最近、何かと話題の「集団的自衛権」。
今日本では、この「集団的自衛権」の行使を巡って論争が巻き起こっています。ニュースでもよく報道されているので、耳にしたことがある方が多いのでは。
「………集団的自衛権?なにそれ」
と思ったそこのあなた。
あなたですよあなた。
とりあえず一般常識として集団的自衛権について知っておきましょう。
集団的自衛権とは何か?
まず、自衛権とは、「外国から違法な武力攻撃を受けたときに、自分の身を守るために武力を行使する権利」のことをいいます。
この自衛権という権利は国際法により、主権国家であれば誰もが持っている権利です。
そして、この自衛権は個別的自衛権と集団的自衛権の2つに分類されます。
個別的自衛権とは、自衛権とほぼ同じ意味です。「自分が攻撃されたら反撃する権利」のことをいいます。
対して集団的自衛権とは、「自国と密接な関係を持つ国が他国から攻撃を受けた場合、自分は攻撃されていないんだけれどもその攻撃してきた他国に対して武力攻撃をすることができる権利」のことをいいます。
…まあ簡単にいえば友達が誰かに殴られてたら、自分は別に殴られてないんだけどその友達を助けるためにその友達を殴ってる奴を殴ることができる権利ということです。
この2つの自衛権(個別的自衛権と集団的自衛権)は国際的に主権国家であれば誰でも認められている権利ですが、現在日本では個別的自衛権は行使できるけれども、集団的自衛権は行使できないんですね。
つまり日本で今問題になっているのは、自衛権という国家であれば誰でも認めらている権利の、行使の仕方を巡る議論というわけです。
なぜ日本は現在、集団的自衛権を行使できないのか?
なぜ日本は集団的自衛権を行使できないのか。その理由は日本の憲法にあります。
日本国憲法第9条(いわゆる平和憲法)により、現在日本は、「集団的自衛権を持ってはいるんだけれども使えない」という立場にあるのです。
じゃあとりあえず日本国憲法第9条を読んでみましょう。
日本国憲法第9条
1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の
発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決す
る手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しな
い。国の交戦権は、これを認めない。
「あれ?”陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない”って書いてるけど、日本には自衛隊がいるよね………?」
と誰もが思うでしょうが、自衛隊は軍隊ではありません(この話はまた別の機会にします)。
「ってか”武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する”って書いてるなら、個別的自衛権も使えないんじゃね?」
とも思うかもしれませんが、”国際紛争を解決する手段としては”武力行使を放棄するのであって、自衛の手段としての武力行使については書かれていません。
なので個別的自衛権は認められているのです。
「なんかややこしいな」と思ったかもしれません。そう、ややこしいんです。
なんでこんなにややこしいかといいますと、まあ簡単にいえば日本国憲法というものがもともとGHQ(アメリカ)が日本を弱体化させる目的で作ったもので、当時の日本人ができる限り抵抗し、なんとか運用できるレベルまでに改良したという歴史的経緯があるからなんですが、とりあえず今の憲法解釈では、日本は集団的自衛権を行使できないという状態にあると覚えていただければ結構です。
とりあえず今日はここまで。次回は、「日本が集団的自衛権を行使することができるようになることの何が問題なのか?」といったことや、「なぜ今、日本は集団的自衛権の行使を認めようとしているのか?」といったことについて、わかりやすく解説します。