映画『風立ちぬ』はどこが風立ちぬ』なのでしょう。
というのは、原作との比較という点を見ると、ヒロインの名前が「菜穂子」となっていますが、原作小説の方は「節子」です。「菜穂子」というのは、堀辰雄の同名小説があって、そこから引っ張ってきたようです。ストーリーもぜんぜん違う。まぁ、原作のほうは、主人公とヒロインが、サナトリウムでひたすら暗くなるという話ですから、なんで宮崎さんがこれをアニメにしようとしたのか不思議になるくらいなので、原作を換骨奪胎しないとストーリーにならないのはしょうがないかもしれません。
しかし、そういう点に目をつぶっても、この映画には良い評価ができませんでした。
庵野監督の吹き替えが下手くそ過ぎ!(岡田斗司夫氏の擁護は認めません!!)
宮崎さんの声優嫌い(素人好き?)は有名で、『トトロ』の糸井重里さんや『ハウル』のキムタクなんか、わざわざ彼らをつかわなくったって良いだろという感じでした。話題性は必要でしょうけど、一流のアニメ監督が声優を評価してくれなくちゃだめでしょう。
また、飛行機オタクの宮崎さんにしては、飛行機の飛ぶシーンが嘘くさい。紙飛行機は雰囲気を出すために、実際はあんなに飛ばないって、観客も目をつぶってくれるかもしれませんが、本物の飛行機が嘘くさく飛んじゃあ台無しです。これが、最後の監督作品なんて、悲しいです。