁際にあるCDを取ろうと、椎名越しに手を伸ばすと、ちょっと壁ドンのようにな姿勢になり、椎名が迫られてると勘違いして「僕、そういうんじゃないんで!」って慌てる。
椎名が椅子に座ってる所に覆いかぶさられて、河崎が椅子の後ろのラジカセを取ろうとしたら、押し倒されたと勘違いして「痛くしないで」って言う。
この、ちょいBL的要素出すのは何なんですかねww
でも、残念ながらこの二人では萌えないんだな…。←
強盗なんて止めようと何度も諭す椎名。
そんな椎名に、裏口を見張っててもらうだけだから大したことじゃないという河崎。
椎名「店員が裏口から逃げた方が盗み放題じゃないか!」
河崎「ダメだ、逃がしたくない。裏口から悲劇は起きるんだ…」
河崎の一瞬の切なげな表情で、この物語の結末を知ってる人は、その悲劇の意味を思い出すはず…。
表情で語るってこういう事なんだねと思った瞬間でした。
最近、こういうふとした瞬間に、ジェームスのお芝居の深さを感じる時があります。
本屋で参考書を探していた椎名が、もしかしたら同じものを持っているかもと思い、
隣室の河崎に連絡し、本のタイトルを読み上げてもらう所。
電話越しに河崎が言うには、読みあげようにも、棚に本が一冊も無いと言う。
河崎「無いぞ」
椎名「そんな訳ない!ちゃんと棚に置いていたんだから無くなる訳が・・・・・無い!!カギは!?かかってたよね!どういう事!?」
河崎「もしかして!これは…」
椎名「もしかして??」
河崎「魔法?」
椎名「そんな地味な魔法があるかー!!あ!もしかしてこれは!」
河崎「これは?」
椎名「昨日の本屋が仕返しに盗んで行ったんだよ!!」
河崎「あるかもな!」
椎名「ある訳ないだろー!!」
河崎「自分で言ったんじゃないか」
そんな会話をテンポ良く繰り広げる二人が可愛くて面白かったですw
他のシーンでも思ったけど、どっちかというと、河崎がボケで椎名がツッコミかな。
その後、ジェームスが河崎ではなく、ブータン人のドルジだという事が判明するんだけど、2年前のドルジに一瞬で変わる所がとても自然で、全く違和感が無かったのが凄かった。
「俺の名前はキンレィ・ドルジ。ブータンから来たんだ」
そう言って椎名に笑いかける顔は、河崎の時とは違って、人懐っこい、とても可愛らしい満面の笑顔。
後にドルジの恋人である琴美が、「ドルジは笑顔が一番似合ってるよ」と言ってたけど、私もその笑顔がとても好きでした。
以前ジェームスが「笑顔は苦手」って言ってたんだけど、話してる時の笑顔は本当に屈託が無くて可愛くて、見てるとこっちまですごく楽しくなってた。。。
ドルジの笑顔は、そんなジェームスと一緒で周りの人を明るく、楽しい気持ちにさせてくれるような笑顔でした。
その後、本物の河崎(細貝圭ちゃん)が現れて、ドルジが「カワサキサン!」とカタコトの日本語で駆け寄っていく、その姿がまた可愛くて♡
河崎とドルジの仲の良さは、見てて本当に微笑ましかったです。
ドルジが河崎を慕っている姿はまるで子犬のようで、日本語を教えてやるって言う時に、圭ちゃんより少しだけ背が低いジェームスの肩に手を置いて、覗きこむように話す仕草が、ホント萌えっとした
カタコトの日本語で喋るのとか難しそうなのに、2年前の、まだ日本語が不自由なドルジの芝居も本当に凄くて…。
恋人の琴美がペット殺しの犯人グループに襲われそうになった時、必死で助けようとする所や、その後、逆に犯人達を心配するドルジの熱演は、時々ジェームスである事を忘れてしまうような感覚に陥りました。
これが芝居に惹き込まれるって事か…と、ジェームスでそれを見られるのか!!と思ったら何だか嬉しくて、感動とか感謝とか言葉で言い表せないものが溢れて来ました。
今回のジェームスの役は、河崎を演じるドルジ、琴美に対しての二年前のドルジ、河崎に対する過去と現在のドルジというとても複雑なお芝居を要求される役だったと思います。
感情もそれぞれ違うし、キャラも違う。
私だったら絶対頭混乱すると思う。
なのに、ジェームスのお芝居はそういう複雑さを感じさせなくて、何て言うか心にすとんと入って来るんですよね。
ジェームスの性格なのかな?
自然体で、素直に役にぶつかっていく感じというか。
彼の舞台を生で見たのは去年の「鳥取イヴ・サンローラン」が初めてだったけど、回を追うごとに引き出しが増えて、どんどん表現力が上がってるし。
今回のドルジは、表情や動きで感情がストレートに伝わって来て、とても心を揺さぶられるお芝居でした…。
ジェームスのドルジすごく好きです。
小説で読んだ時よりももっと好きなキャラになりました。
ストーリーに戻って、
動物園デート中の琴美とドルジの所に河崎が現れて、三人で話すシーン。
「レッサーパンダとてもかわいいです」とカタコトで言うドルジ。
お前が一番かわいいわーー!!!って何度も思った事はさておきw
河崎が連れていた彼女が、ドルジの事を田舎くさいと侮辱した時、河崎はその彼女をビンタして追い払うんだけど、女より友情(いや、愛情かな?←)を取る河崎は本当に良い男だし、そりゃドルジも懐くよなーって思いました。
とりあえずこれがアニメ化でもされたら美味しいかもと思った事は心にしまっておこうw
最初は椎名と河崎の小気味いい会話とか、椎名の独り言で笑えるところが一杯あったんだけど、やっぱりラストに向けて真実に近づいて行くにつれて、悲しい真実が明らかになって行って…。
琴美がペット殺しのグループの車を止めようとして跳ねられてしまうんですが。
ドルジがその状況を語る姿が…、涙を流しながらも伝えようとするその表情が…、悲痛で胸が絞めつけられました。
何度見てもこのシーンは涙腺崩壊でした。
そして、琴美が跳ねられた瞬間から走馬灯のようにドルジの未来を見るシーン。
椎名とドルジが駅のコインロッカーに神様を閉じ込めに行く所で、流暢な日本語で会話するドルジを見て、「完璧な日本語だ」って嬉しそうに言うのが印象的で…。
そして、最初に出逢った時のように、子犬を助けに車道に飛び出すドルジ…。
今時犬を助けに飛び出す人なんて居ないと呆れながらも、その姿が誇らしいと言う琴美。
「その姿が誇らしくて…、やっぱりドルジは最高!!」
そう言う琴美にすごく共感しながら、私も何だか誇らしい気持ちで舞台中央のドルジに魅入ってました。
この舞台で、最期まで生きた優しくてかっこいいドルジも、こんなに素敵なお芝居を見せてくれたジェームスも、本当に最高だなって思いながら。。。
ドルジの謎が解けて、ペットショップ店の麗子さんに自首しなさいって言われる所で、
「もし生まれ変わったら、2人に会えると思う?」
って聞かれて、ドルジが
「俺は悪いことをしたから、神様が怒ってなかなか会わせてくれないかも」
って言うんですが、
冗談を言うつもりなのに泣いてて…、笑いながら泣いてる表情がホント切なくて…。
ジェームスの涙にはどんだけ貰い無きしたか分かりませんが、これだけ役にのめり込んでると自然に涙出てきちゃうんでしょうね。。
そう言う所もホントに凄いなって思いました。
そして、2年前に琴美をペット殺しのグループから助けた時は、相手に怪我させたかも…と相手の事まで心配していたドルジ。
琴美が、(ペットを嬲り殺しにするような)悪いやつらは、鳥葬にして鳥に食べさせちゃえばいいって言ってたのを、そんなのは鳥葬じゃなくてただの拷問だよと否定していたドルジ。
そんな優しい彼が、琴美を失ってから、その犯人を傷めつけて殺してやろうとまで思ってしまう…。
その心の変わりようがとても悲しくて切なかったです。
でも、麗子さんと話してるドルジを見ると、本質は何も変わってなくて、ただ何か色んな事を覚悟していたのかなって、そう思うと余計に悲しくて、思い出すだけで涙が出そうになります。。
最後に子犬を助けた後のドルジが、琴美と河崎に再会するんですが、
「ところでドルジ、本当に生まれ変わるんだろうな?」
って二人から問われるシーンがあって、ドルジが、
「うん、たぶん、絶対!」
って答えるんだけど、その表情がまた…満面の笑みなのに涙が溢れてて…。
何と言うか、悲しいんだけど、悲しいだけとも違って暖かい気持ちと切なさとが同時に心の中に溢れるラストでした。。。
本当に素敵な作品に出会えました。
ジェームスが出ていなければきっとこの原作を読むことも、舞台を見る事も無かったと思いますが、今ではとても好きな小説になりました。
なんだか、人生が少し豊かになったような気持ちです。
これからも、ジェームスがこんな素敵な作品に携わってくれれば良いなと思います。
私は過去に中途半端に芝居を止めて劇団を飛び出してしまった経験があって、何年も舞台というものから離れていた時期があったんですが、ここに来て改めて芝居って良いなと思ってます。
そう思わせてくれたのはジェームスのお陰なのかもです。
さて、こんなまとまりのない意味不明な感想にお付き合い下さった方、奇特すぎますね!←おいw
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!!
